今年の8月にグループ結成15周年を迎える私立恵比寿中学が10人新体制になってから初となるニューアルバム『indigo hour』をリリースした。メジャーデビュー10周年を記念したベストアルバム『中吉』を挟み、前作『私立恵比寿中学』からは2年ぶり通算8枚目となるオリジナルアルバムには、佐藤千亜妃が“永遠の青春”をテーマに作詞した三部作「BULE DIZZINESS」「CRYSTAL DROP」「TWINKLE WINK」を軸に、初の試みとなる高学年メンバーと低学年メンバーに分かれたユニット曲も収録されている。永遠の中学生を生きる彼女たちの“今”を切り取ったアルバムが完成し、世代の異なるそれぞれはどんな未来を見ているのか。結成時のメンバーである真山りかをはじめ、加入時期の異なる小林歌穂、桜木心菜、仲村悠菜の4人に集まってもらった。

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■“私立恵比寿中学、挑戦したな”って感じてもらえると同時に、“変わらないな”って

──10人体制初のニューアルバムは新しい自己紹介ソング「Knock You Out!」から始まります。

真山りか(以下、真山):今までは「エビ中出席番号の歌」(その1~その3)みたいにコミカルな感じが多かったんですけど、今回は梅田サイファーのKennyDoesさんにお願いして。めちゃくちゃカッコいい、ギミックたっぷりの自己紹介ラップになっていて。このアルバムの中でも特に“私立恵比寿中学、挑戦したな”って感じてもらえると同時に、“変わらないな”って思ってもらえるようなわちゃわちゃ感とか、かわいらしい部分もあって。職員も掛け声で参加しているので、チームで作れたことがうれしかったし、今の私立恵比寿中学、めちゃくちゃ気合入ってるぞって感じてもらえる曲かなと思ってます。

──それぞれのメンバーの自己紹介に付け加えたいフレーズはありますか?

小林歌穂(以下、小林):もともと、その子のことを箇条書きでKennyDoesさんに送ったうえで書いてもらってるので、わりと詰め込んではいるんですけど、りかちゃんは“サウナ”とか。

真山:たしかにサウナ好きだからね。それは書いてなかったね。

小林:“サウナ”って入れるとちょっと渋くなっちゃうのかな(笑)。

桜木心菜(以下、桜木):あれ?身長はいちばん低いんでしたっけ?

真山:ううん。悠菜がいちばん小さい。

桜木:そうだ!出席番号のときに「低身長」って言ってたのがインパクトがあったけど。

真山:“低身長でハイテンション”から、“最年長でハイテンション”になりました(笑)。

仲村悠菜(以下、仲村):“めちゃくちゃお母さん!”はどうですか?

真山:いや、悠菜にだけだよ!

小林:低学年メンバーを見る目線がお母さんになってて。

■最初はお姉さんって感じだったんですけど、最近すごくお母さんになってきて

──お姉さんじゃなくて、お母さんなの?

仲村:衣装がちょっとずれたりすると直してくれたりとか。アンケートで見たんですけど、「今年感動したこと」のトップテンに、真山さんは「子どもたちの成長」って書いてて。

桜木:あはははは。ほんとにお母さんだ!

真山:擬似お母さん?お姉さんの気持ちなんですけど。

桜木:たしかに私から見たらお姉さんなんですけど、悠菜から見たらお母さんなのかな?

仲村:最初はお姉さんって感じだったんですけど、最近すごくお母さんになってきて。視線が優しくて、お母さんみたいだなって思ってます。

真山:あんまりうれしくないけどね。でも、ここからの子どもたちの成長がいっぱいで見れると楽しみですね。

──(笑)歌穂さんはどうですか?

桜木:それこそ歌穂ちゃんのほうがお母さん感あるな。母性にあふれてるから。ちっちゃい子と遊んだりすると、歌穂ちゃんにすごい懐くんですよ。

小林:私から懐きにいってるからね。

真山:面倒見がいいよね。足りないのは“なで肩”かな。こんなになでてる人いない。

小林:会ったことないよね。自分よりもなで肩の人に(笑)。“滑らすぞ”みたいな。

真山:“かけるぞ 服”みたいな。

小林:誰がハンガーだ!!

仲村:あははは。歌穂ちゃんは今みたいにツッコミ担当のイメージがある。みんながわちゃわちゃ話してて、ボケが溢れすぎて収集がつかなくなったときに、歌穂ちゃんはひと言でツッコミしてくれるので“ツッコミ担当”とか。

桜木:たしかに、キレ系のやつが一つ欲しいですね。

真山:ツッコミ=キレ系じゃないよ。

桜木:私、このアルバム、全曲好きなんですけど、レコーディングやってるときに、これをフェスとかでやったらブチ上がるだろうなと思って。自己紹介が入ってるからメンバーのことを覚えられるし、イントロが“フリースタイルダンジョン”が始まるのか? ってくらいかっこよくて衝撃的で。みんなをびっくりさせられるなと思うし、私的にはこの曲がいちばん好きです。

──そんな心菜さんは茨城のことしか言ってないですよね。

小林:たしかに。でも、言いたい部分は全部詰め込まれてて。

真山:完璧なんですよ。この速くて、難しい曲調も、彼女はラップが好きなので、そこも生かされてるなって思うから。なんだろうな。

仲村:“いつもヒール10センチ”。

真山:“ミニスカート”とか。

小林:おしゃれに敏感な女子のイメージがあるかも。メイクも好きですし。ただ、心菜ちゃんは天然な部分が何気にいちばん多いかもしれない。素で変なことをして。

桜木:ギャハハハ。

小林:この歌詞だけを見ると、攻めな感じでガンガンいってるかと思いきや、実は抜けてる部分というか、隙がたくさんある。そこもかわいらしい部分だなって思うので。

桜木:それがメロにも出てますね。“キー”だけ上がるとことか。

真山:ナベアツさんの“3!”みたいな感じでね。

──(笑)悠菜さんはどうですか?

小林:悠菜こそ毒舌というか、はっきり刺しにくる。

──あははは。刺しにくる?

真山:“さん付けしな”っていうのがちゃんと表してるよね。

桜木:あと、“虚無”を入れてほしかったな、私は。虚無顔をよくするんですよ。

小林:抜けちゃうんだよね、感情が。

仲村:顔まで神経が行き渡らないというか。ちゃんと感情はあるんですけど、それが顔にまでいかなくて。

桜木:それを気にして、口角上げる練習してたら、ずっとその笑顔のままでいるから余計に怖くて。逆に感情がない人みたいに見えるんですよ。

真山:確かに感情のない笑顔のときあるよね。

仲村:感情を出すように頑張ろうと思ったら、これしか思いつかなくて。インタビューで喋ってるときもずっと同じ顔をしてて。もっと柔らかくしたいんですけど。

真山:表情はふたつじゃないよ。

桜木:笑顔と真顔だけじゃないよ。

小林:こう見えて、「変顔が特技」って言ったりするんですよ。でも、出ないね。

仲村:めちゃくちゃ極端なのしかできなくて。超変顔か、めっちゃ笑顔か、真顔しか出来なくて。

桜木:あ、3パターンあった(笑)。

真山:全部、振り切ってるんだね。彼女は私立恵比寿中学に入るまでダンスをしたことがなかったんですよ。あんまり運動もしてこなかったんだと思うんですね。「朝顔」でジャンプしながら回るっていう振り付けがあるんですけど、体の動かし方がわからないから全力でやるしかなくて、とんでもないところまで飛んでっちゃったりして。

小林:転びそうになりながらグルングルン回ってた(笑)。

真山:壊れたおもちゃみたいな動きをしてたね。力の出し方を学んでほしいけど、“全力”なところとは入っても良かったかなと思いますね。

──ありがとうございます。この曲をはじめ、ラップが増えましたよね。全10曲中6曲にラップのようなフロウが入ってて。

小林:私、個人的にラップが苦手だったんですよ。私立恵比寿中学を10年やらせていただいて、今までずっとラップパートがなかったから、ラップがすごく苦戦して。正直、新曲のデモをいただくたびに“またラップある!”って思ったくらい、ほぼほぼラップが入ってて。そんな私が、唯一、やっとラップをいただけたのがあって。

■「ぶりっ子しながらラップしてください」っていうディレクションがあって。ガチ照れしながら録りました

──「TWINKLE WINK」でラップしてますね。

小林:それが、かわいらしいキラキラした曲調なので、「ぶりっ子しながらラップしてください」っていうディレクションがあって。ガチ照れしながら録りました。しかも、私、ウィンクもできなければ、かわいいキャラでもないし。

真山:そのまんまだ。“下手くそなWink それすらもCharming”。

小林:自分的には苦戦というか、かわいこぶる感じがちょっと恥ずかしくなりました。

桜木:私、歌穂ちゃんのラップ、めっちゃ好きですよ。MV撮影のときに、ラップが苦手だって言ってる歌穂ちゃんがいちばん前の真ん中にいて。ノリ方もね…。

小林:どうノったらいいかわからなくて。おどおどしちゃって。

桜木:それがすごいかわいくて。私も「TWINKLE WINK」のラップは、感情を表現するのがちょっと大変だったんです。プリプロでは全部やってみるんですけど、“でもたまに泣いてもいい?”まではぶりっこで歌わないといけなくて。そのあとの“誰かが言う”は反骨精神を出すっていう切り替えをめちゃくちゃ大事にして。ちょっとやりすぎちゃって(笑)、「抑えてもらって」って言われたりしたんですけど、そこのラップパートいただけてすごくうれしかったです。

仲村:私は落ちサビの最後のパートをいただいたんですけど、「裏声じゃない声でお願いします」っていうディレクションがあって。5回ぐらい録り直してたので、そこが自分のパートだったのがすごくうれしかったです。

真山:佐藤千亜妃さんに書いていただいた三部作のラストの曲で、レコーディングとしても最後のほうに録った楽曲ではあって。サビは全員でのユニゾンになってるんですけど、ラップパートでだんだん人数感が増えていく感じが詞から現れてて。私立恵比寿中学の10人体制は女子高感強いなって感じてて。私の描く女子高のイメージと似てる部分があっていいなと思いますね。

■「CRYSTAL DROP」は、大切な人との別れをテーマにした曲

──今、三部作の話が出たので、「CRYSTAL DROP」「BULE DIZZINESS」についても聞かせていただけますか。

仲村:「CRYSTAL DROP」は、最初は“冬っぽくて良い曲だな”と思ってたくらいだったんですけど、聴けば聴くほど好きだなって思って。昨日、ちょうど雪が降ってたので、雪が降ってる中で聴いたらすごくいいなって思って。「TWINKLE WINK」や「BULE DIZZINESS」とはまた違ったおしゃれさがある。これもちょっと昔の要素を取り入れつつ、現代っぽい感じのメロディになってるんですけど、特に好きなのがサビでふたりで掛け合いながら歌うところ。すごくグッとくるっていうか、ちょっとエモい感じで好きだなって思います。

真山:初見で聴くと恋愛ソングかなって思うんですけど、友情の歌なのかなとか、いろんなふうに解釈することができて。広がりのある曲なので、もう会えない誰かを思いながら聴いていただけたらうれしいですし、私たちもそういう気持ちでライブでできたらいいなって思ってます。

桜木:大切な人との別れをテーマにした曲なんですけど、正直、私はそういう経験がなくて。どういうふうに風に歌おうって思ってたんですけど、私は、中学生の頃に遊んでた友達とか、保育園のときに仲良くしてた子とかを思い出しながら歌いたいなと思いました。あと、ラップもあるし、おしゃれなメロディだなって思いますし、私もこの曲、聴けば聴くほどめっちゃいいなって思ってます。

小林:一見、大人のビターソングなのかなって思いつつ、10代の甘酸っぱさみたいなのを感じれて。中学生を掲げてやってきてるから歌えるようなというか。大人が歌っても、“そんなことあったな”とか思い馳せながら歌えるけど、10代でもきっと過去を振り返ることってあるじゃないですか。大人も子どももうまく併せ持ってるというか、10代だからこその甘酸っぱさが切なくて、いい味が出てるのかなと思います。

──サウンド的には、第3弾の「TWINKLE WINK」がニューディスコ、「CRYSTAL DROP」がオルタナティヴR&Bを通過した歌謡R&Bバラード、そして、第1弾「BULE DIZZINESS」では最新のトレンドであるジャジークラブのビートを取り入れてます。

真山:この曲のレコーディングの時期に、SSA(さいたまスーパーアリーナ)を掲げてみたものも、どういうふうに進めばいいんだろうかって、私立恵比寿中学の今後について結構、悩んでた時期で。そのときに、佐藤さんから答えをいただいたような気持ちになった1曲で、すごく大好きです。

■私立恵比寿中学の歴史の中で、今までいちばん変化してる時期だけど、自分らしくでいいんだって言ってもらえた気がして

──どんな答えを受け取りましたか。

真山:私立恵比寿中学の歴史の中で、今までいちばん変化してる時期だと思うんですね。この波に乗ってた方がいいのか、いろいろ考えてたんですけど、自分らしくでいいんだって言ってもらえた気がして。私、私立恵比寿中学に関して、たとえ何がきても、自分が正解にすればいいと思って活動してたんですけど、それでもやっぱり超えられないことがあるというか。この時期は、自分の心の中で片付けられない感情が大きかったんですけど、そのままでいいんだっていうのが、結局答えではあって。こういうふうに悩んでる自分も肯定してあげようって思えるようになった曲でしたね。

小林:私は「BULE DIZZINESS」がいちばん好きな曲なんですけど、青春って必ずしもキラキラしてるだけではなくて。思春期特有のモヤモヤや不安感を“青い眩暈”って表してるのがまずおしゃれだなって感じて。それと、今、真山さんが言ってた通り、グループの今後、どうなっていくんだろうっていう自分たちの葛藤も入ってる。やっぱり中学生って言ってるから、未だに思春期があるんですよ。

真山:なんか抜けないよね~。

■今の私立恵比寿中学は、このアルバムで勝負するんだぞっていう代表的な曲なんじゃないかなって思います

──あはははは。

小林:(低学年メンバーの方を見て)大人になっても抜けないのね、思春期。

桜木:抜けないんですね。

小林:だから、急にモヤモヤして、また吹っ切れてみたいのが、繰り返されているんですけど、そういう時期と重なっていたときにいただけて。出会えてよかったなっていう曲ですし、やっぱり私たちが変わることで、お客さんがちょっと不安になってたりしてたんですよ。「BULE DIZZINESS」を出したときに、“私立恵比寿中学ってこうなっちゃうの?”みたいな意見もあったりして。でも、この曲では“手を繋いでU&I”って歌ってて、私たちだけじゃなくて、ファンの人も手を繋いで、今後の私立恵比寿中学の未来に一緒に行こうっていうことが書いてあって。誰ひとり置いてけぼりにせずに、手を繋いで一緒にこれからも楽しんでいこうっていうメッセージが込められてるので、そこは皆さんに伝わればいいなと思いながら歌っております。

桜木:私、歌もすごく好きで。全体的に気だるい感じというか、脱力した感じのメロディーがめちゃくちゃ好きなんですけど、ダンスは結構大きめで、ジャンプしたりしてるので、対照的で面白いなって思ってて。皆さんにもぜひ踊っていただけたらいいなって思いますし、今の私立恵比寿中学は、このアルバムで勝負するんだぞっていう代表的な曲なんじゃないかなって思います。

仲村:私はこの曲の歌詞が同年代の子に刺さるなって思っていて。私のパートの“あの子と比べちゃう~見えない敵は自分自身だから”とか。中高生とか、思春期のときに絶対に誰かと比べちゃったりすることがあると思うんですけど、そうじゃなくて、自分と向き合って進んでいくっていうのが歌詞に表れてて、すごく好きです。あとは、最初のイントロで、重ための下で鳴ってるビートが、ちょっとクールな感じですごいカッコよくて。私的には初めて落ちサビをもらえたことがうれしかったし、オシャレだけど、歌詞もちゃんと、中学生のめちゃくちゃリアルな感じがして。

真山:大人も全然共感できるよ。

小林:そうなのよ。

仲村:誰が聴いても共感できるフレーズがたくさんあるので、そこがすごく好きです。

■今までも全部まとめて、新しい未来に向けてっていう世界観で、歌割りも愛がある

──そして、本作には低学年メンバーと高学年メンバーに分かれたユニット曲も収録されてます。高学年メンバー曲「Hello another world」を低学年メンバーはどう感じましたか。

桜木:最初に聴いたときは爽やかで、ゆったりしてるなっていう印象だったんですけど、ライブで初めてイヤモニ通して聴いたときに、お姉さんメンバーにしか出せないような迫力や一体感を感じて。10人とまた違って安定感がすごいなって思いましたね。

仲村:私は歌い出しの歌穂ちゃんの声がすごくいいなと思ってて。ライブで聴くとすごい優しい声でいいんですよね。あと、10人で歌ってるときのセリフパートは、ちょっと楽しい感じが多かったので、お姉さんメンバーのちゃんと大人な感じが出てて。そこがすごいいいなって思うし、やっぱり声が大人で、10人で歌ってるときよりもユニゾンパートが落ち着くし、ライブで聴いたほうが好きだなって思いました。

小林:ありがとう。うれしいね。この曲は、私たちだから歌えることをテーマにしてくれてて。今までも全部まとめて、新しい未来に向けてっていう世界観で、歌割りも愛があるなっていうふうに思ってて。サビでは真山さんを軸にそれぞれ触れ合うんですけど、ライブで披露したらちょっと泣きそうになりましたね。手を繋いで歩くシーンもあって、思わず、ほろろときた方もいたのかな。夢の時間というか、心地いい雰囲気でしたね。

真山:今回のアルバムのテーマが“永遠の青春”じゃないですか。その中で、この曲は永遠を歌ってなくて。それぞれの旅にも見えるし、でも、続いていくようにも見えるし。

──新しい物語、まだ見たことのない世界を歌ってますよね。

真山:アイドルからしたら、次のステップへ進むことって、どちらかというと悲しいニュアンスで取られがちなんですけど、年齢も含めて、未来を明るく歌えるような歌にしてくれたことがすごくうれしかったですね。進むことに対して、ファンの皆さんが悲しくならないような曲にしてくれてるし、その旅を続けてもいいし、みたいな。だから、この曲をこのタイミングで5人で歌えたことがすごく私はうれしかったです。アルバムにユニット曲が入るっていうのもなかなかないし、去年は特に10を意識して活動し続けてたので、5を体験して、ちょっと昔に戻ったような懐かしい気持ちになりながらも、これからの旅の続きも感じられて。薄っぺらい言葉になっちゃうんですけど、すごくエモい気持ちになりました。

小林:なんかさ、胎動感じなかった?

真山:胎動!?

小林:お母さんのお腹の中を思い出すぐらい昔に戻っちゃって。そのくらい心地いいというか。ぬるいお湯につかってみたいな。自分が赤子のときを思い出して。

──羊水まで戻ってた?

真山:あははは。私は天国のような感じだった。聴いた人を包み込めるようなイメージで歌ってたけど、言いたいことはわかるよ。

小林:私はもうお母さんのお腹の中でした。

桜木:優しい曲ですよね。

■5人の今に合ってるというか。歌割りもみんなの個性に合ってるし、前を向いてる感じがすごく好き

──一方の低学年メンバーによる「STAY POP」は弾けてますよね。

小林:お姉さんたちも普通の学校だったら交わることのない人たちが集まったじゃないですか。それを感じたというか。まだ出会って3年も経ってないぐらいの距離感の子たちが、すごくまとまって見えたというか。いろんな曲調に変化してるように、それぞれの個性を感じて面白いなって思いました。姉メンと妹メンで全然違う曲調なのも、今後の私立恵比寿中学を担っていく子たちだなって感じるし、5人でパフォーマンスしてるのを見て、単純に“あ、すごくいい雰囲気だな”って思いましたね。

真山:いっぱい転調がある中で、サビがエモフレーズというか。歌ってることも、私たちとは違くて、前しか向かねーぜ、みたいな感じなので、この年齢の子たちだからこそ、似合う楽曲だなっていうふうに感じて、すごく何か明るい気持ちになれましたね。でも、メロディー自体は、いっぱい転調ありますけど、ブロックごとに聴いても、ちょっとどこか懐かしいような、平成を感じて。それもすごくキュンときました。

桜木:スーパーポジティブ楽曲だなって思って、最初のポップポップからなんか本当に弾けるような明るい曲だし、本当に5人でしか歌えないというか。明るさとか若さとかを含めて。

小林:お、おう…。

真山:全然歌いますけどね!ま、似合うよね。

桜木:ふふふ。若い子たちにも刺さる曲なのかなって思うし、それに負けないセクシーなダンスの要素も好きで。パフォーマンス含めて、めちゃくちゃ好きな曲なので、お客さんと一緒に盛り上がれたらいいなと思ってます。

仲村:サビの“夢はもうDon’t Stop! 目指せGo to top”がめちゃくちゃ私たち5人だなって思ってて。去年の春に「武者修行フリーライブ」をやったんですけど、そこで私たちはまとまったし、5人でいつも、「もっと上を目指したい」とか、「もっともっと成長したい」っていう言葉を交わすことが多かったんですね。

小林:そうなんだ!

桜木:未来の話ばっかりしてます。

小林:素敵!!

仲村:だから、5人の今に合ってるというか。歌割りもみんなの個性に合ってるし、前を向いてる感じがすごく好きだなって思いました。

桜木:確かに。今の私たち、誰にも止められない! みたいなね。歌詞も好きです。

真山:無敵の10代って感じ。

■もっともっと私立恵比寿中学として成長する自分を見てみたい

──未来に対する視点も違う2曲ですが、皆さんはそれぞれ今後についてどう考えてますか。

仲村:私はまだ加入して1年しか経ってないので全然まだまだなんですけど、もっと個人として私立恵比寿中学に貢献できるようになりたいです。大人になって、若いときを振り返ったときに、もう私立恵比寿中学の思い出しかないぐらい、私立恵比寿中学としてずっと過ごしたいなって思ってて。音楽も他の音楽を聴いてなくて。ずっと私立恵比寿中学を聴いてるので、今はすごく私立恵比寿中学しか考えてないっていうか。

小林:うれしい。素敵だな。

仲村:ふふふふ。本当に毎日の生活、私立恵比寿中学ばかりだから、もっともっと私立恵比寿中学として成長する自分を見てみたいなって思います。

桜木:私は今、お姉さんメンバーが若かった頃から知っていこうと思ってて。よくお父さんと「今の私立恵比寿中学があるのは、お姉さんメンバーのおかげ」って話してるんですけど。

小林:ありがとう、お父さん!

桜木:(笑)それは本当に大事だから。でも、私は今の私立恵比寿中学で切り込み隊長でありたいなと思って。今の私立恵比寿中学にスパイスを加えるというか。例えば、グラビアをやったりとか、そういう突破口みたいなのをいっぱい広げていって、新しい部分を私立恵比寿中学に持ち帰っていけたらいいなって思ってます。いろんな世代が私たちを好きになる、最初の入口になりたいです。

──お姉さんメンバーはどうですか?

小林:私も10年前に新メンバーとして入って。妹メンバーの5人が来てくれたおかげで自分的にも1個、メンバーとして成長できた部分があるので、みんながいつはみ出しても平気なように、私は私立恵比寿中学としての安定を目指したいなっていうふうに思ってます。当時の私たちみたいに、それぞれの持ち場で輝けるようにというか、飛び出していった人をちょっと引っ張って、手綱を持つ役割になれたらいいなっていう目標があるのと、あと、私、早く老後を迎えたいんです。すごい未来を見ちゃうんですけど(笑)。

真山:ずっと、「孫が欲しい」っているんですよ(笑)。

小林:そう、孫が欲しいんです。そのためにはいろんなことを経験していかないといけないんですけど(笑)老後を迎えたときに恥ずかしくないおばあちゃんになりたい。そのためにも楽しく生きていきたい。まず20代を私立恵比寿中学として、実りのある人生を迎えたいなって思います。

真山:とんでもねー(笑)。

■アイドル=私立恵比寿中学になれるように進んでいきたい

──最後に真山さんに締めていただけますか。15周年のアニバーサリーイヤーに突入し、10人体制の私立恵比寿中学がさいたまスーパーアリーナ公演という目標を掲げてますよね。

真山:私立恵比寿中学に入って、すごくカメレオン的なグループだと感じていて。今の年齢差もありますし、楽曲の豊かさもあるし、アイドルは何にでもなれるじゃないですか。女優さんをやったり、バラエティーに出たり、モデルやグラビアをやったりとか。でも、アイドル=私立恵比寿中学にならない現状が悔しいなってずっと感じてて。まずはSSAに立つことで、Mステ(ミュージックステーション)以外で2度目の有言実行して、アイドル=私立恵比寿中学になれるように進んでいきたい。そして、これだけ長く活動しているので、最初から見てくださる方もいますし、新しく出会ってくれた皆様もいると思うんですけど、みんなが、“私立恵比寿中学のライブに来たら楽しい気持ちで帰れるな、また仕事頑張れる”って思ってもらえるようなグループになりたいなって思います。

INTERVIEW & TEXT BY 永堀アツオ

リリース情報
2024.2.28 ON SALE
ALBUM『indigo hour』

プロフィール

私立恵比寿中学
シリツエビスチュウガク/2009年8月結成。私立恵比寿中学は、10人組の女性アイドルグループ。グループの活動コンセプトは、「永遠に中学生」いくつになっても走ったり、歩いたり、時には止まったり、いつも全力で終わることない青春をそれぞれのペースで進んでいく。そのカラフルなステップは見るものすべてに無限のパワーを感じさせる。2012年5月5日「仮契約のシンデレラ」でメジャーデビュー以降、すべてのシングルがオリコントップ10入り。翌年12月、初のアリーナ単独公演をさいたまスーパーアリーナで開催。日本人アーティスト史上デビュー最速記録(当時)を打ち立てる。2017年には4th full Album『エビクラシー』を発売、自身初となるオリコンウィークリーチャート1位を獲得した。結成10周年の2019年は『MUSiC』『playlist』という怒涛の2枚のオリジナルアルバムをリリース。オリコン、Billboard両チャートで見事に1位を獲得。メジャーデビュー10周年となる2022年は、3月23日に7thフルアルバム『私立恵比寿中学』をリリース。9月21日には10周年記念アルバム『中吉』を発表。10周年を記念して毎月10ヵ月連続リリース。2024年2月28日結成15周年イヤーを飾る、10人体制初となる8枚目のフルアルバム『indigo hour』をリリース。