セリーヌ(Celine)をミレニアル世代の多くの女性から愛されるブランドにしたデザイナー、フィービー・ファイロ氏が自分のラグジュアリーブランドを立ち上げるというニュースが最初に出てから2年以上が経過している。2021年7月以来、わかっているのは「フィービー・ファイロ氏が新ブランドを立ち上げる」という情報だけだった。

ファイロ氏の新ブランド、10月30日にローンチ?



さて、ファイロ氏のファンにはもうひとつ新情報があった。それは、ウェブサイトにメールアドレスを入力した人々に対して行われた、新ブランドは10月30日にローンチするという10月1日の発表だった。デザインをほのめかす1本のGIFがEメールで送られただけで、それ以上の情報は固くガードされていた。フィービー・ファイロ氏の担当者はGlossyに対して、ファイロ氏はインタビューには応じられないと伝えてきた。

フィービー・ファイロ氏のブランドがどのようなものになるかについては、ほかにも若干情報が出てきている。知られている数少ない採用者の1人は、5月にマネージングディレクターとして採用された元エイソス(Asos)幹部のパトリック・シレン氏だ。LinkedInを見ると、フィービー・ファイロ氏がバレンシアガ(Balenciaga)や自分が在籍していたセリーヌなどのラグジュアリーブランドから多数の運営スタッフを採用していることが示されている。

新ブランドのローンチは、何年にもわたって何度も延期されてきた。2021年6月に発表されたローンチ日は2022年1月、そして今年2月には、新しい予定日は2023年と発表された。2023年7月にはメールリストの登録がphoebephilo.comに表示された。最終的に10月30日の日付が発表されたのは、そのメールリストを通じてだった。

セレブやデザイナーを含む熱狂的なファンの存在



ファイロ氏は長年にわたってファッション界に大きな影響を与えている。彼女のファン層は、ティビ(Tibi)のエイミー・スミロヴィック氏などのデザイナーや、リリー・アレン氏をはじめとするセレブにも広がっている。弟子には、セリーヌとボッテガ・ヴェネタ(Bottega Veneta)を経て現在はバーバリー(Burberry)に在籍するダニエル・リー氏や、ピーター ドゥ(Peter Do)のピーター・ドゥ氏などがおり、ファイロ氏にインスピレーションを得たモダンなエレガンスでそれぞれのブランドで成功を収めている。

情報が乏しいにもかかわらず、ファイロ氏のブランドに対する熱烈な期待は彼女なら不思議ではない。同氏のインスタグラムアカウントには、まったく投稿がないにもかかわらず、25万人以上のフォロワーがいる。合計で40万人以上のフォロワーのいる@oldcelineや@phoebephiloarchiveなどの人気インスタグラムアカウントを通して、ファイロ氏に対する情熱を維持してきたファイロファイル(ファイル氏の大ファン)の献身とLVMHから小規模な支援もあり、新ブランドのローンチ時には既存のオーディエンスがすでに多く存在しているだろう。

だが、今日、新規ラグジュアリーブランドを軌道に乗せることは、たとえスターパワーとコングロマリットの支援があっても簡単ではない。リアーナ氏がラグジュアリーブランド、フェンティ(Fenty)を立ち上げようとしたときの試みは、LVMHの支援があってもうまくいかなかった。一方、LVMH、ケリング(Kering)、リシュモン(Richemont)などのコングロマリットがラグジュアリー分野の支配力を強める一方で、独立系ブランドは規模拡大に苦戦している。しかし、最後にコレクションを発表してから丸5年が過ぎてもファイロ氏の復帰に関して存在している話題を考えると、彼女が混雑した市場で真新しいラグジュアリーメゾンを正当な競争相手に育てる確率は高いと思われる。

[原文:Phoebe Philo’s rabid fanbase kept the hype alive during 2 years of anticipation]

DANNY PARISI(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)