スーパーで1年中手に入れられるアボカド。旬の時期に、おいしく健康的に食べられる組み合わせとは?(写真:ilipphoto/iStock)

世界的に著名な自然療法士でオステオパシストのフランク・ラポルト=アダムスキー氏。1992年に発表された「アダムスキー式腸活法」は30年近く欧州で愛され続け、その「腸活メソッド」を紹介する著作は、本国イタリアのみならず、ドイツ、フランス、スペイン、ポルトガル、ベルギー、トルコなど世界中で話題になっている。

「アダムスキー式腸活メソッド」は、Google.itの食事法(ダイエット)部門(2017年)で「最も検索されたキーワード」ベスト3に選出されたほどで、その全メソッドを記した著書『腸がすべて』は、日本でも5万部のベストセラーになるなど、話題を呼んでいる。

訳者の森敦子氏が本書の翻訳を通して感じたのは、「食べ物は『何を食べるか』ではなく、『何と組み合わせて食べるか』が大事」ということ。

では、アダムスキー氏の提唱する「最高の腸を手に入れるための組み合わせ」はどうやって食卓に取り入ればいいのだろうか? 今回は、本書の翻訳を手掛けた森氏が、「最強食アボカドを食べるときの3つの盲点とNG」について解説する。

世界一栄養価の高い果実「アボカド」


「栄養の優等生」といわれるほど栄養価が高く、「世界でいちばん栄養価の高い果実」としてギネスブックに記録されるほどのスーパーフード「アボカド」

店頭では1年中売られていますが、実は4〜6月頃のこの時期のアボカドは油分が多く、とくに味がよいのだそうです。

今話題の「アダムスキー式腸活法」でも、アボカドは注目の食材。腸内環境の改善に役立つ「食物繊維」が豊富なうえに、リラックス効果をもたらす「カリウム」が豊富に含まれるため、アダムスキー博士は「心と体の栄養になるスーパーフード」と絶賛しています。

しかし、スーパーフードのアボカドでも「間違えた食べ方」をしてしまうと、その効果は激減してしまいます。今回は、今が旬のスーパーフード「アボカド」を健康的に食べるための「3つの盲点とNG」についてお話しします。

アボカドは「森のバター」とも呼ばれるほどクリーミーで、果肉の約20%が脂肪だといわれています。

アボカドの「油」は健康効果抜群!

【盲点1】「完熟したもの」を食べないと、効果は半減


アボカドは、体にいいといわれる脂肪を豊富に含んでいる(写真:Milan Krasula/iStock)

「脂肪が多い」と聞くと健康のためについ敬遠してしまいますが、実はアボカドの脂肪は、その8割が体にいいといわれる「不飽和脂肪酸」コレステロールの心配はなく、むしろ「悪玉コレステロール」を減らす効果があるのだそうです

そのため、コレステロールが気になる人や、コレステロール値を上げる肉食がちな生活をしている人には、とてもありがたい食材なのです。

しかも、アダムスキー博士は「この『不飽和脂肪酸』はアボカドが熟すにつれて多くなる」と話しています。スーパーフードであるアボカドの健康効果を効率よく得るためには、「完熟のアボカドを選ぶこと」が大事なんですね。

アボカドが完熟かどうかは、まず「果皮の色」で見分けることができます。果皮が緑色のものは未熟な状態。熟度が進むにつれてだんだん黒く変色していきます。

また、熟度が進むにつれて柔らかくなっていくので、選ぶときには「なるべく黒くてつやがあり、少しふっくらとしたもの」にしましょう。

購入したアボカドが硬い場合には、自宅で追熟させれば大丈夫です。暖かい場所に置いたり、バナナやりんごと一緒にビニール袋に入れたりすると、追熟を早くすることができます。

また、脂肪が多いアボカドには、「満腹感を得られる」というメリットもあります。もちろん食べすぎは禁物ですが、「良質な脂肪」で満腹感を得ると、食べすぎを防ぎ、ダイエットにもつながります

「アダムスキー式腸活法」は、食品を「下りてくるのが速い食品(ファスト)」「下りてくるのが遅い食品(スロー)」に分けています。

毎回の食事で食材を「正しく選ぶ」ことで腸に負担をかけず、「腸を詰まらせない」ようにする腸活法ですが、普段行っているアボカドの「下処理」にも実は盲点があります。

「アボカド」×「レモン」は腸の詰まりの原因に

【盲点2】アボカドの色止めに「レモン」を使うのはNG


きれいな色を保つための「レモン」は「ファストの食品」(写真:Photoboyko/iStock)

アボカドは切ったところからどんどん色が悪くなるので、料理をするときには変色しないように「下処理」をすることが多いと思います。

アボカドの色止めといえば「レモン」が一般的ですが、実は、「レモン」をはじめとしたフルーツは「消化の速い『ファストの食品』」になります。「アボカド」のような「消化の遅い『スローの食材』」と組み合わせると「腸の詰まりの原因になる」と「アダムスキー式腸活法」では考えます。

消化のスピードの違う食材がお腹の中で混ざると、どちらの食べ物も「本来の消化のペース」で進むことができなくなり、結果的に「腸全体の流れ」が遅くなってしまうのだそうです。

そうすると、長時間にわたって腸内にとどまった食べ物は、やがて体内で腐敗して、消化管の壁に張り付きます。腸は狭くて通りにくくなり、排泄物が流れていこうにもスペースがなくなり、「腸の詰まり」の原因になるというのです。

「腸の詰まり」を防ぐには、ぜひ「レモン以外の方法」で色止めしましょう。

例えば、変色は空気に触れたところから進んでいくので、しっかり「ラップ」で包んでおくのもいいですね。また、ディップなどでラップができない場合は、レモンではなく「お酢」を使っても同じような色止めの効果を得ることができます。お酢のにおいが気になるときは、「電子レンジ」を使うのもいいでしょう。

カットしたアボカドを、ラップをかけずにレンジで数十秒温めるだけで、アボカドの色をきれいに保つことができます。

それでは、「レモン以外」の食材と「アボカド」の相性はどうなのでしょうか?

「アボカド」×「トマト」も腸の詰まりの原因に

【盲点3】アボカドと「トマト」を組み合わせてはいけない


よくある「アボカド」×「トマト」の組み合わせは実は……(写真:Arx0nt/iStock)

「レモン」のほかに、よくある組み合わせでNGなのは「トマト」です。

クリーミーなアボカドと甘みと酸味のあるトマトは、味のうえでは相性抜群なのですが、実は、レモン同様、「トマト」も「消化の速い『ファスト』の食品」腸のことを考えると「アボカド」×「トマト」の組み合わせはおすすめできません

「アボカド」は、「スローの食材」と組み合わせるようにしましょう。野菜は、「トマト」「かぼちゃ」「ピーマン」「パプリカ」(すべて「ファストの食品」)以外であれば、ほとんどの野菜が、アボカドと同じ「スローの食品」です。「ブロッコリー」や「レタス」といったほとんどの野菜は安心してアボカドと組み合わせることができます

腸が詰まっていたら「奇跡」は起こせない

今回、アボガトを食べる人が知らない盲点について解説しましたが、ここで1つ大事な点があります。

それは、「アダムスキー式腸活法」でも強調されていることですが、「どんなスーパーフードも、消化管が詰まって正常に流れていなければ、腸の中で奇跡を起こせない」ということです。

いくら体にいい物質を食べても、体内で吸収するための唯一の通路「腸の壁」がふさがっていては、効果を発揮できないまま体から排出されることになってしまいます。

アダムスキー式腸活法では、「ただ体にいいものを食べる」のではなく、「『腸の詰まり』を取る」ことで「あらゆる食べ物の栄養をしっかりと吸収できるようにする」ことを目指します。

せっかくの「スーパーフード」。その力を体に取り込むためには、ぜひ「腸を詰まらせない食べ方」を心がけ、消化管のコンディションを整えてあげてくださいね。

(医学監修:澤田幸男/医学博士、澤田肝臓・消化器内科クリニック院長)