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 ◇大相撲秋場所10日目(2024年9月17日 東京・両国国技館)

 西三段目60枚目の山藤(21=出羽海部屋)が千代烈士(21=九重部屋)を下して4勝目を挙げ、勝ち越しを決めた。

 立ち合い当たってすぐ左からいなして押し合いから相手の左腕を手繰り、バランスが崩れたところを右から突き落とした。「自分のペースで取れた」と動き勝って2場所連続の勝ち越し。今場所は中に入っての鮮やかな投げ技も決めており「稽古しっかりできたので体がよく動いている」と手応えを得ていた。

 身長1メートル82、体重74キロの細身の体型。全力士の中で、62キロの序二段・宇瑠寅(35=式秀部屋)、68キロの琴元村(16=佐渡ケ嶽)に次ぐ3番目の軽量だ。2022年夏場所の初土俵から2年半。入門時から体重がなかなか増えず「米をたくさん食べられないので、麺類やプロテインでなんとか…」と増量に苦労しながらも三段目中位まで番付を上げてきた。

 同じ出羽海部屋には、角界最重量252キロの出羽ノ城(30)もいる。自身より3倍以上も重い兄弟子と、部屋の稽古場では相撲を取ることもあるという。この日は勝って引き揚げた花道で、出羽ノ城から勝ち越しを祝福されながら「帰ったら飯食えよ」と声を掛けられていた。

 岐阜県関市出身で、岐阜農林高2年時に全国高校選抜大会80キロ級準優勝の実績を持つ。高校3年時には世界ジュニア選手権の日本代表選考試合への出場も決まっていたが、コロナ禍で中止となって活躍の場が失われ「もしかしたら日本代表になれていたかも…」と悔しい思いをした。今月7日、ポーランドで開催された世界選手権のジュニア男子軽量級で岐阜農林高の後輩にあたる田島徳文(3年)が金メダルを獲得。「後輩が世界一になって刺激を受けた。自分も頑張らないと」と、今場所の初日前日にモチベーションを高めていた。

 2場所連続の勝ち越しで、来場所の自己最高位更新が確実に。当面の目標は、体重100キロまでの増量と幕下昇進だ。「前に出る圧力も違ってくると思う。まずは幕下を目指して、来年の(準ご当所の)名古屋場所までには必ず幕下で」。体重70キロ台で幕下に昇進すれば、近年では極めて異例のこととなる。過去には3度も反り技を決めたことがある、三段目以上で最軽量の業師。今後はさらに上の番付で、土俵を沸かせていく。