――普段、マンガは読みますか?

橋本:最近は、楳図かずおさんのすごく昔の作品で「漂流教室」や、古谷実さんの新作(「サルチネス」)も読んでいます。

――お仕事以外で、最近ハマっていることはありますか?

橋本:最近興味が沸いたのは「絵」です。まだ行き始めたばかりなのですが、美術館が好きになりました。この前、エル・グレコ展を観たり、熊本に帰った時にちょうど奈良美智さんの個展をやっていたので、観に行きました。

――シズオは42歳にして自分探しを始めますが、橋本さんはこれまで自分探しをしたような経験はありますか?

橋本:どこにもいないから、自分を探すというか、作っているという感じでしょうか。好きな作品に出演出来ること自体がとても幸せなので、その作品ごとに自分を作り上げるような感覚です。お客さんと共鳴したい、そんな作品にたくさん出演したいです。一緒にお仕事をしたい方もたくさんいます。

――キネマ旬報やアカデミー賞で新人女優賞に選ばれましたが、女優として成長している実感はありますか?

橋本:あまり無いのですが、変化はしているのかな、ということは感じます。

――ちなみに、橋本さんは今後マンガを書いてみたいと思いますか? 女優、モデル以外で挑戦してみたい職業があれば教えて下さい。

橋本:マンガを書いてみたい…と思うことはないかも(笑)。また、私はそんなに器用ではないので、女優やモデル以外に挑戦したいと思う職業はありません。ただ、ずっと前から「スタントマン」にはなりたいと思っていて。スタントシーンも自分で演じてみたいのですが、なかなかやらせてもらえないので、余計に楽しそうだなと思います。

――本作は『俺はまだ本気出してないだけ』というタイトルですが、橋本さんは本気出してますか?

橋本:どうでしょうか(笑)。本気というより、全うするという感覚の方が近い感じがします。本気でやろうとして、全くお芝居が出来なくなってしまうことはしょっちゅうあるので、気のコントロールのようなことは必要だなと思います。

――では最後に、これから本作をご覧になる方に向けて、本作のここを観て欲しいという所はありますか?

橋本:観終わってただ笑って帰ることが出来る人もいるだろうし、思いもよらない所で物語が心に刺さっちゃうという人もいる、そんな作品じゃないかなと思います。登場人物が多く、更に一人一人のドラマがきちんと描かれているので、自己投影できる人物がとても幅広いと思います。ただのコメディ映画では終わらない作品だと思います。

――特にお気に入りのシーンは?

橋本:河原での、おじさん二人の体育座りがすごく好きです(笑)。

 インタビュー中、橋本 愛の相手を貫くような真っ直ぐな瞳は、確固たる意志の強さと、揺るぎない個性を物語っていた。台詞がほとんど無くても、視線や佇まいで感情を訴えかける彼女の演技を通じて、言葉以上に確かな父娘の想いを感じ取ってもらいたい。

映画『俺はまだ本気だしてないだけ』オフィシャルサイト 2013年6月15日公開!