CS最終Sの相手がDeNAに決まり、気を引き締める阿部監督。挑戦者の精神で決戦に臨む

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 巨人の阿部慎之助監督(45)が13日、スポーツ報知のインタビューに応じ、16日から始まる「JERA クライマックスシリーズ セ」最終ステージ(S)に向けた現在の心境を語った。4年ぶりにリーグ優勝したが、「チャレンジャー」と挑戦者の精神を強調。凡事徹底をポイントに挙げ、キーマンには今季全143試合4番で出場した主砲・岡本和真内野手(28)を指名して一致団結で挑む決意を示した。(取材・構成=片岡 優帆)

 巨人のCS最終Sの相手はDeNAに決まった。甲子園で阪神に連勝して勢いに乗るが、阿部監督は受け身にならず挑戦者の精神で臨むことを選手に求める。

 「しっかり状況判断をして、いかに集中して熱くなってできるか。それだけだよね。もともと自分たちはチャレンジャーとして優勝できたわけだから。そこはまたチャレンジだよね」

 4戦先勝(巨人に1勝のアドバンテージ)の短期決戦。ズバリ、キーマンは。

 「あんまりプレッシャーかけたくないけど、4番だろうね。和真が打つか打たないか。シーズン終盤みたいに集中力を出してくれれば大丈夫だと思うよ」

 岡本和は9、10月に打率3割5分1厘、6本塁打、18打点、得点圏打率4割と絶好調で優勝に導いた。4番の重みを知る阿部監督の期待値は高い。指揮官は現役時代、4番で出場した15年CS最終S(神宮)でバットを極端に短く持ってつなぎ役に徹し、4試合で計11安打、驚異の打率6割8分8厘を記録したこともある。

 「あの時は長打を頭から消していた。どんな状況でも、って決めて徹底するために。和真にそれをしろとは言わないよ。全ては状況判断ってことだよね。ここは一発狙ってもいいなという時は狙えばいいし」

 ワンプレーで流れが大きく変わる短期決戦。阿部監督が強調するように、状況に応じたプレーが重要だ。

 「チーム全体として凡事徹底が大事になる。やるべきことをしっかりやる。簡単なことを当たり前にやるのが一番難しいんだけど、それができるかだよね」

 激しい優勝争いを一致団結して制し、チーム力を証明した。特に9月以降は終盤の同点、逆転など劇的な展開が多かった。CSも同様に全員で同じ方向を向いて一戦必勝で臨む。

 「あれだけずっと僅差で競って、三つどもえにもなったけど、ミラクルになりかけて負けちゃった試合もあった。本当に神様がなかなか優勝に近づけさせてくれないなとも思ったけど、みんなが何とかしようと思ってやってくれて、それが結集して勝てた。CSでも一緒だよね。今日は今日、明日は明日だって」

 シーズン終盤は19歳の浅野を将来も見据えて我慢しながら起用。CSでは―。

 「使うと思うよ。そういうしびれる試合を経験するからこそ成長できる部分もあるだろうし。1軍での1本、成功体験って大きいんだよね。CSを知らない若い選手も多いけど、みんなが成功体験してほしいな」

 先発陣は初戦から戸郷、菅野、グリフィン、井上、山崎伊と盤石のローテを組む。その中で短期決戦ならではの戦い方も想定して万全の布陣を組む構想だ。

 「5回とかでも大チャンスで先発投手に打順が回ってきたら、勝負をかけて代打を出さないといけないかもしれない。だから、リリーフを9人にして、2〜3イニングのロングリリーフができる第2先発みたいな投手が必要になるかもしれない。そこは最後の最後まで考えようと思っている」

 今季のDeNA戦は16勝8敗1分けと大きく勝ち越したが、ポストシーズンは何が起きても不思議じゃない。この日、1軍本隊は休養日。阿部監督を筆頭に全員が油断せず、気を引き締めて準備を進めている。

 「シーズン中も野球って怖いなと思える試合がたくさんあったから。本当に最後の最後まで何が起きるか分からない。とにかくできることをやるしかない。あとは自分の決断力がどうかってところだと思うよ」

 監督として初めて臨むCS。セ・リーグの覇者、阿部巨人が強い気持ちで日本一への関門突破に挑む。

 ◆阿部監督の15年CS 阪神との第1Sでは、第3戦で初回に先制の中犠飛を放つと、6回にも右前適時打をマーク。2勝1敗でヤクルトとの最終S進出へ導いた。最終Sでは指2本分短くバットを持って臨み、初戦で4安打をマークして勝利に貢献。第2戦でも3安打を放つと、第3戦と第4戦はともにマルチ安打を記録。チームは1勝4敗(ヤクルトはアドバンテージ1勝含む)で敗退となったが、計4戦で16打数11安打、驚異の打率6割8分8厘を記録した。

 ◇凡事徹底(ぼんじてってい) 特別なことではなく、何でもない当たり前のことを、徹底的に突き詰めてやり抜くこと。多くの経営者や野球の指導者らが座右の銘としている。