「ひよっこ」10話。弟が「ジェスチャー」ゲームを仕掛ける理由を深読みしてみた

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連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第2週「泣くのはいやだ、笑っちゃおう」第10回 4月13日(木)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:黒崎博  視聴率:19.2%(ビデオリサーチ社調べ 関東地区)前日比↑  


10話はこんな話


美代子(木村佳乃)は宗男(峯田和伸)に相談し、消えた実(沢村一樹)を探しに東京へ向かう。

「私の知らないところでいやなことが起きているようでこわいです」


「ひよっこ」本放送前のニュース番組「おはよう日本」では「聖火リレーが気になります」って言っていたけれど聖火リレーのエピは一旦おやすみで、ちょっと深刻回だった。
全体に漂うのは“疑惑”。

実が行方不明になったことは子供たちには内緒。
美代子は宗男の嫁の親戚に不幸があって福島に行くと言って早朝から出かけるが、みね子はそれが嘘だったことを知ってしまう。
「お父さん、なんでお母さんが私に嘘をつくんですか」
もやもやを抱えるみね子。
美代子は、なんの手がかりもなかったら警察に届け出る覚悟で東京に向かう。
美代子に吹きつける強い風は扇風機を当てているんだろうか。
音楽も物悲しげ。
そして降り立った上野駅はかなり物騒に描かれていた。エキストラもたくさんで、力の入った場面だ。

でかける前に仏壇に供えてあったすずふり亭のマッチを手に取る美代子。
このマッチをもらったおかげで、残された家族とすずふり亭に架け橋ができるってことだよね。

ジェスチャー


ジェスチャーがすっかり気に入っている弟・進(高橋來)。
9話でも、みね子とちよ子(宮原和)が話しているとき、奥でしきりにジェスチャーをやっていた。
幼い進の無邪気さを際立たせているだけでなく、深読みポイントにもなっている。
ジェスチャーゲームは“口で言わずに動作で察してもらう”遊び。言葉に出さない母の気持ちを洞察しようとしているみね子は、まるでリアルジェスチャーゲームの回答者のようではないか。

深刻回ではあったものの、最初に時間を巻き戻すところはちょっとコミカルだった。映像の巻き戻しは「カーネーション」でもトライされたが当時の朝ドラにしてはややハイブロウだったかもしれず。でも「ひよっこ」はていねいに増田明美が説明してくれたので、誰もが理解できるはず。
(木俣冬)