岡崎の活躍は、チームの志向するスタイルと彼のプレースタイルが見事に合致した結果。彼のひた向きさは、サポーターにも愛されているようだ。(C)Getty Images

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 プレミアリーグでレスターが首位を走っているけど、岡崎の活躍も目覚ましいね。マインツから移籍1年目で、かつプレミアリーグ初挑戦というふたつのハードルを乗り越え、コンスタントに出場を重ねながらチームの勝利に貢献している点は称賛に値する。
 
 海外の日本人アタッカーで最も注目を浴びているし、評価もうなぎ登り。今や香川や本田をも上回ると言っても、決して過言ではない。チームの志向するスタイルと岡崎のプレースタイルが見事に合致した結果であり、イタリア人指揮官ラニエリの信頼も勝ち取っている。彼のひた向きさは、サポーターにも愛されているようだ。
 
 同リーグでは、香川がマンチェスター・ユナイテッド時代に優勝を経験しているが、あの時は主力ではなく、あくまで“優勝させてもらった”という立場だった。だが、今季の岡崎は違う。
 
 豊富な運動量を武器に周囲を助け、ゴールに絡むプレーはもちろん、献身的な守備でチームを助けている。攻撃を牽引するヴァーディー(イングランド代表)の存在感には劣るものの、優勝を視界に捉えるチームで岡崎は安定稼働しており、日本人FWがこんなに脚光を浴びるのは高原以来だろう。充実のシーズンを送るなか、リーグタイトルを手にした暁には、「現役最高の日本人選手」という称号を得ても不思議はない。
 
 代表活動でも、岡崎は偉業が光る。3月29日のシリア戦に先発し、日本代表で史上5人目の100試合出場を達成した。FWを主戦場とする選手では初で、さらに歴代ゴール数も3位の48(1位75ゴール:釜本邦茂/2位55ゴール:三浦知良)。その数字が彼の偉大さを物語る。やはりプロの世界である以上、結果がすべて。その意味では、日本メディアにもっと取り上げられてもいい。
 
 
 
 シーズン前は、ダークホースという位置づけですらなかったレスターが、ここまで躍進するとは誰も予想しなかったと思う。ただ気掛かりなのは今、プレミアリーグで持ち上がっているドーピング疑惑だ。現地メディアが、ある医師の証言を基に報じたものだが、レスターやアーセナルの選手をはじめ、テニス選手など150人以上が長年にわたってドーピングしていたというのだ。
 
 レスターがこのまま逃げ切ってタイトルを獲得しても、同クラブの選手が関与していたとなれば、“タイトル剥奪”という事態も起こり得る。真偽のほどは分からないけど、調査の結果次第では、どう転ぶか分からないだけに不安だね。
 
 それにしても、他の海外組はどこかぱっとしない。昨年は好パフォーマンスを披露していた香川だけど、今年に入ってから出場機会が激減した。復調傾向とはいえ、ドイツでは「シンジの時代は終わった」という声もあるという。長友にしても、現状維持と言ったところだ。
 
 本田にいたっては、2月のリーグ戦で約1年4か月ぶりのゴールを決めたにすぎない。その時、両手の親指を背中に向けて「俺が10番だ」と言わんばかりにアピールしていた。ブラジルでは、たった1ゴールでそんなパフォーマンスをすれば、「生意気」とブーイングを浴びかねない。
 
 名門クラブの10番が、そんなにも長い間ゴールから見放されていたのは、本来なら不甲斐ない話。現地では「ミラン史上最低の10番」と揶揄された時期もあったようだけど、結果を見ればそれも仕方ない。
 
 そういう状況のなか、ゴール後に見せたパフォーマンスは、まるで日本のメディアに向けたもののように僕には映った。そして日本のメディアも、ちょっと良いプレーをしただけで、まるでワールドクラスと言わんばかりに報じるから、ある種の幻想が生まれてしまう。
 
 営利主義で話題性を優先する事情は分かるけど、相対的な評価を基に報じないと、イメージばかりが先行する事態に成りかねないよ。
 
 
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