なぜこの名前?「グローブボックス」の由来

なぜ名前に「グローブ」が付く?

車のインテリアには一風変わった名前のパーツがいくつかあります。助手席前の収納スペースである「グローブボックス」もその1つ。なぜ名称に「グローブ」と付いているのか、由来には次の2つの説があります。

ドライビンググローブ(運転用グローブ)を収納する場所だった 整備用グローブを収納する場所だった

グローブを入れる場所だからグローブボックス。言われてみればわかりやすいネーミングですが、現代のドライバーにはなぜグローブ用に収納が必要なのか理解しにくいかもしれません。上記2つの由来について深堀りしてみましょう。

■ドライビンググローブ由来説

パワーアシストのない木製ステアリングが一般的だった時代には、多くのドライバーが運転時にグローブを着用していました。このため、運転用グローブの収納場所として設けられたのがグローブボックスである、というのがドライビンググローブ由来説です。

パワーステアリングや、滑りにくい革巻きステアリングが普及した現在では、日常的な運転でグローブを着用する一般ドライバーは減っています。ただ、ドライビンググローブの愛好家は今も多く、お気に入りのグローブの収納場所としてグローブボックスを使う方も少なくありません。

■整備用グローブ由来説

昔の車は故障が多く、出先で修理が必要になることも少なくありませんでした。このため、いつでも車をメンテナンスできるように整備用グローブの収納場所(グローブボックス)が設けられた、というのが整備用グローブ由来説です。

車の故障が少なくなった現在では、整備用グローブを車に積む必要性は薄らいでいます。ただ、路上でパンク修理を行う可能性はあるため、滑り止め付きの手袋や軍手をグローブボックスに入れておく価値は高いといえるでしょう。

現在、グローブボックスには何が入れられている?

グローブボックスには車検証を入れることが多い

グローブの収納場所として誕生したグローブボックスですが、現在では本来の使われ方をされることは少なくなっています。では何に使われているのかというと、車検証や自賠責保険証の収納場所として活用されることが一般的になっています。

車検証と自賠責保険証は、運転時の携帯が義務付けられている書類です。これらの書類を外から見えないように保管でき、かつ必要に応じてすぐに取り出せる収納場所として、グローブボックスはうってつけといえるでしょう。

■かつては音楽メディアの収納にも使われていた

かつてはCDやMDをグローブボックスに入れるドライバーが多かった

ディスク形式の記録媒体が音楽メディアの主流だったころには、多くのドライバーがグローブボックスにCDやMD(ミニディスク)を収納していました。筆者が免許を取得した2000年ごろには、CDが複数枚入るCDチェンジャーをグローブボックスに入れた車も多かったと記憶しています。

また、筆者の子供時代にさかのぼると、グローブボックスにはカセットテープが収まっていました。こうして振り返ると、グローブボックスはカーオーディオとの関わりが深い収納スペースといえそうです。

■グローブボックスに入れてはいけないものは?

ガスライターやスプレー缶をグローブボックスの中に放置すると、外気の影響により発火や爆発を起こす場合があり危険です。

また、グローブボックス内は高温になりやすいため、精密機器の収納には向きません。これらの熱に弱いものは、グローブボックスに入れないようにしましょう。

わかりにくい名前が付けられた車のインテリアたち

車のインテリアには変わった名前のパーツが多い

車のインテリアには独特のネーミングの部位が多く、なぜこの名称なのかわかりにくいパーツがグローブボックス以外にもいくつかあります。変わった名前のインテリアを総ざらいしてみましょう。

■インストルメントパネル(インパネ)

名前の意味だけでなくパーツの範囲もわかりにくい「インパネ」

フロントシート前方に位置し、計器類やエアコンスイッチ、カーナビなどが備わるパネル全体を「インストルメントパネル」と呼びます。名称の由来は航空機用語で、インストルメント(instrument)は英語で計器を指します。

インストルメントパネルという呼び方は、次に解説する「ダッシュボード」の役割の変化にともなって使われるようになりました。本来の意味は「計器類が並んだパネル」ですが、定義は曖昧であり、ダッシュボードと同じ意味で語られることが少なくありません。

■ダッシュボード

ダッシュボードとインパネは同義と考えてよいが各語で由来は異なる

フロントシート前方の内装全体をダッシュボードと呼びます。ダッシュボードの歴史は古く、祖先をたどると馬車の御者台に備わる泥除けに行き着きます。馬車の泥除けは初期の車に継承され、20世紀に入ると計器類が備わるようになりました。

現在のダッシュボードは精密機器や収納が並ぶ内装パーツであり、泥除けの役割を持ちません。このため、前述のとおりインストルメントパネルとも呼ばれていますが、ダッシュボードも現役の車用語として使われ続けています。

■メータークラスターパネル

インパネ上の計器類が集まった場所を「メータークラスターパネル」と呼ぶ

スピードメーターやタコメーターなどの、運転用の計器類が並ぶパネルを「メータークラスターパネル」と呼びます。クラスター(cluster)は集合体を指す英語ですから、メータークラスターパネルを直訳すると「計器が集まった板」となります。

■センタークラスター

赤枠で囲った部分が「センタークラスター」

エアコン操作パネルやカーナビ、カーオーディオなどが備わるインパネ中央部分を「センタークラスター」と呼びます。センタークラスターを直訳すると「中央集合体」。そのまんまですね。

■センターコンソール

車種によってはセンターコンソールは収納用スペースとなる

運転席と助手席の間に設けられた長方形の間仕切りを「センターコンソール」と呼びます。「コンソール(console)」は操作盤を意味し、センターコンソールにはシフトレバーやドライブモードスイッチなどの操作装置が備わっています。

ただし、センターコンソールの役割は車により異なり、操作装置が備わらないシンプルな収納スペースとしている車種も少なくありません。また、車内での移動のしやすさを考慮して、センターコンソール自体を省略している車種も多く見られます。

■コンソールボックス

物入れとして重宝するコンソールボックス

センターコンソールに備わるフタ付きの収納を「コンソールボックス」と呼びます。車種によっては、社外品のコンソールボックスをインテリアに後付けできる場合があります。

■レジスター

レジスターという呼び方はややマニアックかもしれない

車のエアコン吹き出し口を指して「レジスター」と呼ぶ場合があります。レジスター(Register)は、空調や換気扇などの空気量調節部品を指す建築用語です。車用語としては日常的に使われる言葉ではありませんが、知識として押さえておきましょう。

パーツ名を詳しく知れば車がもっと楽しくなる

メーカーごとのパーツ名の違いを調べるのも面白い

パーツの名前に詳しくなくても車は運転できます。また、グローブボックスのような収納部品は、名前の意味を知らなくても困らないパーツといえるでしょう。

とはいえ、車の各部の名称について調べることにより、カーライフがより楽しくなることも事実です。パーツ名と車の歴史とのつながりを発見すれば知的好奇心が満たされますし、新たに得た知識をSNSで発信するのも楽しいものです。

付け加えていうと、パーツ名を詳しく知っておけば、愛車の修理やカスタムに役立つ情報を探しやすくなります。車雑誌やウェブで気になるパーツ名を見つけたら、ぜひ名前の意味や由来を調査してみてください。