「おかず」になる前の姿を再現!100年前の「マヨなし」 ポテトサラダを現代流にアレンジ【日本の定番料理10の謎】
家庭の定番料理としておなじみのポテトサラダは、日本に上陸した当初、今とはまったく異なる驚きの姿と味をしていました。さっぱりした味わいで現代の食卓にこそマッチする、100年前の「マヨなし」ポテトサラダを樋口直哉さんが再現します。
「きょうの料理」7月号に掲載中の『日本の定番料理10の謎 ポテトサラダはなぜ「おかずになったのか」』刊行記念記事より紹介します。
書影
総菜店や居酒屋の一品、もちろん家庭のおかずとしても定番のポテトサラダ。料理研究家の樋口直哉さんは新刊『日本の定番料理10の謎』(NHK出版新書)で、ポテトサラダが定番の味になった理由をこう語ります。
じゃがいもを潰すことで、箸でつまみやすくなり、さらに口当たりが滑らかになります。それによって、ご飯との相性がよくなる=口中調味しやすいはずです。こうして考えていくとじゃがいもを潰し、マヨネーズで和えるという最適化は、欧米のサラダを日本独自の「おかず」に改造していくプロセスだったのかもしれません。
では「おかず」になる以前のポテトサラダはどんな姿をしていたかというと……
例えば1910年に出版された『西洋料理教科書』(桜井ちか子編)には茹でたじゃがいもの輪切りと玉ねぎをドレッシングで和えた料理が「ドイツ人が好む料理」として紹介されていますが、現在のようなじゃがいもを潰して、マヨネーズで和えるスタイルはほとんど見られません。
戦後、初期の『きょうの料理』で紹介されたポテトサラダも、野菜が「さいの目切り」にされていたり、フランス料理の前菜のようにピュレ状に裏ごししてお皿に絞り出されていたりと、今とはだいぶ様子がちがいました。『日本の定番料理10の謎』本編では、「膾(なます)=酢の物」として日本にやって来たポテトサラダがマヨネーズと出合い、独自の味に進化していくストーリーをより深くさかのぼります。
『きょうの料理』1960年7~8月号
今回は、100年前のレシピをアップデートした、じゃがいもの味わいが際立つさっぱりポテトサラダのレシピをお届けします!
NEO! ポテトサラダ
こちらはマヨネーズを使わない先祖返りレシピです。
ドレッシングでさっぱりした味わいに仕上げました。
じゃがいもは塩と砂糖を加えた水でゆでると、ホクホクかつしっとりします。
「ほの温かい」くらいが、いちばんおいしく食べられますよ
じゃがいも…(大)2コ(300g)
たまねぎ…1/4コ(50g)
ブロッコリースプラウト(根元を除く)…1パック分(15g)
ハム(薄切り)…4枚(40g)
ドレッシング (酢…大さじ1 塩…小さじ1/4 オリーブ油…大さじ3)
●塩・砂糖
1 じゃがいもは1㎝厚さの輪切りにする。鍋に水カップ2 1/2、じゃがいも、塩小さじ1弱(5g)、砂糖大さじ1強(10g)を入れて強火にかける。沸騰したら弱火にし、竹串がスーッと通るまで12~13分間ゆでる。たまねぎは横に薄切りにし、時々水をかえながら約10分間水にさらす。水けをしっかりと絞る。
2 ドレッシングをつくる。ボウルに酢と塩を入れ、泡立て器でよく混ぜる。オリーブ油を少しずつ加えて混ぜ、とろみをつける。
3 1のじゃがいもの湯をきって別のボウルに入れ、へらで粗く割る。温かいうちに2のドレッシングを加え、均一にからめる。
4 粗熱が取れたら1のたまねぎ、ブロッコリースプラウト、手で食べやすくちぎったハムを加え、サックリと混ぜる。
ポテトサラダがたどった歴史とおいしさの秘密について、詳しくは『日本の定番料理10の謎 ポテトサラダはなぜ「おかず」になったのか』でお楽しみください。本書は以下の構成で日本人が愛する「あの味」がなぜ定番になったのか、驚きのルーツに迫ります。
第1章 居酒屋の肉じゃがはなぜうまいのか
第2章 ハンバーグはいつから家庭の定番になったのか
第3章 なぜ生姜焼きはご飯に合うのか
第4章 から揚げは「和食」なのか
第5章 ポテトサラダはなぜ「おかず」になったのか
第6章 麻婆豆腐はなぜやみつきになるのか
第7章 炭で焼いた魚はなぜおいしいのか
第8章 なぜパスタは日本で愛されるのか
第9章 なぜプロのチャーハンはパラパラなのか
第10章 なぜみそ汁に出汁は必要なくなったのか
樋口直哉(ひぐち・なおや)
作家・料理家。1981年生まれ。服部栄養専門学校卒業。2005年、『さよならアメリカ』(講談社)で第48回群像新人文学賞を受賞し、作家デビュー。同作は第133回芥川龍之介賞の候補にもなった。料理家としての著書に『新しい料理の教科書』(マガジンハウス)、『料理1日目』(光文社)など多数。「きょうの料理」、「激突メシあがれ」(いずれもNHK)などのメディアにも出演し、調理科学に基づいたわかりやすい解説が人気を博す。
※刊行時の情報です

