結婚願望が強すぎ、エステにヨガに…とおカネを使っていたら、借金まみれに。リボ払いは危険だ(写真:zon/PIXTA)

今回、私たちファイナンシャルプランナーの事務所にマネー相談にやってきたのは、29歳の派遣社員女子Dさんです。有名女優似の美人の彼女でしたが、相談の内容は、予想以上に深刻でした。というのも、今年結婚する予定だったそうなのですが、残念なことに破談になってしまったとのこと……。美人なのに、なぜ破談になってしまったのかとても疑問でしたが、その理由を聞いてみると、「彼に借金がばれてしまった……」とのこと。早速、お話を聞くことにしました。

夢は「とにかく結婚!」だからと自分磨きに「リボ払い」

Dさんは、中堅メーカーに派遣社員として勤める会社員。毎月の手取りは20万円程度だそうですが、1人暮らしのため、家計に余裕はなく、貯金もほぼできていない状況。将来が不安なようで、Dさんの夢はとにかく「結婚」すること。もともとは20代前半で結婚する予定だったそうですが、結局29歳になってしまい、30歳を目前に焦りがピークに達したということでした。

有名雑誌に登場する「すてきな奥様」にあこがれを抱いていて、今も強い「専業主婦願望」を持っています。なので、高収入でイケメンの男性を捕まえるべく、エステにヨガに歯科矯正にと外見の美しさに磨きをかけ、洋服やバッグ、靴などもおしゃれなものを身に着けていました。

とはいえ、上述のとおり、Dさんの毎月の手取りは20万円程度。加えて1人暮らしなので、家計に余裕はありません。家計に余裕がない中でも「自分磨きをしたい!」と思ったDさんは、「リボ払い」を利用することにしました。

利用した方も多いと思いますが、「おカネはないけど、高額なものが欲しい」というときに利用しがちなのがクレジットカードの「リボ払い」(正式名称はリボルビング払い)です。リボ払いは、いくら高価な買い物をしても、毎月支払う金額が一定で済むところが特徴です。たとえば、30万円の高額なブランドバッグでも、毎月5000円ずつ支払うという具合に無理のない範囲で支払うことができます。

一見よさそうに見えますが、リボ払いは利用残高の全体に対して実質年率15%程度の金利手数料がかかる仕組みなので、元金はなかなか減らず、完済までの金利手数料も莫大になります。さらに、支払い終了時期がいつになるか、わかりづらいという難点もあります。

では実際、金利15%のリボ払いを利用した場合、いくら支払うことになるのでしょうか。たとえば、手数料率15%のリボ払いを利用し、30万円のバッグを購入したとします。毎月の返済金額を1万円(元利定額方式)とした場合、支払総額は約37万8000円、手数料だけで、約7万8000円も支払っていることになります。ちなみに返済回数は38回です。つまり、返済が完了するまでに3年以上かかってしまうということ。支払いが終わる頃には、もうそのバッグは使っていないかもしれませんね。

月返済5万円、借金150万円。結婚前に彼氏に告げると…

Dさんは、バッグからエステ代金まで、次から次へとリボ払いで済ませていたので、いつのまにか月々の返済金額は5万円に膨らみ、借金の総額も150万円になってしまいました。手取り20万円のDさんにとって毎月5万円の返済は相当きついですよね。

実は、Dさんの努力が実り、リボ払いの支払いをしている最中に、高収入のイケメン歯医者さんの彼氏ができました。お付き合いも順調に進み、結婚することも決まったのですが、Dさんは、彼に借金のことを言えずにいました。

いよいよ結婚式の日程を決めるというときになって、Dさんは、意を決して、彼に借金があることを告白しました。優しい彼のことだからおそらく許してくれるだろうと思っていたそうですが、彼の答えは「結婚は白紙に戻して、別れよう」というもの。

彼は奥さんになる人には、良妻賢母を求めており、おカネにだらしなくなくて、家計も安心して任せられる人がよかったのです。高収入の彼氏をゲットするために借金までして頑張っていたDさんですが、結末はとても悲しいものになりました。

そんな悲しい出来事があったDさんですが、これを機に、なんとか借金を減らしたいと強い決意を固めたようです。では借金を減らすにはどうすればよいでしょうか。これ以上リボ払いで買い物をしないことはもちろんですが、(1)支出を把握してムダを減らす、(2)少しでも多くの金額を毎月返す、(3)金利の低い金融機関に借り換えをすること、の3つが大切です。

レシートをスマホで撮れば「ラテマネー」が見える

借金癖がある人は、ズボラで数字が苦手という傾向があるため、毎月何にいくらおカネを使っているか把握していない人がほとんどです。まずは、支出を把握することが大切なのです。ただし、レシートを保管したり、それを家計簿に転記したりするとなると続かない人がほとんどでしょう。そこで、Dさんには、レシートをスマホで撮るだけで自動計算してくれる家計簿アプリでの支出の把握をおススメしました。

そのうえで支出を把握してみたところ、必要のないものをちょこちょこ買っていることが判明。いわゆる「ラテマネー」といわれるものです。ラテマネーとは、カフェラテのように、1回当たりの金額が少ないものに何げなく毎日のように使っているおカネのことで、貯まらない人は共通してラテマネーが多くなりがちなのです。

Dさんは、毎月1万〜2万円無駄遣いをしていたので、この分を毎月の返済金額に上乗せして返すことに。このとき注意しなければならないのは、無理して返しすぎないことです。手元のおカネがなくなり、生活に困って借金しては元も子もありません。また、条件にもよりますが、金利が低い金融機関に借り換えをすることも検討しましょう。

これでも対処できない場合には、弁護士さんに債務整理をお願いするなどの方法をとりますが、幸いにしてDさんは、このステップを踏めば返せる見込みが立ちました。

今回のDさんのように努力の方向を間違えると、取り返しのつかないわなにはまってしまいます。また、金融リテラシーが低いと、このように金融機関の思うつぼにはまってしまいます。たとえば「通常のカード払いからリボ払いへの切り替え」がいかにもお得であるかのようにうたった提案メールを頻繁に送るなど、貸し手側にも問題はありますが、金融の知識を武装して自分を守りながら生きていかなければなりません。

しかし、人生はピンチのときこそ、それをチャンスに変えることも可能です。現在、Dさんは実家に戻り、生活を立て直して借金返済に向けて努力しています。生活が変われば、出会う人や人生も変わります。Dさんの人生はこれからきっとよい方向に向かうことでしょう。