安徽省・天長市で27日、飛び降り自殺を図った中学3年生の女子生徒を助けようとした37歳の男性教師が死亡した。教師は女子生徒とともに転落したが、生徒を抱えてひねるように自分の体を下側にした。生徒は助かった。中国新聞社が報じた。

 亡くなったのは37歳の朱長海先生。27日昼に、担任を務めてるクラスの女子生徒ひとりが、学校から出て行ってしまった。生徒の書置きには「先生、お父さん、お母さん、ごめんなさい。私はもう、勉強を続けていかないことにしました」と書かれていた。

 朱先生は生徒に両親に連絡し、自分でも生徒の行きそうな場所を捜したが見つからなかった。午後2時ごろになり生徒の両親も到着し、朱先生と天長市市街を探したが、見つからなかった。

 生徒の行方を知っていそうな人に、次々に連絡してたずねた。午後10時半ごろになり、同級生のうち1人の家に行ったのではないかとの情報を得た。朱先生はその家に駆け付けた。

 学校から姿を消した生徒は見つかった。生徒は気が高ぶっていた。朱先生はゆっくりと時間をかけて話を聞き、自分の考えも伝え、「心配しなくてよいから」と言って、家に帰るよう説得した。

 しかし女子生徒は突然、部屋の窓に走り寄って飛び降りて死ぬと叫び始めた。部屋は3階で、地上から約8メートルの高さにある。朱先生はあわてて駆け寄って止めようとしたが、2人ともバランスを崩した。

 朱先生は生徒の体をつかみ、上に押し上げるような恰好で落ちていった。2人はそのままの体勢で地面に激突。朱先生は下敷きになった。2人は病院に搬送され治療を受けたが、朱先生は死亡した。生徒は脚の骨にひびが入ったが、そのほかに大きなけがはなかった。

 朱先生は「熱血教師」として知られていた。ブログをつづっていたが、「私は生徒に心をささげました。クラスの担任をしていると、わずらわしいこと、つまらないこと、つらいこと、そして幸せなこと、すべてを経験します。これらの味わいは、自分でやってみないと絶対に分からないことです」などと書き込んでいた。

 健康には恵まれていなかった。しかし体調が悪くても仕事を休むのをいやがり、胆石の治療時期を逸してこじらしたり、すい臓炎が悪化しているにもかかわらず仕事を続け、倒れてしまったことがあるという。

 朱先生は生徒と手紙をやりとりして、いろいろな悩みについてアドバイスしていたという。「先生からの手紙の返事はいつも、机の引き出しに入っていました。生徒みんなに手紙を書いてくれるのに、先生はどれだけ自分の時間を使ってくれていたことか」と話す生徒もいる。

 学校には寄宿舎があり、朱先生は夜勤もしていた。自分の父親が脳血栓で倒れたとの知らせが入った時も、朱先生は生徒すべてが就寝するのを見届けてから病院に駆けつけた。母親も病気がちだが、朱先生自身が過労で倒れ、母親を心配させたこともあった。

 両親とのことについては朱先生自身が悩んでおり、ブログに「父と母には本当に申し訳ない。この息子は親不孝者です」などと書き込んだことがある。

 朱先生が大学を卒業して教員になったのは2000年だった。約14年間にわたって誠心誠意、生徒のために尽くしたが、悲しい結末となった。(編集担当:如月隼人)