キリンビールは12日、缶チューハイの「キリン氷結」が生誕20周年を迎えるタイミングをとらえてメディア向け説明会を開催した。今年(2021年)5月にリニューアルを実施したばかりのキリン氷結ブランドについて、担当者は「6月単月の販売数量が過去最高を記録した」と報告している。

生誕20周年の「キリン氷結」は販売数量が過去最高となった


○リニューアルのポイント

同社によれば「氷結 シチリア産レモン」の購入率は5月のリニューアルにより約140%も伸長し、氷結ブランド全体でも前年比112%と過去最高の売上を記録した。好調の要因は「味の進化」と「ビール類ユーザーの流入」にあった。キリンの調査では、リニューアル後の同製品について約9割が「おいしくなった」「搾りたてのようなレモン感を感じた」と回答。またコロナ禍による家飲み需要の高まりが影響し、それまでビール類を好んでいた層にもRTD(Ready To Drink、缶やペットボトル入り飲料)の飲用機会が拡大した。「スッキリした味」「果汁感が楽しめる」「飲みやすい」という点が評価され、この結果、販売数量が伸びたと説明する。

氷結ブランドの6月単月の販売数量は、前年比112%(約370万ケース)と好調に推移。2001年の発売以来6月単月で過去最高を記録した


氷結ブランドが誕生したのは2001年7月11日のこと。キリンビール マーケティング部でRTDカテゴリー戦略担当の桜井可奈子氏は「それまでのチューハイと言えば、アルコールが強い、刺激感がある、中高年の男性向けというイメージがありました。そんな時代に『ビール類ユーザーも取り込む理想のチューハイをつくる』という理念で開発されたのが氷結でした」と説明。氷結はアルコール市場にチューハイの新価値を確立した、と言葉に力を込める。

アルコール市場にチューハイの新価値を確立した


マーケティング部で商品開発を担当する小山裕之氏によれば、氷結の美味しさの秘密は「氷点凍結果汁」にあるという。「レモンを搾汁した後に清澄化して渋味や雑味を取り除き、氷点下で凍結するキリンビール初の製法です。これにより搾りたてのレモンのような美味しさを閉じ込めています」(小山氏)。

「氷点凍結果汁」が美味しさの秘訣。果汁のみずみずしさを引き出すためクリアウォッカを使用しているのもポイントだという


これまでも段階的にリニューアルを繰り返してきた氷結ブランド。小山氏は、開発に際しては「氷結らしいスッキリとした味わいという軸は変えずに、その時代で求められている味を常にキャッチアップできるように」心がけていると話す。また桜井氏は5月のリニューアルのポイントについて「酒税法改正にともないビール類ユーザーの流入が増加することを見込んで、RTD独自の価値である爽快感、果実感を強く感じられる製品にしました」と解説した。

5年ぶりの大型リニューアルとなった氷結 シチリア産レモン


最近では、ビール類とRTDの併飲者も増えている。そのニーズについて桜井氏は「飲みやすさ」「果汁感」「甘くない」にあると分析。また、市場では美味しさへの納得感に期待が高まっており「せっかく飲むならジュースっぽくない、ちゃんとした美味しいものを飲みたい」と考える消費者が増えた、との認識を示している。

ビール類とRTDの併飲者のニーズも把握。商品開発に活かしている


説明会の最後に担当者は、イチオシの氷結の楽しみ方を紹介した。広めの飲み口のグラスにたくさんの氷を投入し、キンキンに冷えた氷結を注いだら、顔を上げて喉を広げてグイっと流し込むことで、氷結の爽快さを堪能できるという。

レモンの香りの立ち上がりを楽しみながら、氷結の爽快さを堪能できる飲み方


○ビールからRTDに移行が進む?

このあと、記者団からの質問に担当者が回答した。

酒税改正によるビール類ユーザーの流入は当初の予想通りか、という質問に桜井氏は「ビールの新ジャンルカテゴリから、思っていたより多くのユーザーが流入していますが、全体としては予想通りになりました。今後は、コロナ禍により健康志向がさらに高まると考えています。お客様からは『チューハイはお腹に溜まらない』『ビールより飲みやすい』という評価もいただいており、ビール類ユーザーの流入傾向はさらに続くと見ています」と回答した。