日本ではちょっと特別な意味を持つ背番号「18」

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◆ エースと言えばやっぱり...

 野球に限らず、スポーツにおける背番号には、競技ごとにそれぞれの「意味」があることが多い。

 例えばイチローの「51」や松井秀喜の「55」など、活躍した選手が背負った番号にあとからついてくる場合もあるが、野球における「18」には、それ以上の永きに渡る“エースナンバー”という意味がある。

 由来は諸説あるが、巨人で藤田元司から堀内恒夫、桑田真澄という名投手に受け継がれてきたことでその印象が強まり、桑田に憧れを抱いていた“怪物”松坂大輔はプロ入りの際に「18」を熱望。そういった流れから、「18」という番号が持つ「意味」は日本球界で徐々に強まっていった。

 今シーズンから海を渡り、ロサンゼルス・ドジャースに入団した前田健太も、近年の代表的な「18」の一人だ。

 広島入団2年目、前年に現役を引退した佐々岡真司から「18」を受け継ぎ、通算97勝(67敗)をマーク。最多勝2回、最優秀防御率は3回と、その「意味」をまさに背中で見せ続けた。

 同じくメジャーの舞台で活躍している、ニューヨーク・ヤンキースの田中将大もそう。入団より7年間、楽天の「18」を背負ってプレー。通算99勝(35敗)という驚異的なペースで勝ち星を重ね、数々のタイトルを獲得している。

◆ 各球団の「18」

 しかし、今年の日本野球界を見てみると、背番号「18」に元気がない。一度全チームの背番号「18」を整理してみよう。

<各球団の背番号18>

松坂大輔(ソフトバンク) ※一軍登板無し

斎藤佑樹(日本ハム) 7試合 0勝0敗 防3.00

多和田真三郎(西武) 7試合 1勝3敗 防6.00

藤岡貴裕(ロッテ) 21試 1勝0敗3ホールド 防1.74

岸田 護(オリックス) 12試合 0勝0敗6ホールド 防6.75

 〜不在〜 (楽天)

杉浦稔大(ヤクルト) 8試合 0勝0敗 防6.43

杉内俊哉(巨人) ※一軍登板なし

 〜不在〜 (広島)

藤川球児(阪神) 21試 3勝5敗2セーブ 防5.45

鈴木翔太(中日) ※一軍登板なし

三浦大輔(DeNA) ※一軍登板なし

 「ご覧の通り」というより、「ご覧の有り様」と言ったほうが正しいのかもしれない。

 ベテラン勢では、巨人の杉内が股関節の手術を受けた影響で大幅な出遅れ。完全復活へ向けてリハビリ中という事情があったが、DeNAの三浦大輔はファームでも10試合で1勝4敗、防御率5.65と苦しい戦いが続く。

 阪神に復帰した藤川も先発として開幕を迎えながらチーム事情から抑え、中継ぎと仕事場を変え、3勝5敗の2セーブで防御率5.45。日本復帰2年目となるソフトバンクの松坂も、今季もまだ一軍登板を果たせていない状況だ。

◆ 後半戦の巻き返しに期待

 一方、期待の若手も伸び悩み気味。中日の高卒3年目・鈴木翔太は一軍登板なく、ヤクルトの2年目右腕・杉浦稔大も8試合の登板で勝ち負けなし、防御率6.43といまひとつピリッとしない。

 西武のドラ1ルーキーである多和田も、デビューを果たして初勝利は掴んだものの、まだプロの壁にぶち当たっている感は否めない。そしてかつての大卒ドラ1である日本ハム・斎藤佑樹に、ロッテの藤岡貴裕といったところも、まだまだ期待に応えたとは言い難い状況にある。

 野球ファンにとって、特別な背番号である「18」――。それぞれのチームのファンが「18」の背中に期待を乗せて、スタンドから思いを馳せる。

 ここまで苦しんでいるとはいえ、まだまだシーズンは折り返し地点を迎えるくらい。シーズン後半、それぞれが巻き返し、一人でも多くの「18」が、マウンドの上で輝くことを期待したい。