「違法とは知らなかった」中国人の白タク…「違法ライドシェア」裁判を傍聴した
正規のタクシーはナンバーの地が緑色だ。白色ナンバーの車両で非正規のタクシーをやる、それを「白タク」という。白タクの刑事裁判を私はいくつか傍聴したことがある。コロナ禍の前、中国人の観光客がぐんぐん増えていたころの、中国人男性のケースをレポートしよう。
■白タクは「3年以下の懲役か300万円以下の罰金、またはその両方」
東京地裁、傍聴席52席の法廷で「道路運送法」の新件(第1回公判)を傍聴した。被告人は保釈されており、ペンシルストライプの濃紺スーツでノーネクタイ。目がぱっちりして可愛い系の、ちょっとメタボな43歳男性だ。人定質問によれば中国籍だという。
法廷中央、証言台のところに被告人を立たせ、検察官が起訴状を朗読した。メモしきれなかった部分を「…」でつなぐ。
検察官「被告人は、国土交通省大臣…地方運輸局長…許可を受けないで…別表のとおり…(約2カ月の間に)7回にわたり、不特定の旅客で×××(カタカナ氏名)らを…有償で…被告人が管理する普通乗用自動車を使用して…運送するなどし、もって、一般旅客運送事業を経営したものである。罪名および罰条…」
第何条、第何条と検察官は早口で述べた。私は必死にメモ。あとで道路運送法を調べた。タクシーは貸し切りバスなどと同じく「一般旅客自動車運送事業」に当たる。国交省大臣またはその委任を受けた地方運輸局長の許可を受けなければならない。受けずに「経営」すると3年以下の懲役か300万円以下の罰金、またはその両方に処される(併科という)。けっこう重い。
■2カ月間で少なくとも200万円。その手口とは
被告人は1996年に留学生として「本邦に上陸」。2007年に永住者の資格を取得した。広告代理店に勤務後、実の姉が経営する社交飲食店(銀座のクラブか)の店長として長らく稼働した。
日本の景気が冷えたか、姉の店のお客が減ってきた。一方、中国からの観光客がぐんぐん増えた。在留中国人の間で白タクが流行した。被告人は自分名義でハイエースを購入し、白タクを始めた。
当初は、スマホのウィーチャット(WeChat、微信)の何かグループに登録し、下請けをしていた。2年ほどして、ある大きな業者と継続的な業務委託契約を結び、そこから報酬を受け取るようになった。外国人に人気のある車両としてアルファードを、知人から借り受けて使用するようになった。自分でこなしきれないときは、ウィーチャットで知り合った多数のドライバーに請け負わせ、仲介手数料を得た。
情報を得て警察が内偵捜査を開始。羽田の東京国際空港やホテルの監視カメラの記録から犯行を特定したという。特定の作業が大変だったか、本件の公訴事実は、約2カ月間にわたる7件のみだ。そういうことはよくある。本件で警察が特別に手抜きしたってことはないと私は思う。
その約2カ月間で被告人は、上記業者に対し合計約345万円余りを請求し、自らの分として少なくとも約170万円を受け取った。業者を介さずに白タクをやった分もあり、それも併せると少なくとも200万円になるそうだ。儲かるんだねえ。
乙4号証は被告人の調書だ。検察官が読み上げた。
乙4号「×××(業者)から受注業務…他のドライバーにあっせん…手数料を得ていた…英語を話せるか否か…リストをつくり…キャンセルになる場合でも、ドライバーにはキャンセル料を…ひとつひとつの行為で損をしても全体の収入が伸びるよう、営業努力をした…」
