黒崎煌代 諦めから始まる「最高」の役作り 濱口監督からの言葉は「目からうろこだった」
俳優の黒崎煌代(24)が注目を集めている。2023年に俳優デビューし、昨年公開の主演映画「見はらし世代」(監督団塚唯我)、公開中の映画「急に具合が悪くなる」(監督濱口竜介)と2年連続でカンヌ国際映画祭の地を踏むなど右肩上がりだ。
「急に…」では自閉スペクトラム症の少年を演じ、あまりにリアルな演技に称賛の声が相次いだ。好演の裏には濱口監督からの金言があった。
演じた智樹は言葉を発する場面がほとんどなく、うめき声や突発的な行動で表現する役どころ。「現時点での最高を出さなければと、背筋が伸びるような思いでした」。そんな中で濱口監督から「芝居にはある種の“不可能性”がある」と言われ「目からうろこだった」と振り返る。「“智樹にはなれない”と諦めた上で“智樹に見える”ようにする。そのために何をすべきかを考えることが演じるということなんじゃないかと思った」。
障がいの知識を深めるため、患者が書いた本を熟読。施設を訪れて当事者らにも取材した。発声や所作を書き起こし、行動パターンを反復練習して体に染みこませていった。
同じく障がいがある役を演じたネットフリックス「九条の大罪」にも生きた。「急に…」の準備期間中に「九条…」の撮影が行われ「得た技術を応用しました」。結果、原作者の真鍋昌平氏に「曽我部(役名)にしか見えない」と言わしめた。
演技未経験ながら、5000人が参加した事務所のオーディションを突破。俳優デビュー作がNHK連続テレビ小説「ブギウギ」と大きな期待を背負う。映画関係者は「特殊な役柄でも地に足が着いた自然な演技ができる。『急に…』ではそれがうまくハマっていた」と舌を巻く。才能あふれる新星。次はどんな演技を見せるか。(塩野 遥寿)
◇黒崎 煌代(くろさき・こうだい)2002年(平14)4月19日生まれ、兵庫県出身の24歳。2023年にNHK連続テレビ小説「ブギウギ」でデビュー。「見はらし世代」で初主演を務めた。今年はフジテレビ月9「サバ缶、宇宙へ行く」で民放ドラマ初出演。大の映画好きで、学生時代は年間300本観賞。

