空前の「糖質制限ブーム」に医師が警鐘。自らを実験台に“2週間計測”して分かった、血糖値コントロールの盲点
昨年の健康診断に引っかかったという会社員男性の高橋勝也さん(仮名・54歳)も、そのうちの1人だった。
「糖質制限ダイエットが流行っていると知り、米をやめて鶏肉やナッツを食べるようにしました。女子社員にも『意識高いですね』と言ってもらえたり、始めて2か月でみるみる体重が減って嬉しかった。
近頃、こうした過度な糖質オフダイエットが原因で体調を崩す人が相次ぎ、専門家たちは警鐘を鳴らしている。
◆糖質オフダイエットがもたらす長期的な弊害
「『米は一切食べない』『サラダチキンだけ』といったストイックすぎる糖質制限は、長期的には体に大きな負荷をかけます。
糖質が極端に不足すると、体は『飢餓状態だ』と錯覚し、防衛反応としてストレスホルモンを過剰に分泌。
その結果、不眠や不整脈を引き起こし、最悪の場合は心臓病などの突然死リスクが高まるとされているのです」
そう語るのは、総合内科・呼吸器内科専門医の山本康博氏。血糖測定器「FreeStyleリブレ」で自身の食後血糖値を2週間にわたって計測したnote記事が大きな反響を呼んだ。
「完全に興味本位で始めたのですが、計測してみて血糖値が上がる“食材”や“シチュエーション”がよくわかりました。
無理な糖質制限をする前に避けるべき食事や食事後の対処法を知り、血糖値をコントロールすることが健康的に痩せる近道です」
今回、山本氏が自らの体を計測して分かった、食後血糖値の意外な事実を紹介していく。
◆血糖値を上げてしまう「健康っぽい」飲み物
実験を経て、血糖値が上がった意外な食べ物があったという。
「一見健康によさそうなグリーンスムージーで血糖値が跳ね上がった時は驚きました。フルーツはジュースにすると食物繊維が取り除かれてしまうため、体がすごい勢いで糖質を吸収してしまいます。
ミキサーで混ぜたような、食物繊維が残ってどろっとした形状であれば比較的吸収は緩やかですが、市販のさらさらしているグリーンスムージーはダメですね。オレンジジュースやリンゴジュースなども、血糖値の観点から見れば論外です」
フルーツはそのまま食べれば問題ないが、さらに血糖値の上昇がゆるやかになった“食べ方”があった。
「皮ごと食べた場合とそうでない場合とで、血糖値の上がり方が大きく異なりました。
フルーツの皮には、健康にいい栄養素が多く含まれており、血糖の急上昇を和らげる食物繊維も豊富。リンゴは皮も食べやすいですし、私はキウイも皮ごと食べます(笑)」
◆食後に上がった血糖は脚の筋肉に吸収させる
食べる時間帯や体のコンディションも、血糖値の変動に大きな影響を与えている。
「当直の日であっても、十分に睡眠をとっていれば血糖値はそれほど上がりませんでした。
しかし、当直明けの疲労が溜まっているタイミングや、夜間に食事を摂ると血糖値が急激に上昇しました。
基本的には、同じメニューであっても夜間に食べると血糖値が上がりやすいため、夕食はできるだけ少なめに抑えるのが賢明です。
これは睡眠の質の向上にもつながります。昔から言われている健康法ですが、まさにその通りだと実感しました」
血糖値を下げるには、食事だけでなく運動も有効だという。
「食事内容を変えるのが難しい人は、食事前後で軽い運動をするだけでも効果はあります。
