マンション専業ゼネコンがICTで実現を目指すコト
予算200億円
「人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)含め大きな時代の変化を感じ、このままでは乗り遅れる危機感があった」。辻範明社長は価値創生部門を立ち上げた理由をこう語る。
顧客と接点拡大
FIT開発部は新しいマンション管理やサービスのあり方、契約行為の自動化、スマートシティーなど中長期の戦略テーマを策定。現状、個別テーマのサービスを具体化すると、30―40本のシステム開発が必要と見ており、「自社開発にこだわらず、ベンチャーなど外部企業と協業してシステム開発を早める」(楢岡祥之常務執行役員)方針だ。新技術のテストマーケティングの場とも位置付け、本当に効果がある技術か怖がらずに使い、開発スピードを上げる。
また、「当社の弱みは顧客の接点と次の接点まで時間が空くこと」(同)と認識し、CR推進部が顧客対応の情報基盤を構築して顧客との接点を拡大する。グループのコールセンター(顧客相談窓口)を高度化し、例えばインターネット媒体でリフォーム、管理、賃貸、シニアの各事業と顧客をタイミング良く結びつけるサービスや仕組みを検討する。
住宅にIoT
ICT活用推進部は19年度に自社所有マンションへIoTを導入し成功事例をつくる。加速度センサーや環境センサーを導入する棟数を増やし、人や建物に与える影響を分析。入居者に価値があると判断できたら、分譲マンションに展開する。
また、米アーキバスのファシリティー管理(FM)システムを導入。建物の3次元(3D)モデリング技術「BIM」を使い、日本の集合住宅で活用できるか確認している。
価値創生部門は新技術を使い、労働生産性を向上させる役割も担う。仕事場はフリーアドレスとし、無線対応のモバイル端末で作業する。新たな挑戦の結果、19年度にどんな成果が得られるか。長谷工の将来を占う実験を注視したい。
