--(引用はじめ)--

ヒャダ 「やる人生とやらない人生、どっちを選ぶか」って、僕らに最初に言ったのは久保さんですよ。

(中略)

久保 よしわかった。来年の目標は豊島ファンの人と話をする。

ヒャダ ツイートしてみましょうか。

(中略)

久保 「豊島将之竜王のファンの人と、ファミレスで楽しくお話しをする」。(中略)これはツイッターにアップしたほうがいいんですか?

ヒャダ しましょう。

──あの出発点から、まさかの着地点。

能町 いい目標ができた。こんな前向きな着地点になるとは。

ヒャダ さあ、行きましょう。

久保 行きますか。

ヒャダ お願いします!

久保 ううう怖い!

能町 押せーっ!

ヒャダ 押せーーっ!!

久保 (万感の思いを込め、送信ボタンを押す)

(TALK-19「知らない人と仲良くなれますか?」より)
--(引用おわり)--

能町 連載の途中から久保さんへのカウンセリングみたいになっていくんですけど、あれはあそこからだと思うんですよね。

久保 でも、あの人(ネット上で交流を始めた豊島ファン)とはまだ会えてない。同じ会場の大盤解説会にいたことはあるけど、まだ声をかけられてなくて。けど、その「大盤解説会に行った」というお互いの書き込みには、いいねを押し合う間柄ではある。

ヒャダ 離れてはないんですね。

久保 向こうは東京まで来て、 イベントが終わったらいろいろ行きたい場所があるんだろうし。あと、将棋ファンがたくさんいる会場で、「どうも初めまして〜」とかやってると、全部まわりに聞き耳立てられるわけよ。だからイベント会場で会話を発生させるのはちょっとデンジャラスかも、と思ってて。でもあのときは、私が迷ってるところに二人がエンジンかけてくれた感じはあったね。私がエンジンをかけられるパターンが多いけど、二人はどうなんだっけ。能町さんはみんなで円陣組まされたくらい?

能町 円陣は組みました。

久保 あの円陣も良かった。あれも演劇感があったね。

──能町さんが過去のつらい失敗を語って、泣いてしまった回ですね。

--(引用はじめ)--

久保 これ、3人で円陣組めばいいんじゃない?

ヒャダ 組みます?

能町 円陣組んだことない。

久保 円陣組もうよ。組んだことないじゃん、人生で。

(中略)

久保 かけ声何だっけ?

ヒャダ 「こじらせ、おー」じゃないですか。

(一瞬の沈黙)

久保 こじらせーーーーっ!!!

一同 おーーーーっ!!!

(なぜか拍手が巻き起こる)

久保 私がキャプテンになってしまった(笑)。

能町 久保さんがキャプテンだよ。

(TALK-24「取り返せない失敗はありますか?」より)
--(引用おわり)--

能町 その前にヒャッくんが「こういうときはハグすればいい」と言ったんですけど、私は拒否したんですよね。

久保 私も拒否したんだよね。

能町 私、さっきマッキーとめちゃくちゃスルッとハグしましたけどね(※この座談会を収録したのは『久保みねヒャダこじらせライブ』当日で、ゲストは槇原敬之さんでした)。

ヒャダ マッキーはハグ文化の人なんですよね。

能町 向こうがあまりにも自然にハグしてくる人だと、こっちもいけちゃいます。

ヒャダ ハグの拒否から円陣に至る、そのうねりも収録されてます。

◆おばちゃん/おばあちゃんになりたい

──読み返してみると、他人との距離感についてたびたび話が出てきますね。距離感の誤インストールの話とか。他人との距離感を間違えると傷つくから怖いんだけど、かといって踏み込まないままだと、いつまでも他人と触れ合うことができないというジレンマがある。それで、行き着くのが「早くおばちゃん/おばあちゃんになりたい」だという。

ヒャダ それ、いまだに思ってますよ。

久保 でもやっぱり私、おばちゃんやおばあちゃんになる覚悟がまだ全然足りないなって。私、近所のビール屋さんにけっこう飲みに行くんですよ。一人客で。最初のうちは、あんまり会話をしないように、大人しくしていたんだけど、酔っぱらったときに、ベラベラ話す自分が出ちゃうんです。「酔っぱらった図々しい人」になってしまう。

ヒャダ ということは翌日、酒うつ(反動で落ち込む)ですか?

久保 もう酒うつで。 この間、友達と飲んだ帰りに、一人でその店にビールを飲みに行ったんですよ。閉店間際に。 そしたら私が最後の客になってしまって、それで帰り際に、店員さんにおまんじゅう二つ渡しちゃった!

一同 (爆笑)

──立派におばちゃんじゃないですか(笑)。

久保 もう思い返すと、恥ずかしくて。でも本を読み返すと、「今は近所に一人で酒を飲みに行くビール屋さんがある」というのは画期的なことだよね。テラス席で犬と一緒にご飯を食べる犬友もできたし。

能町 完全に壁を破りましたね。

取材・文/前田隆弘