マネーのトリビア (36) 年金制度は危ないらしい…それでも”国民年金”の保険料を払ったほうがいい?

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雑誌などに「公的年金制度は崩壊する」なんて書かれているの見ると、たしかに心配になりますよね。

サラリーマンは厚生年金の保険料が給与から天引きされているので、保険料の支払いを拒むことはできませんが、国民年金に加入している自営業やフリーランスの人は「将来年金が受け取れないかもしれないのに、保険料を払うのはバカらしい」と思ってしまうかもしれません。

実際のところ、高齢化によって公的年金の財政は厳しく、20代、30代の人は、いま高齢者が受け取っているほど多くの年金はもらえない、というのはほぼ確実です。

でも、公的年金は国にとって最も重要な制度の1つですから、制度が破たんして年金がゼロになる可能性はまずないと考えられます。

ですから、金額は下がるかもしれないけれど、年金を受け取る権利を確保するために、国民年金の保険料はきちんと払っておいたほうがいいといえます。

年金というと、年をとったときにもらうものというイメージがありますが、公的年金には遺族年金と障害年金もあります。

遺族年金は、亡くなった人の扶養家族に年金が支払われる仕組み。

障害年金は、ケガや病気で大きな障害を負ったときに受け取れます。

若い人でも、バイクの事故などで重い障害を負うことがありますよね。

そんなとき国民年金の保険料を払っていなかったら、障害年金は受け取れません。

現在の年金額は障害が重い場合で年間約98万円、それより軽い場合で約79万円。

もし障害が一生続くとしたら、障害年金があるとないとでは経済的にまったく違ってきてしまいます。

それを考えても、国民年金にはやはり入っておくべきです。

公的年金が当てにならないので、国民年金の保険料を払うのをやめて、自分で保険会社の個人年金保険に入ったほうがよいのではないかと考える人もいるようですが、それも賢明とはいえません。

現在のような低金利のときに個人年金保険に加入すると、将来受け取れる年金額の総額は、払った保険料の総額のせいぜい1.2倍でしょう。

一方、国民年金の平成24年度の保険料は年間約18万円で、これを20〜60歳までの40年間払うとすると720万円。

これに対して、現在の年金額は約79万円ですから、65〜90歳までの25年間受け取るとすると1975万円となり、払った保険料の2.7倍以上の年金が受け取れる計算です。

もちろん、保険料は上がるかもしれないし、年金額は下がるかもしれませんが、それでも個人年金よりはずっとおトクです。

なぜそうなるかというと、個人年金の原資は加入した人が払った保険料であるのに対し、国民年金の原資は、半分が保険料、半分が税金だから。

というわけで、あくまでもメインは国民年金で、個人年金はそれを補うものと考えましょう。

もし経済的に厳しくて保険料の支払いが難しいときは、”免除”という制度も利用できます。

未払いが続くと年金を受け取る権利がなくなってしまいますが、免除は申請して認められれば権利は確保できますので、面倒くさがらずに手続きをしてください。

国民年金保険料の免除について(日本年金機構のサイト)http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=3770