ウェスタン風のファッションが再びトレンドになっているのは、ビヨンセの功績によるところが大きい。超大物歌手であり、最近ヘアケアブランドを立ち上げたビヨンセは、テキサスにルーツを持つことを隠すことなく、キャリアを通じてウェスタン風のファッションにオマージュを捧げることが多かった。しかし今年はスーパーボウルのCMで新曲発表をほのめかして驚かせ、直後に公開されたカントリーソング「16 Carriages」と「Texas Hold Em’」にファンは熱狂。スーパーボウルで着用した衣装も話題を呼んだ。

カウボーイハットの売上が300%増

ループタイと古典的なカウボーイハットなど、黒で統一したウェスタン風の衣装が2月11日(現地時間)に投稿され、脚光を浴びた。インスタグラムの投稿には2月25日時点で320万件以上の「いいね!」が付いている。ファッションブランド「ブーフー(Boohoo)」のレポートによると、スーパーボウルのCMが放送された直後にグーグルで「カウボーイハット」の検索数は212.2%増加したという。
その数日後に、夫のジェイ・Zとのバレンタインデーのデートや、ルアール(Luar)の2024年秋のファッションショーに出かけた際にも非常によく似た衣装が目撃されており、カウボーイコアの時代の到来を予感させた。その結果、カウボーイファッションの検索数が急増したのだ。後払い決済(BNPL)を提供するクラーナ(Klarna)によると、同プラットフォームでのカウボーイブーツの購買額は前年比で23%増加した。ビヨンセの新しいシグネチャーとなったカウボーイハットは、過去1年間で購買額が69%増えている。特にラインストーンがあしらわれたカウボーイハットの売上が急増しており、購買額は昨年の夏以来331%増加した。ラインストーンが目を引くカウボーイハットは、2023年2月初旬にアルバム「ルネッサンス(Renaissance)」とワールドツアーの発表をした際に被っていたことで、大きな話題となった。ファンがこの帽子を扱っているエッツィ(Etsy)のショップを見つけ出し、販売者兼デザイナーのアビー・ミスビン氏のもとには注文が殺到したため、同氏は副業からフルタイムの仕事へと切り替えたという。3月に『ルネッサンス』の第2段となるアルバムがリリースされる予定となっており、ファン達はカウボーイコアを極めるべく、昔ながらのアメリカンブランドやトレンディーな小売店に再び殺到している。

「ビヨンセが未知の領域へと引き上げてくれた」

カウボーイの流行はここ1年で高まっており、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)やモリー・ゴダード(Molly Goddard)といった大手ブランドが、ウェスタンに着想を得た2024年秋のコレクションを発表している。カントリー風のリバイバルに、ビヨンセ氏の『ルネッサンス』が影響を与えたのは間違いないだろう。最近の衣装を収めた動画はTikTokで話題を集めており、同氏が文化に与えた影響によってブランドには大きなチャンスが到来している。特に、創業から159年になる米アパレル企業「ステットソン(Stetson)」にとって、カントリー風の盛り上がりは新たな消費者層と需要の波をもたらした。同社のマーケティング担当バイスプレジデントであるタイラー・ソーソン氏によると、クラシックなステットソン・カウボーイハットの複数のスタイルが、今月完売した。また、ビヨンセも同ブランドのファンだという。同社は映画「バービー(Barbie)」や「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(Killers of the Flower Moon)」の衣装デザイナーとも協力し、両作品で衣装を手掛けている。「私たちの帽子を、スタイルの重要な要素として位置付けてくれるパイオニアたちの長いリストに、ビヨンセが加わってくれたことを光栄に思う」とソーソン氏はGlossyに語った。「グラミー賞以降、ソーシャルメディアでは当ブランドや商品に対し、驚くほどの関心が寄せられている。そして同氏がグラミー賞をはじめ、ここ数週間で最もよく着用していたシャスタ(Shasta)というスタイルへの関心が、急激に高まっている。ビヨンセが、全く未知の領域へと引き上げてくれた」。ソーソン氏は、売上やサイト訪問者数などの数字は明かさなかったものの、ビヨンセ氏がグラミー賞、スーパーボウル、ルアールのファッションショー、そしてバレンタインデーのデートという最近の4大イベントでステットソンの帽子を着用し、インスタグラムにも投稿していたことに言及する。「ビヨンセが私たちの帽子を被ってくれたことで、私たちのストーリーを、より幅広いスケールで伝えることができた。今はそれに焦点を当てているし、需要に応えるために全力投球している。当社の代表的なウェスタンハットの、在庫を確保しておくのは大変だった」。[原文:With her cowboycore style, Beyoncé is introducing a classic brand to young shoppers]TATIANA PILE(翻訳:田崎亮子/編集:分島翔平)