映画やドラマに「プログラマー風の人物」が登場することは珍しくなくなった。ハッカーと称され、眼鏡をかけ、何やら呪文のごとき文字列を、カタカタ……とPCに打ち込む。ときには暗号を解き、ヒーローの危機を救う。一方で彼ら/彼女らの所業を「作品」「表現」とみなす映画はほとんど存在しなかった。映画『Winny』は、本当の、本物のプログラマーの生態をじっくりと解き明かす貴重な作品だ。弁護士の視点を借りて金子勇という天才、その不可思議な心の森に分け入ろうとする。挙げ句、観客のあなたまで巻き込まれる。だからこそ、圧倒的に面白い。