「めちゃめちゃかわいい!」「ポージングが最高!」動物園のパンダのおみ足がファンから大注目されたワケ

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ちょっと短めのおみ足にまるいボディ。唯一無二のフォルムを持つ、神戸市立王子動物園のメスのジャイアントパンダ「タンタン(旦旦)」。そのかわいい姿と優雅な所作から、親しみを込めて、“神戸のお嬢様”とも呼ばれています。

2021年に心臓疾患が見つかり、治療を続けていたタンタンですが、2024年3月31日に虹の橋を渡りました。国内最高齢の28歳でした。いつでも笑顔をくれた神戸のお嬢様・タンタンをしのび、在りし日の日常を振り返りながらお伝えします。

お嬢様はインドア派

観覧再開後のお嬢様の様子をお伝えしたのは、連載59回目(https://gendai.media/articles/-/91018)。観覧再開から約2週間がたったタンタンの様子を、飼育員の梅元良次さんに聞きました。

「久しぶりの観覧に、タンタンがどんな反応を示すか心配していましたが、特に何も変わらず。相変わらずのマイペースで過ごしてくれていたので、ホッとしました。むしろ久しぶりの観覧でソワソワしていたのは、人間の方でしたね」と話す梅元さん。取材時も、お嬢様は特にいつもとお変わりない様子でした。

そしてこの頃、タンタンのお庭への出入口に、新しく格子の扉がつきました。「外の風や匂いなど、部屋とは違った刺激を感じたり、日光浴もできます。タンタンも扉の近くに行き、外を見たりしていますよ」と梅元さん。

タンタンが外へ出たがることはあるのか聞くと、「出たがる様子はないですね。外を気にすることはありますが、すぐお部屋にもどって行くので」(梅元さん)。お嬢様は意外とインドア派のようです。外で過ごす予定については、「体調を考慮して、寒い時期は控えていますが、今後は気候や体調を踏まえて検討する予定です」と教えてくれました。

夜はあきらめの竹

この頃には、夜のタンタンの様子を伝える「#深夜パンダ館」のツイートも、よく目にするようになっていました。「以前は、夜も寝てばかりだったのが、最近は結構動き回っています。あとは、竹を食べる時間が、夜間に変わって来ましたね」(梅元さん)。

「タンタンは、たぶん竹交換の時間を把握していると思う」という梅元さん。夜間には「もうこの時間からは、自分の好きなものは何も出てこないのがわかっていて、観念して食べているのではと個人的には思っています」と、教えてくれました。

あきらめの竹……! フンの量も増えているように見えますが、それだけごはんを食べているということでしょうか。「そうですね、夜に竹を食べだしたことで、食事量も少しずつ増えています」(梅元さん)。

「#深夜パンダ館」のツイートでは、寝ぼけたようなお姿を拝見することもありました。「たまに見かける事があるのですが、変わった動きをしているので、多分寝ぼけてたのかな?という感じですね。(先のツイートの映像では)竹の上で寝ていたし、何か食べている夢でも見ていたのかもしれませんね」と、笑う梅元さん。夢の中でも楽しくお過ごしのようで、何よりですね。

お嬢様の気の向くまま

前回の観覧中止の理由のひとつは、タンタンがトレーニングルームに入るのを嫌がったためでしたが、そういう時は、どうやってその気になってもらうのでしょうか。「なるべくタンタンのストレスにならない様に、トレーニングの回数を増減したり、入って来てもらえる様に呼びかけたり、好きなものをあげて機嫌を取ったりします」と、梅元さん。

トレーニングルームはイヤな場所ではないということを、時間をかけて伝えていくのです。先日のツイートでは、トレーニングルームで、すっかりくつろぐタンタンの姿も見られましたが……。「これは本当に、タンタンの気分のよるところが大きいですね。なので、今が入ってくれる時期なだけで、またどこかでイヤイヤ期が来るだろうなとは思っています」(梅元さん)。

伊達に10年以上、お嬢様の気まぐれに付き合ってきたわけではない飼育員さんたち。もしかしたら、タンタン自身よりも、彼女のことをご存じなのかもしれませんね。

取材日は、観覧開始の11時に寝台に座ってお客様をお出迎え。その後また眠ってしまったのですが、観覧していた男性の「かわいいなぁ……」というつぶやきに、パッと目が開いたお嬢様。じつは「かわいい」の意味を、ご存じなのかもしれませんね。

お正月の様子は?

神戸で新年を迎えたことをお伝えしたのが、連載60回目(https://gendai.media/articles/-/91340)のこと。2021年の年末には、返還期日が2022年12月末まで延長されました。

飼育員のおふたりに今の気持ちをうかがうと、「タンタンの身体の事もありますから、再延長が決まった事で、また新たに気持を引き締め、責任感を持ってタンタンへのケアを続けていければと思います」(梅元さん)。

「これまでと変わらず、タンタンの体調を維持できるよう頑張ります」(吉田さん)。

おふたりとも、相変わらずタンタンファーストな年になりそうですね。

お正月のタンタンの様子を梅元さんにうかがうと、「お正月もいつも通りで、特に変わった事はありませんでしたよ」と話してくれました。特別なごちそうもなく、いつも通りのんびりと過ごしたようです。「皆さん、年末年始の休園が明けるのを楽しみにしてくれていたようで、タンタンにもたくさん会いに来てくれて、ありがたかったです」と、梅元さん。良い正月をお過ごしになったのですね、お嬢様。

最近は早起きのタンタンは、竹以外においしいものをご所望。何が一番喜ばれるのか、梅元さんにうかがうと「やはり、好物のりんごですかね」とのお返事が。昼間は寝台で座り込んでいるのは、ごはんを待っているポーズなのでしょうか。「はい、そうだと思います。あれは、僕らとタンタンの我慢比べなんです」(梅元さん)。

少しでも運動させたくて、こちらに帰ってきてほしい飼育員さんと、動きたくないので、ごはんを持ってきてほしいタンタン。「目に見えない心理戦が繰り広げられているんですよ」と、梅元さんが笑います。寝台までのフードデリバリー“タンタンイーツ”も、上手に活用されている、なんとも、駆け引き上手なお嬢様なのです。

「竹を食べる量も少しずつ増えていますよ」と、梅元さん。竹は夜に食べることが多く、観覧中に食べる様子を見られることはあまりないのですが、ちゃんと食欲があるのを聞くと、なんだかうれしくなりますね。

エクササイズもお手の物

いつもゴロゴロしている風なタンタンですが、ちゃんと運動もしています。足を上下に動かすエクササイズ。その様子はまるで、寝ながらできる“ながら運動”のようです。エクササイズ中に見える、おなかのおハゲ、ちょっと大きくなった気がしますが……。「あれは、お腹に溜まった水を抜くためと、エコーのための毛ぞり跡です」と、梅元さん。正確なデータを得るために必要な毛ぞり。おなかのおハゲは、お嬢様が頑張っている証なのですね。

取材日は寝台の上で眠りながらの観覧スタート。夜中に竹を食べているため、観覧時間はちょうどお昼寝タイムにかかる事が多いというタンタン。梅元さんいわく、これがタンタン本来の生活リズムなのだとか。

12時30分頃からは、控えめなおみ足を上下させて、エクササイズタイムのはじまりです。かわいらしい姿に、「めちゃめちゃかわいい!」、「ポージングが最高!」と、観覧の皆さんも大喜びです。その後はすっかり目が覚めて、そのまま寝台で座り出したタンタン。

寝室へ戻って圧をかけ、ニンジンとサトウキビをゲット。いつものタイヤの上で、夢中でサトウキビをいただいている間に観覧終了となりました。今日もおいしいものを食べて、寝て。いつも通りの時間が流れたパンダ館でした。

NEXT:次回は2024年9月25日(水)に、お届け予定です!

※今回のおまけ写真は、2022年1月に撮影したものです。

<動物園の基本情報>

神戸市立王子動物園

〒657-0838 兵庫県神戸市灘区王子町3-1

TEL : 078-861-5624(代表)

公式ホームページ:https://www.kobe-ojizoo.jp

公式Twitter(@kobeojizoo):https://twitter.com/kobeojizoo

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