全国の捜査担当課長らを集めた会議で訓示する警察庁の露木康浩長官=2024年9月18日午後1時31分、東京都千代田区、吉田伸八撮影

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 警察庁は18日、全国の警察本部の捜査担当課長らを集めた会議を東京都内で開いた。

 露木康浩長官は訓示で、SNSを通じた投資名目の詐欺や特殊詐欺の被害について「かつて我々が経験したことがない過去最悪の被害状況で、極めて深刻な事態だ」と危機感を示し、全国の警察が連携した取り締まりと被害防止対策の推進を指示した。

全国の警察本部の捜査担当課長らを集めた会議が開かれた=2024年9月18日午後1時21分、東京都千代田区、吉田伸八撮影

 警察庁によると、SNSを通じて投資を勧める「SNS型投資詐欺」と、恋愛感情を抱かせ金銭をだまし取る「ロマンス詐欺」の被害は今年上半期(1〜6月)に約660億円、オレオレ詐欺などの特殊詐欺の被害は約230億円にのぼり、合わせて1日あたり約5億円の被害が出ている計算という。

 太陽光発電所の金属ケーブル盗難などの組織的窃盗の被害も深刻で、警察庁はこうした犯罪に、SNSなどで緩やかに結びつく「匿名・流動型犯罪グループ」がかかわっているとみている。露木長官は「対策の抜本的強化が急務だ」と指摘し、「犯罪情勢の変化に応じて組織や業務のあり方にまで踏み込んだ見直しを行わなければならない」と訴えた。

 会議には、警察庁の刑事局幹部や都道府県警の刑事部、組織犯罪対策部門の課長ら合わせて約340人が出席した。(編集委員・吉田伸八)