AI一極集中に変化の兆し 新NISAで銀行株が再び注目される理由
新NISA開始以降、個人投資家の資金は米国株インデックスやAI関連銘柄へ向かった。S&P500やNASDAQ連動型ファンドの人気は根強く、米半導体大手エヌビディアをはじめとする巨大テック企業が相場をけん引してきた。
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その一方で、株式市場では別の動きも目立ち始めている。これまで相対的に注目度の低かった銀行株に、改めて投資家の視線が向かいつつある。背景にあるのは、日本経済の環境変化だ。
■「金利のある世界」が銀行株を押し上げる
日本銀行は長く続いた大規模金融緩和からの正常化を進めている。超低金利時代には収益環境の厳しさが指摘されてきた銀行業界にとって、金利上昇は追い風となる。銀行は、貸出金利と預金金利の差、いわゆる「利ざや」で利益を上げる。金利上昇局面では貸出収益が改善しやすく、業績への期待も高まりやすい。
実際、メガバンク各社の業績は好調だ。三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループでは最高益圏の決算が続き、増配や自社株買いなど株主還元を強化する動きも広がっている。
成長期待の面では見劣りするとされた銀行株だが、足元では高配当や安定収益を評価する見方が強まりつつある。
■AI相場への集中に変化は起きるか
もっとも、個人投資家の関心は依然としてAI関連株に向いている。S&P500の上昇は一部の巨大テック企業による寄与が大きく、「インデックス投資で分散しているつもりでも、実際にはAI関連銘柄へ資金が集中している」との指摘も少なくない。
AI関連企業の成長余地は依然として大きい。ただ、市場では一部に過熱感を警戒する見方も出始めている。そうした中、比較的安定した利益と配当が期待できる銀行株に目を向ける個人投資家も増えつつある。
特に、新NISAの成長投資枠では個別株投資が可能なため、銀行株への関心が高まる余地は小さくない。
■新NISAと銀行株の相性
新NISAでは、配当金や売却益が非課税となる。銀行株は比較的高配当の傾向があり、長期保有との相性も良い。インデックス投資を軸に据えながら、個別株で安定配当を取り入れる運用スタイルも広がりそうだ。
もっとも、銀行株にもリスクはある。景気悪化局面では貸倒関連費用が増えやすく、政策金利の方向性によって収益見通しが左右される。AI関連株のような高成長投資とは性格が異なる点には留意したい。
■分散先として浮上する銀行株
重要なのは、「AI株か銀行株か」という単純な二択ではない。新NISA開始から3年目を迎え、個人投資家の資金がAIテーマに集中するなか、市場では分散先を模索する動きもみられる。成長株による値上がり益を狙いつつ、安定的な配当収入も取り込むという動きだ。
