お金で買うしかない“2つの幸せ”って? 専門家が語る、「幸せ」と「お金」の関係

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お金の「そうなんだ!」「本当?」といったいろんなヒントをファイナンシャルプランナーの筆者が分かりやすく教えます。今回のテーマは「お金でしか買えない幸せ」というお話です。幸せをお金で買うなんておかしい?いやそうでもないのです。

安いだけで買ってはいけない!節約せずにお金が貯まる買い物術

■幸せはお金では買えないものだが

大原則として、幸せはお金で買えるものではありません。しかし、よくよく考えてみると、多くの幸せはお金で手に入れるものだったりします。

お気に入りの服を見つけて衝動買いするためには、お金が必要です。新作ゲームソフトで遊びたいと思うのならお金が必要になります(無料プレイだけで幸せならいいのですが)。友達と楽しい時間を過ごすとき、スタバのお茶代あるいは飲み代を出して「場所」を手に入れることになります。

とはいえ、本当にお金がないなら友達と過ごす場所を自宅にすることもできますし、アウトレットやフリーマーケットで服を探せば、お金はそれほど問題ではなくなります。むしろお金で手に入れるのは難しい「ゆとりのある時間」の確保や「大事な人の存在」のほうが重要になってきます。

お金をかけて結婚式をどんなにゼイタクにしたとしても、人生をともに過ごしたいと思いあう結婚相手を見つけることはお金と関係ないところで努力しなければなりません。やはり幸せはお金で買えないという気がしてきます。

しかし、これからの人生において、どうしても「お金で買うしかない幸せ」2つあるのです。

お金の専門家であるファイナンシャルプランナーの立場から、今回は少し「お金で買う幸せ」について考えてみましょう。

■「家」にまつわる幸せはお金で買うしかない

お金が幸せに直結するテーマの一つは「家」です。

マイホームに家族が住む幸せを思い描いたり、自分の家があることで安心が得られるとしたら、これはお金で買わなければなりません。家がない状態は不安定だということは誰でも感じることだと思います。マンガ喫茶をはしごしながら一年を過ごすことは、仮に家賃より安上がりであってもストレスでしょう。ちゃんとした仕事について生活を営みたいのであれば家は欠かせません。

30代から40代になると、一生のすみかとして家を買うことになります。3000万円以上になることも多い買い物は人生で一番高い買い物になりますが、これにより「住むところはある」という安心を得たり、家族が楽しむよりどころ、文字通り「ホーム」ができることになります。

しかし、金額を見れば分かるとおり、そのためにかかるお金は高額です。一部を予め貯めておき頭金として出し、残りをローンにして数十年かけて返します。返済がありますから、仕事がイヤだからと無職になることはもう許されません。しかし、部屋に帰ってくつろぎ、家族に「お帰りなさい」と言ってもらえることでまた仕事をする元気をもらえるわけです。

できるだけ無理のない金額で家を買うことや、上手な返済計画を考えることも幸せと連動するお金の問題です。いい物件は高く、遠くてやや狭い物件は安くなります。幸せをどこまでお金で買うか悩ましいテーマです。

また、賃貸派で家を買わなくてもいいよ、という人も、一生家賃を払い続ける「お金」が必要なのは事実です。家を買わなくてもやはり、お金の問題となってくるわけです。親の家をそのままもらえる場合であっても、相続税や固定資産税は払わなければならないので、これまたお金の問題となってきます。

■「こども」にかかる幸せはお金で買うしかない

もうひとつ、お金が幸せに直結するテーマは「こども」です。

子どもを育てるのは楽しいことがもりだくさんです。マンガ「よつばと!」に出てくるような楽しいシ子育てチュエーションは本当にやってきます。私たちはよく「超かわいい!」といいますが、子育てをしている親の立場から言わせてもらえば、「超かわいい!」と心から思うのは、子育てしているときです。

しかし、子どもを育てていくことは、ほとんど「お金」の問題です。子どもにご飯を食べさせ、服を買い与え、保育園や幼稚園の通園料を払わなければなりません。週末はどこかにおでかけすればお金がかかりますし、習い事や塾、予備校などいくらでもお金がかかります。確実に毎月何万円もかかります。

高校や大学の学費も高額で、7年間で900〜1000万円くらいはかかるといわれています。子どもが社会人になるまでのあいだかかるお金の総額は2000万円ともいわれます。ある程度は節約できたとしても、ゼロというわけにはいきません。

子どもを働かせて自分にかかるお金を稼がせるようなことはできませんので、文字通りこれは「親の全額負担」です。子どもの笑顔は親のお金があって成り立つのです。

親になる、ということは、子育ての責任を負うということですが、これはほとんど「お金の責任」でもあるわけです。幸せをかみしめつつ、お金がかかる苦労も乗り越えていかなければならないのです。

■お金で買える幸せは堂々とお金で買えばいい

「幸せはお金で買えるものではない」と無邪気に言っていられるのは学生時代までの話です(実はこれも親にお金を出してもらって成り立っている幸せだったのです!)。

少なくとも、幸せとお金の問題はセットであることを自覚しておく必要があります。そして「家」と「子ども」はどうしても幸せをお金で買わなければならない要素です。

お金で買える幸せは、誰にも悪びれることなく堂々とお金で買えばいいのです。もちろん、幸せがある、ということが仕事をがんばる励みにもなります。もしかしたら、「幸せのためにお金が必要だ」と自覚していることが、仕事の成績にもつながるかもしれません。

ときどき、幸せとお金の関係を考えてみると、自分のこれから進むべき方向が見えてくると思いますよ。