南シナ海海域で医療搬送中のフィリピン沿岸警備隊のボート(手前)を妨害する中国海警局のボート(右)。フィリピン沿岸警備隊の公開ビデオより(2024年6月7日撮影)。(c)AFP PHOTO / PHILIPPINE COAST GUARD

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【AFP=時事】フィリピン沿岸警備隊は7日、公海上で病気の兵士を搬送するフィリピン船に対し、追跡、妨害、接触といった行為をする中国海警局の船を撮影した動画を公開した。

 動画は5月、フィリピンが実効支配する南シナ海(South China Sea)のアユンギン礁(セカンド・トーマス礁、Second Thomas Shoal)から病兵を搬送していた際に撮影された。フィリピンはアユンギン礁に意図的に揚陸艦を座礁させて軍部隊を駐留させている。

 フィリピン沿岸警備隊は5月19日、同国海軍の高速艇から病兵の引き渡しを受けるためにボートを派遣。任務が「人道的性格」を有するものであることを中国海警局に通知したという。

 公開された一連の動画には、病兵の搬送準備をしているフィリピン船が、中国国旗を掲げた船に接触される場面が捉えられている。中国海警局のものとされる他の船も、フィリピン船を追い回したり、進路を妨害したりしている。

 フィリピン沿岸警備隊のジェイ・タリエラ(Jay Tarriela)報道官は、中国船が「危険な操船」を行い、フィリピン船に「意図的に接触」したと指摘。「中国海警局が示した野蛮かつ非人道的な振る舞いは、われわれ人類の社会にふさわしくない」と非難した。

 また「単なる医療搬送が、嫌がらせの対象にされた」「彼らの行動に、病人が緊急に必要としている適切な医療を受けられないようにする意図があったのは明らかだ」と主張した。

 AFPは在フィリピン中国大使館にコメントを求めたが、回答は得られていない。

 病兵は最終的にフィリピン沿岸警備隊の船に移され、パラワン(Palawan)島の病院に搬送された。フィリピン側は病兵の容体を明らかにしていない。

【翻訳編集】AFPBB News

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