間もなく発売!日産アリアの生産工場に潜入。栃木工場の「ニッサン インテリジェント ファクトリー」が最新鋭過ぎた!
こうした課題を解決するためにパワートレーンの一括搭載システムを導入した。設備の企画構想から立ち上げまでに5年。設備の開発と合わせて車両の構造も変える必要があり、今回のアリアでは、車両の要件をすべて織り込むことによって実現した。従来は斜め方向にボルトを締め付ける作業があったが、自動締め付けは角度により失敗する可能性もあるので、アリアでは足まわりの部品すべてを真下からストレートに締め付けることができる構造に変えたという。
この設備の特徴の1つが「モジュラリティコンセプト」である。ルノーと日産アライアンスの共通アーキテクチャー「CMF」の車両にすべて対応可能な仕組みで、全車共通のベースパレットを設けて、その上に交換できるフロント、センター、リヤの3つのパレットを子亀のように載せている。この“子亀”のパレットを組み合わせることによって、電気自動車、e-POWER車、ガソリン車の3種類を同一ラインで生産することを可能にしている。1つのベースパレットにすべての部品を載せて組み付けるので、パワートレーン搭載の工程が集約されて混流生産ロスを削減。このように3種類のパワートレーンを持つ車両を同一の工程でロスなく生産できる設備仕様になっている。
2つ目の特徴が高い精度でのユニットの搭載である。ボディは上からハンガーで吊されているが、多少斜めになっていることもある。カメラシステムで吊されたボディの位置を測定して、その位置精度をロボットにフィードバックし、下からドッキングさせるパワートレーンの角度を合わせている。リアルタイム計測によって設備位置はプラスマイナス0.05㎜の高精度で補正しているという。
3つ目の特徴がフル自動化。アリアではモーター、バッテリー、リヤアクスルが3枚の“子亀”パレットに載っていて、同時に搭載している。これによって作業者による重量部品の組み付け作業をすべて排除していて、作業者の負担はゼロに。なお、アリアはこうした足まわりの部品を54本のボルトで締め付けているが、ボルトの供給も含めて、すべて自動で行われている。
■8極式巻線界磁モーターの巻線自動化 <①次世代のクルマへの対応>
現在、販売しているリーフやe-POWER車には、モーターに永久磁石を使ったローター(中で回転する部分)を採用している。この永久磁石にはレアアースを採用しており、材料調達のリスクが発生していた。そこで、新型アリアでは、銅線を使用した巻線コイルによる8極式巻線界磁ローターを採用(車載用で量産世界初)。静粛性や高速走行性能を向上させるとともに、レアアースレスを実現した。
巻線コイルは1つのローターに対して8個(極)存在しており、直径1.2㎜の銅線を118周/個、8個合計で944周(1台あたり350mの銅線を使用)を巻き上げている。生産設備では8ローター同時に自動で巻き上げており、約20分かけて高速・高精度で美しい層状に仕上げられている。
■インテリジェント作業支援システム <①次世代のクルマへの対応>
モーターの組立ラインには10のデジタル技術を導入しているが、その中でも特徴的な取り組みが、MR(Mixed Reality=複合現実)を導入した作業支援ツールである。MRは現実世界にデジタルコンテンツを合成した拡張現実(AR=Augmented Reality)と仮想世界(VR=Virtual Reality)を組み合わせたもので、MRゴーグルを装着してその世界を具現化する。ゴーグル型のデバイスが空間を認識したうえで、デジタルのコンテンツ(3D)を現実の空間に存在するかのように表現できる。
