「お兄ちゃんだなぁ」 阿部詩、挫折から救った兄・一二三の言葉
12日、テレビ朝日「報道ステーション」では、9月の世界柔道女子52キロ級で優勝した阿部詩(18)のインタビューを放送した。
同じく世界柔道を制した阿部一二三を兄に持つ詩は、兄の存在を「自分の道を作ってくれている人」と話すも、これまでの柔道人生は「お兄ちゃんが勝っている分、褒められなくて。優勝じゃないので。勝ってはいたんですけど優勝がなくて3番とか2番とか」と苦笑いを浮かべた。
そんな詩にとっての挫折であり転機は、2016年8月、高校1年生の時に迎えた全国高校総体だったという。優勝候補と目されながらも1回戦でまさかの反則負け。「優勝は当たり前という目で見られていた中で、柔道人生で初めて一回戦負け」と切り出した詩は、「そのレベルじゃなかったのにお兄ちゃんが凄いから、その妹。その負けた時に初めて試合をするのが嫌って思った。今までやってきたことが全て間違いだったような」と振り返った。
だが、泣きながら兄に電話をしたところ、「こんな負けで落ち込むな。次頑張ればいい。まだチャンスがあるんだから」などと励まされたという詩。実はこの時、一二三もまたリオデジャネイロ五輪代表の座を逃し、ドン底の状態だったという。
そんな兄の言葉が「すごい心に響きました」という詩は、「自分が1番辛いのに声をかけてくれる。お兄ちゃんだなぁと思いました」としみじみ。さらに「心の持ちようが180度くらい変わった。それまではおごりだったりがあったんですけど、市大会から県大会からでも一緒の気持ちを持って、どの試合でも変わらない(ようになった)」と続けた。
すると反則負けから1年、昨年11月の講道館杯で見事優勝。翌12月のグランドスラム東京でも優勝した詩。今年9月の世界大会も制したことで「どの試合でも変わらない。失敗もミスも許されないと思いながらやってきたら、だんだんメンタルも強くなってきて逆に『どうやったら自分が負ける』、『誰に負けるの?』みたいな自信がついてきた」と自信を漲らせると、自身の夢を「誰もがしたことがないようなことをしていきたい。お兄ちゃんとオリンピックで優勝したらまた1つ歴史を作れる」と意気込んだ。