中国人は日本のスイカに驚く?

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 日本人が夏に水分補給をするといえば、麦茶やスポーツドリンクといった“飲み物”が一般的です。しかし、中国人は水分補給の手段として飲み物を取ることだけではなく、「スイカ」もよく食べます。そんな中国人が日本のスイカについて、とても驚くことがあるそうです。それは何でしょうか。

スイカは1個100円以下?

 中国人にとっての夏の水分補給は何といっても「スイカ」です。スイカは「体の熱を下げてくれる」とされる果物で、中国では夏になると毎日のようにスイカを食べている人が多いのですが、そんな彼らが日本にやってくると、スイカの値段に目が飛び出るほど驚くそうです。都内の大学に留学中の20代の中国人女性は、東京のスーパーで初めてスイカを見たときの衝撃が忘れられないと話してくれました。

「あれはスイカの値段でしょうか? なぜ、日本のスイカはあんなに高いんですか? 信じられないです」

 その女性が育った内陸部の河南省ではかつて、スイカは1個数元、日本円にすると100円以下で買えるほど安いものだったそうです。現在では1個50元(約850円)ほどのところもあり、相当値上がりしていますが、東京では8分の1サイズにカットしたスイカでも300〜500円ほどするので、「やはり、中国の方が断然安い。日本ではスイカは高すぎてとても買えません」と嘆きます。

 都内在住の40代の男性もこう言います。

「日本のデパートで売られている四角いスイカは数千円もして驚きました。私が育った南京では以前、スイカは1個や2個単位で買うものではなく、一度に10個や20個とまとめて買うのが当たり前だったのです。私が幼い頃は確か、1個1元(約17円)以下でした。夏場に食欲がなくなっても、スイカなら食べられます。半分に切って、そのまま豪快にスプーンですくって食べるんですよ。これ、中国人にとってはごく普通の食べ方です」

 出身地が違う複数の中国人にも話を聞きましたが、「子どもの頃は1人でスイカの半分を食べていました」という共通体験がある人が非常に多く、逆に驚かされました。この男性の田舎では、買ってきたスイカは麻袋に入れ、ベッドの下などで保存しておき、毎日1個ずつ取り出して食べていたそうです。そういえば、日本でもかつては、台所のおけや風呂場のたらいなどに冷たい水を張り、スイカを丸ごと冷やして、家族や近所の友達と食べるのが夏の風物詩だったことを懐かしく思い出しました。

 最近の中国ではどうなのでしょうか。中国に住む中国人の友人に聞いてみると「中国も今では核家族化し、都市部では一度に何個も買うような人はさすがに少なくなりましたが、田舎に行けば、今でも“大量買い”をする人はいますよ。田舎では生産者も多く、値段もまだ安いですから」という話。田舎では夏になると、道端にテントを張って、簡易的なスイカ直売店を開いたり、トラクターの荷台にスイカを積んで販売したりする光景がまだ見られるそうです。

 筆者も北京や上海などの大都市のスーパーで、果物売り場をのぞいたことが何度もありますが、スイカはほぼ一年中売られています。果物専門店などでは、重さによって値段が変動し、半分にカットして売ってくれるところもあります。最近ではブランドもののスイカも売られるようになり、スイカは「贈答用」としての需要も出てきました。

 しかし、中国人にとってスイカは“水分補給のために欠かせない安い果物”という認識が強いのは変わらないようです。だからこそ、日本のスイカの値段の高さに彼らは驚くのでしょう。