蒸気の減衰を食い止めろ!地熱発電で国内初の長期実証へ
JOGMECは13年から奥会津地熱、地熱技術開発(東京都中央区)などと蒸気量や出力の回復を目指して涵養事業に着手。付近の只見川水系の水を還元井から地下へ流し、地熱貯留層からの蒸気量を増やす実証を合計4カ月間実施した。
この結果、地熱が2000メートル程度の深い層から1600メートル程度の浅い層へと流れていることが分かり、2000メートル付近の割れ目が発達した地熱層に河川水を注入するなどしてきた。
一つの井戸で蒸気が1時間当たり14トンから20トンに増えるなどのデータを得た。ただ、長期的に安定して効果が維持できるかが課題で、延長事業として19年度から2年間の長期実証を行う。
長期実証では涵養井を2100メートルの深さに改修し、河川水を注入して蒸気が安定して増加するかを連続運転で確かめる。本年度は地熱貯留層のシミュレーションも行い、これによって19年度に長期の注水を効果的に行う予備検証も進めている。
JOGMECでは「このエリアは地熱は十分あり、効果を期待している」という。奥会津地熱の生産井は17本、還元井は2本で、今回の涵養の長期実証により現在の3万キロワット(設備利用率80―90%)が安定維持できるように減衰に歯止めをかけることを優先しながら、出力回復を目指す。
国内の地熱発電所は40カ所、合計出力は約50万キロワットとピーク時を下回っている。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度導入以降、バイナリー発電が20数カ所(合計2万キロワット)動き出したが、全体で減少しているのは既設大型地熱発電所の減衰が影響している。
世界最大の地熱発電地域である米カリフォルニア州のガイザーズ地区は、地熱井戸の乱立もあり蒸気量が減衰。327本の生産井に還元井を通じて生活排水などの処理水を注入し、蒸気が復活して出力も回復している。
(文=いわき・駒橋徐)
