記事のポイント
消費者のホリデー購買行動が早期化し高級アウター需要が急伸している。
センタラーが米国で店舗展開を強化し顧客基盤を拡大している。
百貨店が割引施策を長期化し競争が激化するなかで購買傾向が変化している。


ホリデーシーズンの買い物客は、購入の方法とタイミングを変化させており、16年目のセントーラー(Sentaler)にとって異例に強い追い風となっている。

カナダのアルパカ素材を扱うラグジュアリーブランドであるセントーラーは、今月、米国で初となるマディソン・アベニューのブティックをオープンし、米国市場で前年比50%の成長を報告している。

市場調査会社サカーナ(Circana)によれば、今シーズン、アウターウェアはもっとも成長の速いアパレルカテゴリーで、前年比13.3%増となっている。

ほかのラグジュアリーブランドも同様の勢いを見せている。11月13日のバーバリー(Burberry)の2026年度上半期決算説明会で、ジョシュア・シュールマン氏は、同社の秋冬コレクションが「著しい売り上げの伸び」を記録し、アウターウェアとスカーフが2年ぶりに既存店売上高を再びプラス成長に導いたと述べた。

同ブランドはまた、米国と欧州の主要ホールセールパートナーから「大幅な受注増」も確認したという。

消費者がより早く動きはじめる「戦略的ショッピング」へシフト



こうした強さは、消費者がホリデーに向けてより戦略的な購買行動を取るようになっていることによる。リスト(Lyst)のCEOエマ・マクファラン氏によれば、発見と購入意欲の形成は現在、ブラックフライデーよりかなり前からはじまっているという。

「10月から、リスト上での商品発見や閲覧行動が増え、顧客は事前にウィッシュリストを作りはじめる」と同氏はGlossyに語った。

「11月、当社アプリでのウィッシュリスト登録は2024年同時期比で約40%増となっている」。

さらに同氏は、「週末に向けて、より短く鋭いピークが訪れると思う。事前に準備をしている戦略的なショッパーにとって、このウィッシュリストの準備が大いに役立つだろう」と述べた。

顧客は、決断の不安を減らすタイムレスなギフトに引き寄せられている。「シーズンを通して人々が追いかけ、常にウィッシュリストに入っているような魅力的なブランドアイテムへの欲求は、確実に存在する」とマクファラン氏は語る。

価格重視ではなく「価値と透明性」が重視される新しい消費心理



「しかし、もっともボリュームが大きいのは、タイムレスで信頼でき、贈る側の購入不安を軽減する選択肢である当社のフォーエバー・フェイバリット(Forever Favorites)だ」。

同氏は、今シーズンの価格感度とは「単なる割引ではなく、価値と透明性」であり、ピークセール日になると緊急性の高まりから定価販売がむしろ増えると指摘する。

世界展開を強化するセントーラー、北米で実店舗戦略を拡大



こうした環境のなかで、セントーラーは世界展開を加速させている。

同ブランドは、ショールカラーのアルパカコートや、調達と生産の透明性で知られ、11月マディソン・アベニューに米国初の単独ブティックを開店した。

これはブランド最大規模のリテール強化策の一環で、トロントの新しい季節限定ブティックや、シカゴ、ビバリーヒルズ、パークシティを巡る「スイート・シックスティーン(Suite Sixteen)」トランクショーツアーと並行して展開される。

創業者でありプレジデント兼クリエイティブディレクターのボヤナ・セントーラー氏は、この動きは長期的で安定した需要を反映したものだと述べる。

「長年にわたり、米国のオンライン顧客とは非常に密接な関係が築かれてきた」と同氏は語り、ニューヨーク、ビバリーヒルズ、シカゴを、これまで繰り返し購入があり、トランクショーでのエンゲージメントが高い市場として挙げた。

大手百貨店やセレクトショップでの取り扱いも拡大



自社店舗に加え、セントーラーはノードストローム(Nordstrom)、ブルーミングデールズ(Bloomingdale’s)、サックス・フィフス・アベニュー(Saks Fifth Avenue)、ニーマン・マーカス(Neiman Marcus)、ホルト・レンフリュー(Holt Renfrew)などで取り扱われている。

そのほか、チャナーズ(Channer’s)、アーバン・コーナー(Erban Corner)、ブティック・エウロパ(Boutique Europa)、ゲイリー・ウォーターズ(Gary Waters)、ル・プリヴェ(Le Prive)、マラ・ブティック(Mala Boutique)といったセレクト系ブティックとも提携している。しかし、ブランドは収益数字の共有を控えた。

新テーマ「チェリーラッカー」でブランドの世界観を強化



新しいブティックでは、2025年秋の「チェリーラッカー」モチーフを導入しており、エントランスや店内に大きな光沢のあるチェリーが配置されている。

「このモチーフは、我々の成長と転換点を象徴している」とセントーラー氏は語る。このテーマは、チェリーのアイコノグラフィーが広くトレンドになっているタイミングに重なる。

コーチ(Coach)のチェリーチャームは、今シーズンのリストでももっともウィッシュリストに登録されているアイテムのひとつであり、セントーラーの店舗にタイムリーな視覚的フックを与えている。

同ブランドは、この「チェリーラッカー」キャンペーンをインスタグラムやTikTok上でも拡張し、CGIスタイルのビジュアルで、巨大でハイパーリアルなチェリーをニューヨークやシカゴに落とし込んでいる。

通常1600ドル(約24万円)から2900ドル(約43万5000円)以上の価格帯のコートを展開するセントーラーにとって、顧客の関心を引くのは信頼と長期的価値であり、ブランドのセレブリティによる露出はその関心に直接つながっている。

著名人が「自主的に着用」しブランド力を後押し



セントーラー氏は、すべてのハイプロファイルな着用事例は支払いなしで、セレブリティ自身の意思で行われていると強調する。

「我々のセレブリティモーメントはすべて有機的に生まれたものであり、それをとても誇りに思っている」と同氏は述べる。

「彼らが何でも着られる時代にあって、セントーラーを選び続けてくれるのだ」。

メーガン・マークル、ケイト・ミドルトン、ジジ・ハディッド、ハル・ベリー、ジェニファー・ロペス、アニャ・テイラー=ジョイ氏などが長年の着用者である。

こうした忠誠心は、VIC顧客(非常に重要な顧客)の行動とも一致しており、なかには70着以上のコートを所有する顧客もいるという。

セントーラーは毎シーズンのデザインを「既存のセントーラーのワードローブに追加するもの」と位置づけており、置き換えるものではない。こうした顧客のために、ブティックの最上階をプライベートアポイントメント向けに用意している。世代間での購買も増えている。「母娘でのショッピングが非常に顕著に増えている」。

VIC顧客は70着超所有者も、母娘での購入も急増



「母親が娘にセントーラーを紹介する場合もあれば、娘が先に発見して母親に勧める場合もある」。こうした信頼に基づく行動は、マクファラン氏が述べたタイムレス性、信頼性、長期的価値といった消費者の優先事項と密接に一致している。

マディソン・アベニューの店舗は、米国での長期的な実店舗展開の前段階として戦略的な位置づけを持つ。

「米国での恒久的な単独店舗は必ず展開する」とセントーラー氏。「今回の季節限定ブティックは、立地や顧客がどのように買い物を楽しむかについて、多くを学ぶ機会になるだろう」。

百貨店各社がブラックフライデー期間を延長し、割引競争が激化



百貨店は、必要に迫られてブラックフライデー期間を長くしている。

フットトラフィック(来店者数)は依然として不安定で、プレイサー・エーアイ(Placer.ai)のデータによれば、ブルーミングデールズはわずかに増加したものの、メイシーズ(Macy's)とノードストロームは前年比で減少している。

そして、買い物客はより大きな割引を待ち構えている。市場調査会社コアサイト・リサーチ(Coresight Research)によれば、2025年は15%の消費者がブラックフライデーからホリデーショッピングをはじめる予定で、2024年の8%から増加している。

百貨店各社が実施する割引施策



この圧力は百貨店のプロモーションに現れている。

メイシーズは、顧客を引き戻すため、毎週金曜日に新しい割引を投入している。ノードストロームは、価値を重視するラグジュアリー客層に訴えるため、最大60%オフを提示している。

サックスとバーグドルフ(Bergdorf Goodman)は、40%前後のデザイナー割引をベースに、スピンドアーン(一定額購入でギフトカード付与)のオファーで価格を深掘りしすぎないよう調整している。

ブルーミングデールズはもっとも体系的な施策を実施している。11月を通じたデイリードロップ、12月5日〜16日のデザイナーブランド最大50%オフ、さらに12月8〜9日の2日間限定フラッシュセールではすでに割引済みのラグジュアリーアイテムを追加で20%オフにする。

同社の声明によれば、「ブランドとマーチャントは事業を細かく注視し、消費者需要を最大化しようとしている」という。

[原文:Luxury Briefing: Sentaler goes international as luxury outerwear demand intensifies

Zofia Zwieglinska(翻訳、編集:藏西隆介)