日本への帰化を希望していると報じられたガンバ大阪のブラジル人FW、パトリック(写真)。セルジオ氏は「パトリック帰化希望の話を、好意的に受け止めている」と語る。

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 ガンバ大阪のブラジル人FW、パトリックが日本への帰化を希望するというニュースが話題になっているね。日本国籍を取得し、日本代表としてロシア・ワールドカップに出場というシナリオかな。僕としては、この件をすごく好意的に受け止めているよ。
 
 帰化は過去に何度もあったし、決して珍しい話ではない。日本が初出場した98年フランス・ワールドカップでは呂比須 ワグナー、02年日韓大会と06年ドイツ大会では三都主アレサンドロ、10年南アフリカ大会では田中マルクス闘莉王。もっと遡れば、ネルソン吉村、ジョージ与那城、ラモス瑠偉らがいるよね。
 
 唯一、14年のブラジル大会では帰化選手が出場しなかったけど、それまでのワールドカップでは帰化選手が必ず日本代表にいた。そう考えると、ロシア大会に帰化選手がいても不思議はないよ。
 
 僕としては、パトリックに限らず、帰化選手が増えるのは大賛成だね。この前のラグビー・ワールドカップを見ても分かるように、外国出身選手が日本の躍進に貢献していた。ラグビーは代表資格に国籍という条件がないから、サッカーとは条件が大きく異なるけど、それでも「日本サッカーの強化」という意味では参考になる話だよ。
 
 例えば、日本サッカー協会とJリーグがタッグを組んで、『帰化サポートプログラム』というのを立ち上げたりしたら面白いよね。様々な面でグローバル化が進むなか、日本サッカーも改革に乗り出さないと、世界の潮流から取り残されちゃうよ。
 
 サッカー協会やJリーグがそうしたプログラムに取り組んで、帰化選手のサポートに本腰を入れるならば、僕は全力でバックアップしたいと思っている。
 
 今は日本代表を「国内組」と「海外組」とカテゴライズしているけど、そこに「帰化組」が加わる日が来るかもしれない。逆に日本人が他国に帰化して、他国代表として出場するようになれば、『日本人』というブランドがサッカー界で確固たる地位を築いた証拠になると思う。
 
 
 Jリーグに関して言えば、“永住権”を有する選手は、『外国籍枠』から外すというルールを設けたらどうだろうか。
 
 国籍とはまた別の話で、僕も取得した永住権とは、日本に住むことを国から許可された証。プロ野球では、外国籍選手であっても、「特別永住権」を有していれば『外国籍枠』に含まれない。
 
 サッカー界に話を戻すと、EU加盟国の欧州リーグでは“市民権”を上手く利用している。まずEU加盟国の選手は、他国でプレーしても『外国籍枠』に含まない。また南米やアフリカなどEU圏外の選手でも、長期居住やEU圏の人との結婚、血縁関係などによって市民権を取得すれば、『外国籍枠』に含まないことになっているリーグが多い。
 
 法律も絡む話とはいえ、Jリーグも同じようになれば面白くなるよね。よく「外国籍選手が多く出場すると、日本人の出場機会が減る」という話もある。
 
 一面ではそのとおりだけど、逆にハイレベルな競争が日常化し、日本サッカーのレベルアップにつながるはずだよ。海外から人の出入りも活発になり、競争が激化すれば、サッカーの質も自ずと高まっていく。
 
 Jリーグ史を紐解けば、帰化選手の在籍経験があるヴェルディ川崎(現・東京V)、清水エスパルス、浦和レッズ、名古屋グランパスなどは、タイトルを獲得したシーズンには必ずと言っていいほど帰化選手が活躍している。
 
 帰化選手と外国籍選手をフル活用すれば戦力は充実するし、それ相応の結果を残しているよね。これは決して偶然ではないだろうし、Jリーグの『外国籍枠緩和』はもっと議論してほしいよ。