渦中の人となった頃

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 人の噂も七十五日。破廉恥な言葉を女性に浴びせた官僚の名が、霞が関で聞かれることもなくなった。財務省の福田淳一前事務次官(60)が辞職して早や2年。天下り先として、彼がようやく流れついた先は……。

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「おっぱい触っていい?」

「予算通ったら、浮気するか」

 再現するのも躊躇(ためら)われる妄言を、夜の飲食店で女性記者に対して喋っていた福田前次官。この不始末を本誌(「週刊新潮」)が世に問うや、彼は“官庁の中の官庁”と謂われた役所の最高位ポストを失う。

 当時、注目されたのは彼の天下り先である。財務次官を経験した大物官僚なら、大手銀行をはじめ金融機関や民間企業の顧問など選り取りみどり。とはいえ女性へのセクハラ発言がこれだけ知れ渡れば、名のある企業はなかなか採用しづらい。

渦中の人となった頃

 彼はかつて女性に酒の席で、学生時代に映画監督を志望していたと明かしてもいる。今のところ“福田監督”名義の封切作が上映されたという話は聞かないが……。

「てっきり福田さんは、財務省を辞めたら弁護士になると思っていましたよ」

 そう話すのは、福田前次官を知る財務省関係者だ。

「東大在学中、福田さんは最難関の司法試験に合格しています。同時にキャリア官僚の採用試験もパスしたので、司法の道には進まなかった。なので事務次官を辞した後、司法試験合格者が対象の『弁護士資格認定制度』に改めて申請を出していましたからね」

「密なので」

 確かに、2年前の12月に発行された官報を見ると、〈弁護士資格認定の公告〉の欄に福田前次官の名前が、しっかり記載されている。

 都内の法律事務所に属する弁護士が解説するには、

「資格認定後、弁護士会に登録すれば実際に活動できます。官僚OBで弁護士なら、大企業で法務部門の顧問などを務めることも可能。もっとも福田さんが弁護士になっても、セクハラ相談を受けられるのか。女性のクライアントはつきそうもありませんしね」

 確かに、日弁連が運営するデータベースでも福田前次官の名前はヒットせず、弁護士として活動している様子は見られない。

 先の関係者はこう明かす。

「実は福田さん、社会人向けのSBI大学院大学で委託講師になったんです。名前の通り、ネット証券大手のSBIホールディングスが運営しており、同社の社長・北尾吉孝氏が学長を務めています。教授陣には、財務省で次官と並ぶ上がりポストとされる財務官を務めた山崎達雄氏もいて、入省年次は福田さんより上の先輩なので、声を掛けてもらった可能性もあります」

 肝心の担当科目は二つ。財政と社会保障、経済政策といったテーマの基礎的な理論と実際を講義するというが、果たして女子学生らはどう思うのか。

 実際の反応を伺うべく、自宅近所を歩く福田前次官に話を聞こうとしたところ、

「密なので。お話しすることはありませんから」

 かつて記者と“密”状態を好んだ福田前次官も、今やすっかり“社会的距離”を心得ているご様子なのだ。

 ちなみに大学は通信制。つまりはオンライン授業がメインとのことだから、新天地で「舌禍事件」が起こる心配はなさそうである。

「週刊新潮」2020年7月9日号 掲載