マクニカが脳波を活用する技術「BrainTech」を発表 InnerEye社のソリューションを販売へ AIの機械学習を高速化、社会実装を加速
株式会社マクニカは、AIの社会実装を加速化する「BrainTech」の取り組みを開始したことを11月19日、報道関係者向け発表会で発表した。「BrainTech」については日本の大学や研究機関ともつながりのあるイスラエルのInnerEye Ltd.(インナーアイ)と連携し、様々な産業分野向けにソリューションを提供していく。日本に加え、マクニカの海外拠点であるドイツ、ブラジルと連携する。
発表会にはマクニカ、インナーアイのほか、東京農工大の田中聡久教授も参加した(中央)
●「BrainTech」(ブレインテック)とは
「BrainTech」はBrainとTechnologyを合わせた造語で、ニューロサイエンスとほぼ同義に用いられ、脳科学をベースにした技術、サービスを指す。インナーアイの技術は脳の生体信号を取得・解析して、AIの機械学習の効率化、特にアノテーション等の分野に活用するもの。
AIの社会実装が進む中、導入を進める上での課題もまた浮き彫りになっている。例えば、AIモデルを開発するための教師データが足りない、アノテーションコストが高い、あるいは、AIが出す結果がブラックボックス化されているなど。ディープラーニングなどの機械学習アルゴリズムに必要となる、タグが付いた教師データを大量に作成する際、1秒間に3画像程度のスピードで人に見せて、その脳波を読み取ることでアノテーションデータの分類を行う技術を進める考え。
InnerEyeは東京農工大、NEDOなど、日本の大学や研究機関ともつながりがある
発表会ではマクニカの原社長が「BrainTech」デバイスのEEG(脳波測定器)を装着し、高速で次々に表示される画像を見た反応を脳波データとして読み取るデモが公開された。
「BrainTech」デバイスを装着してデモを行う株式会社マクニカ 代表取締役社長 原 一将氏
自動車を含むいろいろな画像が1秒間に3つの速さで次々に表示される
それを見た原社長の脳波も刻々とデータ化され蓄積され、それをAIが解析する
人が画像を見たときに反応する脳波を高速に識別(YesかNoかのパターン認識、驚きなど感情の識別など)、タグ付けを自動化することでアノテーション作業を高速化する。
動画【マクニカ】InnerEye社製品デモ 〜人間の脳を使ったAI学習〜:
インナーアイ社の技術は、脳波とAIを組み合わせたもので、人間の脳とAIの組み合わせによって、大量の教師データが十分になくても短時間で生成、また、人間の知識や経験やカンなどをテクノロジーの力によってデータ化することができる、としている。
人間の脳の活動を理解し、その知見をビジネスに活用する「BrainTech」でAIの社会実装を加速化したいとしている。
●インナーアイ社ソリューションの特徴
人の脳の活動状況を基に、その人の判断をAIに学習させることができる「BrainTech」によるプラットフォームを提供する。EEGを通して脳活動の状況をとらえ、人の認識・判断をAIに短期間で学習させることができる。(インナーアイ社はソフトウェア開発会社のためEEGは他企業が開発したデバイスを使用する)。
インナーアイ社の主要マネジメントチーム
同社の説明によればこのソリューションには、下記の特徴がある。
1.アノテーション時間の短縮:
人に対して画像データを提示し、その画像データに対する人の判断、判定を脳波からとらえ、データにタグ付けを行う。脳波の発生からタグ付けまでにかかる時間は非常に早く、通常4画像データ/秒のスピードでタグ付けが行える。
2.人の判断を基にしたアノテーション:
その人独自の判断を、脳波を基にして判定し、タグ付けを行う。エキスパートの方の経験や知識を基にした判断や特に直感的な判断を基に、いわゆる「見る人が見ればわかる」をAIに学習させることができる。
3.学習時間の短縮:
確信を持って判断していないケースや、疲労しており判断が鈍る可能性がある際には、脳波に違いが現れる。この違いを使い、脳波からタグデータの生成と同時に確信度も生成します。確信度はAI学習に使用され、確信度が低いタグに対しては、AIの学習影響を小さくすることができる。タグの誤りによるAIの精度低下を避けることができ、学習時間の短縮につながる。
また、確信度の低い画像データは、フィードバックを行い、再度見直しを行うことができる。
下記がこのソリューションによるAI学習方法の概略。
現時点では、画像ファイルと脳波を組み合わせたAI学習のプラットフォームになっているが、今後は、音や動画データ、画像と音のデータから同時に学習するプラットフォームの開発にも力を入れていく。
マクニカが当初、ターゲットとして「BrainTech」の普及に注力していく分野。セキュリティとHR(ヒューマンリソース)の分野は既に着手を始めているという
■適用分野:
下記分野において、採用および実証実験の検討が始まっているとした。
-施設におけるセキュリティチェック
-医療における傷病の診断アシスト
-工場で行われている目視検査の補助
-農業における生育予測、品質予測
(神崎 洋治)
発表会にはマクニカ、インナーアイのほか、東京農工大の田中聡久教授も参加した(中央)
●「BrainTech」(ブレインテック)とは
「BrainTech」はBrainとTechnologyを合わせた造語で、ニューロサイエンスとほぼ同義に用いられ、脳科学をベースにした技術、サービスを指す。インナーアイの技術は脳の生体信号を取得・解析して、AIの機械学習の効率化、特にアノテーション等の分野に活用するもの。
AIの社会実装が進む中、導入を進める上での課題もまた浮き彫りになっている。例えば、AIモデルを開発するための教師データが足りない、アノテーションコストが高い、あるいは、AIが出す結果がブラックボックス化されているなど。ディープラーニングなどの機械学習アルゴリズムに必要となる、タグが付いた教師データを大量に作成する際、1秒間に3画像程度のスピードで人に見せて、その脳波を読み取ることでアノテーションデータの分類を行う技術を進める考え。
InnerEyeは東京農工大、NEDOなど、日本の大学や研究機関ともつながりがある
発表会ではマクニカの原社長が「BrainTech」デバイスのEEG(脳波測定器)を装着し、高速で次々に表示される画像を見た反応を脳波データとして読み取るデモが公開された。
「BrainTech」デバイスを装着してデモを行う株式会社マクニカ 代表取締役社長 原 一将氏
自動車を含むいろいろな画像が1秒間に3つの速さで次々に表示される
それを見た原社長の脳波も刻々とデータ化され蓄積され、それをAIが解析する
人が画像を見たときに反応する脳波を高速に識別(YesかNoかのパターン認識、驚きなど感情の識別など)、タグ付けを自動化することでアノテーション作業を高速化する。
動画【マクニカ】InnerEye社製品デモ 〜人間の脳を使ったAI学習〜:
インナーアイ社の技術は、脳波とAIを組み合わせたもので、人間の脳とAIの組み合わせによって、大量の教師データが十分になくても短時間で生成、また、人間の知識や経験やカンなどをテクノロジーの力によってデータ化することができる、としている。
人間の脳の活動を理解し、その知見をビジネスに活用する「BrainTech」でAIの社会実装を加速化したいとしている。
●インナーアイ社ソリューションの特徴
人の脳の活動状況を基に、その人の判断をAIに学習させることができる「BrainTech」によるプラットフォームを提供する。EEGを通して脳活動の状況をとらえ、人の認識・判断をAIに短期間で学習させることができる。(インナーアイ社はソフトウェア開発会社のためEEGは他企業が開発したデバイスを使用する)。
インナーアイ社の主要マネジメントチーム
同社の説明によればこのソリューションには、下記の特徴がある。
1.アノテーション時間の短縮:
人に対して画像データを提示し、その画像データに対する人の判断、判定を脳波からとらえ、データにタグ付けを行う。脳波の発生からタグ付けまでにかかる時間は非常に早く、通常4画像データ/秒のスピードでタグ付けが行える。
2.人の判断を基にしたアノテーション:
その人独自の判断を、脳波を基にして判定し、タグ付けを行う。エキスパートの方の経験や知識を基にした判断や特に直感的な判断を基に、いわゆる「見る人が見ればわかる」をAIに学習させることができる。
3.学習時間の短縮:
確信を持って判断していないケースや、疲労しており判断が鈍る可能性がある際には、脳波に違いが現れる。この違いを使い、脳波からタグデータの生成と同時に確信度も生成します。確信度はAI学習に使用され、確信度が低いタグに対しては、AIの学習影響を小さくすることができる。タグの誤りによるAIの精度低下を避けることができ、学習時間の短縮につながる。
また、確信度の低い画像データは、フィードバックを行い、再度見直しを行うことができる。
下記がこのソリューションによるAI学習方法の概略。
現時点では、画像ファイルと脳波を組み合わせたAI学習のプラットフォームになっているが、今後は、音や動画データ、画像と音のデータから同時に学習するプラットフォームの開発にも力を入れていく。
マクニカが当初、ターゲットとして「BrainTech」の普及に注力していく分野。セキュリティとHR(ヒューマンリソース)の分野は既に着手を始めているという
■適用分野:
下記分野において、採用および実証実験の検討が始まっているとした。
-施設におけるセキュリティチェック
-医療における傷病の診断アシスト
-工場で行われている目視検査の補助
-農業における生育予測、品質予測
(神崎 洋治)