【土屋 直也】Z世代の間で突然出現した「マジ、資本主義すぎ」という言葉を知ってますか?【善の意味でも悪の意味でも使われる】

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「マジ、資本主義すぎ」

「マジ、資本主義すぎ」――こんなZ世代(10代後半から30歳代前半まで)のワードをよく聞く。

直近の話題は、東京ディズニーランドが6月16日に、駐車料金を3000円から4000円に値上げすると発表したことだ。冒頭のようにつぶやいて、「ディズニーはもう金持ち外国人だけ来ればいいということでしょ」と嘆いた。

Z世代にとっては、ディズニーランドはお祭り気分で繰り出す楽しい場所。それだけに、2021年ごろより始まった累積的な入場料の値上げ、待ち時間を短縮するチケット(ファストパス)の有料化などに不満がたまっていたらしい。さらに最近は園内での飲食料金の引き上げなども始まって、こうした不満に火をつけた。

ディズニーランドの「儲け主義」ともとれる対応を「資本主義すぎ」と揶揄(やゆ)している。本来の「資本主義」のもつ奥深い概念は無視し、「商業主義的」という風に使っている。

「有料会員限定の特典ばかり。資本主義すぎ」と、何をするにもお金が必要で利益重視だと揶揄する。「コラボ商品が次々とでてくる。資本主義すぎ」というように、商業主義と批判する場合にも使われる。

「儲け主義」から離れるZ世代

Z世代は、ワークライフバランスを重視し、がむしゃらな儲け主義には距離を取りたい価値観が浸透している。「資本主義すぎ」は彼らの気質にフィットしている。

最近では、揶揄する場合ばかりか、ほめる場合などでも使われている。たとえば、コストカットを徹底していた飲食店主が、店内のグラスを一斉に新しいものに替えた際に、Z世代のアルバイトがおどけた感じで、その大胆な投資を「資本主義すぎ」とたたえるように言ったという。

「資本主義すぎ」の使われ方には、広がりが見え始めた。洒落ている言い回しとしてZ世代に認知され始めている。それだけ、流行語化が進んでいる。

彼らの口の端に上り始めたのは、今年の春先と、わずか2か月ほど前から。ちょうど、半導体銘柄を中心に株価の爆上げが始まった時期と重なる。投資資金の少ないZ世代でも、楽して小遣い稼ぎができるようになった時期でもある。

「資本主義すぎ」というセリフとともに、Z世代が株投資をしていることを話題にしているのを、喫茶店や電車の車内で耳にすることも多くなった時期だ。

ごく最近も乗り合わせた電車で、「キオクシア株は上がりすぎちゃって、もう手がでない。いまは1株から買える米国のハイテク株を買っている。取引時間に時差があるから、眠くてしょうがないよ」とのたまわっている学生たちの会話を聞いた。自分たちでも簡単に小金が儲かるようになって、マネーがらみの会話になじみがでるなかで、「資本主義すぎ」のフレーズも受け入れやすくなっていったのだろう。

バブル時代にも「マルビ」

1980年代のバブルの時代にも、若者の間では「マル金、マルビ(金持ちと貧乏人)」とのフレーズが受けまくった。拝金主義的なところが共通するようにも見える。「資本主義すぎ」も株高のなかで生まれてきたと言える。

なぜ「資本主義」という、経済体制を示す複雑な概念用語を、安易に商業主義と言う程度の意味で使っているのだろうか。広く人の口に上っているワードとはいえ、なぜアカデミックな用語を使うのか。

ある知人は「アカデミックな匂いがするから、かえって使いやすい。拝金主義の下品さを消せるからではないか」と解いた。確かに、むきにならないのが、Z世代の特徴でもあり、少しアカデミックな上品さが彼らの気質に合ったのかもしれない。

むきにならない点は、彼らの働き方にも現れている。ディズニーランドに行きたければ、アルバイトに精出して金を貯めればいいようにも思うが、Z世代はなかなか土日に働かない。ワークライフバランスと言えば聞こえがいいが、それ以上に土日まで働くのはスマートでないとの思いが強いようだ。

その意味では、寝ないで働いて稼ぎ、寝ないで遊んだ1980年代のバブル世代、昭和世代とはちょっと違う。だから、「Z世代は金がないけど、時間はいっぱいある」と看過した昭和世代の経営者がいる。株高と言う時代背景や経済状況は似通っていても、バブル世代とは明らかにスタンスが違う。

「資本主義すぎ」には流行語の兆しがあるが、賞味期限がどれくらい長いのかはまだわからない。使われる期間が長くなるとすれば、意味合いが広がるかどうかとともに、一種の社会現象として、商業主義への批判的な空気が持続し、拡大するのだろう。

それにしても、「マジ、資本主義すぎ」はとても耳に残る。

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