最初にお伝えしておくと、私は意志が弱い人間だ。それも、人一倍。

生まれてこのかた、何事においても「楽な方、楽な方へ」と流されてきた。

お金は手元にあればあるだけ使ってしまい、常に財布はスッカラカン。

お酒が大好きで、同僚や友人に「今日一杯だけ行かない?」と誘っても、「お前の場合、“一杯”じゃなくて“いっぱい”だろ」と言われる始末。

悔しいが、気づけば大抵同僚や友人が言っていた通りになっている。

そして、暴飲暴食を続けた結果は言うに及ばず、

ブヨブヨと太っていくにつれ、おしゃれにも無頓着になり、クタクタにへたるまで一張羅を着潰していた。

こうして「無駄遣い」「暴飲暴食」「無頓着」をさんざん繰り返した当然の報いとして、私は見事に「ビンボー」「デブ」「非モテ」の三重苦に陥っていった。

(「プロローグ」より)

このように過去を振り返るのは、『家計簿つけたら、ヤセました!』(川下和彦著、あさ出版)の著者です。ところが、なにげなくスマホで家計簿をつけてみたところ、お金を節約できるようになり、体を動かすようになったので痩せ、モテるようになったというのです。

まさに「風が吹けば桶屋が儲かる」を地でいくような話ですが、「連鎖式習慣法」と名づけたこの方法を続けた結果、一切リバウンドすることもなく、心身ともに最高のコンディションを維持しているのだとか。そこで本書では、挫折を繰り返してきた人でも続けられる「習慣化の方法論」を体系化しているわけです。

きょうはその「連鎖式習慣法」を解説した、II部「これが『連鎖式習慣法』だ! --風が吹けば桶屋が儲かるように、成功の連鎖が起きる習慣化メソッド!!」のなかから「『続ける』を『続く』に変える3つのステップ×7つの発想法」をご紹介したいと思います。

「続ける」を「続く」に変える3つのステップ

著者のように、これまでなにをやっても続けることができなかった人でも、以下の3ステップを実践すれば習慣が続くようになるのだそうです。

ステップ1 意志の力を使おうとしない

目標を立てると、一刻も早くそのゴールに近づきたいと思うもの。しかし、その瞬間にアクセルを踏んでしまうと、遅かれ早かれガソリンは底をつき、最後には止まってしまうと著者はいます。「今度こそは!」「今度こそは!」と毎回意思の力を使おうとする限り、延々と同じ失敗を繰り返すことになってしまうとも。

例えば、ダイエットのために食事制限を始めたとする。

最初は付き合いを断ることができるかもしれない。

ところが、尽きることなく毎日誘惑が襲いかかってくる。

次々とくるお誘いを断るたびに意志の力は消耗していき、最後は「やっぱり断り続けるのは無理だ…」と習慣を投げ出してしまうことになるのだ。

(116ページより)

だからこそ「続ける」を「続く」に変えるためには、まずしっかり意識して意志の力を使うことをやめるべきだということ。この考え方は、「自分を南極のペンギンだと思い、どうすれば自分の力を使わないでまっすぐ長くすべり続けられるかを考えること」だと著者は記しています。(116ページより)

ステップ2 習慣化の障害になりそうなことを想像する

自分が南極の大地にたたずむペンギンだとしたら、エネルギーを使わずに前進するのはどうしたらいいでしょうか? ここで意識すべきは「慣性の法則」だと著者。

力を加えられた物体は等速直線運動を始め、まっすぐ同じ速度で進み続けます。ただし、それは「空気抵抗や摩擦抵抗がなければ」の話。地球上では物体に対して空気抵抗が働いたり、物体と床との間で摩擦抵抗が発生したりするため、まっすぐ進み続けようとするのを妨げる力が働き、物体はやがて停止してしまうわけです。

これをダイエットに当てはめてみましょう。夜はおつきあいを断れなかったり、がんばった1日の締めくくりにご馳走を食べたいと思ったりすると、それだけダイエットに対する抵抗が大きいということになります。

ペンギンの立場になって考えるなら、意志の力で乗り越えられなければならない障害があり、摩擦抵抗の少ないツルツルの氷ではなく、抵抗の大きいデコボコの氷の上を滑らなければならないようなもの。自分の意思を使って前に進まなければならないので、結局はエネルギーを消耗してしまうということ。(117ページより)

ステップ3 障害を取り除いてから習慣化をスタートする

自分にとって障害になりそうなことがわかったら、次はそれを取り除き、自分に等速直線運動を続けさせられる環境を整える段階。習慣化に対する障害が多いからといって、ダイエットをあきらめなければいけないわけではないという考え方です。

夜のおつきあいを、昼に移動してみる。

ランチの内容を調整してみる。

ランチが重要なコミュニケーションの機会であるなら、夕食の内容を調整する。

たとえばこのように、習慣を持続する上で障害のない環境を整えることで、ペンギンが抵抗の小さいツルツルの氷の上を滑るような状態をつくることができるというわけです。(115ページより)

「続ける」を「続く」に変える7つの発想法

習慣を定着させようとするとき、私たちは想像以上に「意志の力を使って努力しなければならない」と思い込んでしまっているもの。しかしそうではなく、いかに楽して「続く状態」をつくれるかと発想することが、習慣を持続させるうえでの最大のポイントだと著者は主張しています。

とはいえ習慣化の妨げになることを取り除く方法を、まったくのゼロから発想するのは楽ではありません。そこで著者が紹介しているのが、上記「ステップ2 習慣化の障害になりそうなことを想像する」を実践する際に役立つという、7つの発想法です。

「続ける」を「続く」に変える7つの発想法

1. フラット化

2. 細分化

3. シングル化

4. リズム化

5. 見える化

6. シンプル化

7. 適応化

(124ページより)

三日坊主やリバウンド状態にならないためには、坂の角度を限りなくゼロ度に近づけることが重要。傾斜が小さくなれば、ペンギンは長く等速直線運動を続けることが可能になるわけです。同じように、できるだけ目標を低く設定することで、意志の力を使わなくても習慣が長続きするようになる。これが「フラット化」という発想法。

大きな壁に勢いよくぶつかっていっても、あっけなく跳ね返されてしまうもの。ならば、氷山を小さく砕けば、それらを蹴散らしながら進んでいくことが可能。つまり、やるべきことを切り分けてもまだ引っかかるときは、さらに細かく砕けばいい。この考え方が「細分化」。

習慣化において大切なのは、まず1つの行動を定着させるのに集中すること。一度にあれこれやりたくても、欲張らず、まずやることを1つに絞るという考え方を「シングル化」と言います。

無理なペースで意志の力を消耗させるのではなく、自分に合ったリスムをつかむことが大切。一定のペースを守って実践していれば、いつの間にか無意識にできるレベルになっているものだという発想が「リズム化」。

先にも触れたとおり、著者はスマホで家計簿をつけることによって、支出を可視化できるようになったといいます。その結果、自分が普段なににどれだけお金を使っているかを数字で把握できるようになったということ。つまり「見える化」することが大切だという考え方。

習慣化において大切なのは、できるだけやることをスッキリさせて、心理的な抵抗を増やさないこと。これが「シンプル化」。そして、環境の変化に対し、まず「どうすれば、いつもやっている環境に近い状態を整えることができるか?」と発想してみることが「適応化」。

これら7つを意識していれば、無理なく習慣化を実現できるということです。(123ページより)

タイトルも考え方も奇抜に思えるかもしれませんが、本書における著者の主張は、とても理にかなったもの。しかも「連鎖式習慣法」は、決して難しくなくシンプルそのもの。活用してみれば、ライフスタイルがなんらかの形で改善できるかもしれません。