坂根正弘コマツ相談役

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 経済産業省・資源エネルギー庁は、夏の改定を目指すエネルギー基本計画の骨子案を示した。2030年の最適なエネルギーミックスに向け、省エネルギーの徹底や水素利用の拡大などの政策対応を盛り込んだ。4月10日にまとめた50年までの長期エネルギー戦略も計画に反映。再生可能エネルギーについては主力電源にするよう明記した。脱炭素社会の実現を強く意識した計画と言える。

 総合資源エネルギー調査会基本政策分科会で「第5次エネルギー基本計画」について議論した。計画の骨子案は3章で構成。脱炭素化の技術間競争といった情勢分析、30年に向けた方針と対応、50年に向けた長期戦略の3テーマを盛り込んだ。5月にも原案をとりまとめ、6―7月の閣議決定を目指す。

 30年の対応では、再生可能エネルギーについてコスト面で課題があるものの、低炭素な国産電源に位置付けた。また原子力は重要な電源とする一方、可能な限り低減させるとの考えを堅持した。水素については燃料電池車を中心にモビリティーの需要拡大を進める必要性を指摘。コスト低減に向け、製造・輸送・利用を行う国際体制の構築を訴えた。

 分科会の水本伸子委員(IHI常務執行役員)は、企業の立場から「産業競争力の維持に向け、料金を十分抑制するという書き方をしても良い」と要請した。

 一方、50年への対応では脱炭素化のシナリオを複数用意して技術開発競争を喚起し、長期的な情勢の変化に対応できるよう提言。温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」を見据え、複数の脱炭素化エネルギーシステムを電源構成の選択肢に挙げた。再生可能エネルギーは経済的な自立と脱炭素化を進め、原子力は実用段階にある選択肢とした。いずれも温暖化対策やエネルギーの安全保障を意識したものだ。

 坂根正弘分科会長(コマツ相談役)は「今の技術レベルで考えると、枯渇する化石燃料の代替を再生可能エネルギーができるとは思わない。(地球温暖化対策の観点からも)原子力をギブアップできない」と話した。
日刊工業新聞2018年4月30日

坂根氏ロングインタビュー
 エネルギーを巡る議論は複雑さを増している。経済性や安全性、安定供給といったように、複数の要素が絡み合い、解きほぐすのが難しい。地球温暖化対策という世界規模の課題にも応えなければならない。この中で国民の生活や産業活動を支えるエネルギーの将来の姿をどう描いていけばいいのか。小松製作所(コマツ)相談役で、2014年に策定されたエネルギー基本計画の見直しを検討する総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の分科会⻑を務める坂根正弘さんに持論を語ってもらった。

化石燃料は枯渇する
 ―温室効果ガス排出削減のための新たな国際枠組み「パリ協定」が発効しました。それを踏まえ、2016年に策定された地球温暖化対策計画では、2050年までに温室効果ガス排出80%削減という高い目標を掲げています。環境問題とエネルギー問題を両立するにはどのような考え方が必要になりますか。
 「私はエネルギーと地球温暖化問題の両方の議論を経験しています。経団連の環境・安全委員長として、原発比率50%を掲げた鳩山由紀夫政権時代の2009年から5回連続でCOPに参加しました。また2014年からは政府の総合資源エネルギー調査会会長を引き受けました。そして問題の本質が見えてきました。いずれも『化石燃料は枯渇する』という視点で考えなければなりません」

 「化石燃料が無くなった時、代替エネルギーがないと経済や国民生活に多大な影響を及ぼします。先進国が大量消費することで、石油は50〜100年後には無くなるかもしれない。最後まで頼らざるを得ないのは石炭です。投資余力の乏しい途上国が発展するには石炭の利用が不可欠。先進国は石炭を途上国に残さねばなりません。私はこの信念を絶対に曲げません」