そしてA列車でも、百貨店や遊園地、住宅やペンションなど多くの子会社を経営できる。鉄道を使って街を発展させ、さらに娯楽が少ないなど、街が持つ問題を解決すれば、さらに鉄道の利用客も増える。街と鉄道は一緒に発展してきたのだ。


さらに今回の3DS版では、鉄道会社の社員以外に、行政側のキャラクターが登場。行政が産業誘致をしている「用途地域」に建設するなど、条件次第では建設費用の一部が「助成金」として援助を受けることができるので奥深い。


南田さん「A列車のおかげで、鉄道計画を妄想する事がきわめて普通の事だと、みんなに胸をはって言える。感謝していますね。」

「未来でも、鉄道は車や飛行機に負けてほしくない。MR線(南田妄想鉄道)では人口減を見越して、貨物車をもっと進化させて物流を促進したり、車両をライブ会場に使うなど、多様な使い方を計画しています。鉄道経営は常に未来から現在を見なくてはいけません。」

ちなみに『A列車で行こう3D』でも、貨物車の運用はとても重要だ。

資材のほかに、農産、石炭、石油など、『A列車』シリーズに新たな資源が登場する。時代と共に主力資源は変化し、時代の移り変わりを輸送面からも感じることができる。

南田さん「他には豪華車両を増やして客単価を上げる事も、MR線では試みたいですね。実際にJR九州の豪華寝台列車「ななつ星」は大人気です。様々な方法があると思います。」

そこで南田さんの言葉を参考に、クレジットカードの種類ごとに、乗れる車両グレードと料金が異なる電車を描いてみた。未来でクレジットカード社会がもっと発展すれば実現してしまうかもしれない。


さて、次に話をきいたのは、ジェイアール東日本企画の手老 善さんだ。

手老さんは、車両基地の貴重な映像を集めた「車両基地」DVDシリーズを監修したことでも有名だが、主な仕事は電車広告、とくに映像を表示するデジタルサイネージの担当者だ。
「JR東日本だけで、約2万面のディプレイがあります。日本で最大規模のデジタルサイネージでしょうね。乗客にとって便利で楽しめるメディアとして運営していますので、広告を表示する際も、下のようにニュースや天気と組み合わせたり、できるだけ自然に見えるようにしています」

「トレインチャンネルがはじまったのは2002年で、効果が良いので急速に普及しました。ディスプレイは年々薄くなり、コストも下がっています。窓にも透明なディスプレイを貼れるし、ずいぶん先の未来だと、床も含めて車内全体に映像を写すこともできるかもしれませんね。また、ディスプレイを外面に張れば、光学迷彩も不可能ではないでしょう。」

このような攻殻機動隊っぽい透明電車が走る日がくるのかもしれない。実際にクルマでは、メルセデス・ベンツが同じ原理で2年前に実施しているので、ありえない話ではない。

さらに、車内全体を映像化できるなら、例えば次のように、架空の車外風景を写して、3D映画のように乗客を楽しませることもできそうだ。未来の鉄道はディズニーランドのようになるかもしれない。

※滋賀イラスト:田中成憲