新入生を受け入れる準備

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 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村 典子です。

 いよいよ本格的な野球シーズンとなり、高校では春休みを迎える時期となりました。そしてもうすぐ新入生が入部してくることでしょう。新しい仲間を加えてさらにパワーアップしたチームづくりを目指して欲しいと思います。さて今回は新入生を迎えるにあたって、気をつけておきたいことやケガを防ぐためにあらかじめチェックしておきたいことなどについてお話をしたいと思います。

新入生の体力レベルを把握する

 中学野球を引退してから、高校の野球部に入部するまでにはチームにもよりますが、全体練習に参加していない時間=いわゆる「空白の時間」が発生します。もちろん高校野球に向けて個人で練習を積みかさねているとは思いますが、進学のための勉強があったり、チーム練習とはまた違った時間の過ごし方をしていたりと、多くの選手が中学野球を引退する以前に比べて、体力面や練習量が落ちる傾向にあります。さらに身体を動かす機会が減っているのに、毎日の食事量は変わらなかったりすると、適正体重を大きくオーバーするといったことも起こります。このような状態のまま、高校野球部の練習に参加すると、疲労困憊になるだけではなく、体力面の不安からケガをしやすくなってしまいます。

 このような事態をなるべく防ぐためには、上級生とまったく同じ練習内容、練習量をこなすのではなく、新入部員はしばらく体力づくりを中心とした練習と適切な運動量に設定し、少しずつ身体を慣らしていくようにしましょう。「新入部員はとにかくランニング!」というのではなく、さまざまな体力要素を鍛えられるように筋力を始めとした8つの体力要素(筋力、スピード、パワー、敏捷性、柔軟性、バランス、全身持久力、筋持久力)をまんべんなく取り入れていくことが理想的です。柔軟性やバランス能力の向上などは比較的ケガをしにくいものですので、普段から行うようにするとよいでしょう。こうしたトレーニングを行いながら、指導者は新入生の体力レベルを把握していくようにします。

他人と競うことよりも自分のレベルを上げる

自分の体力レベルを上げるランニングの設定を

 またチームでグループ別対抗リレーなどのランニングを行うこともあると思いますが、勝負のかかったランニングでは自分の持てる力以上のものを出そうとしたり、勝利のために無理をして走ろうとしたりして、肉離れなどのケガをしてしまうことが多くみられます。入部して間もない時期(およそ2〜3ヶ月程度)は、リレー形式や厳しいタイム設定を課すことは避けた方がよいでしょう。タイム設定をつけるのであれば、個人個人のレベルにあわせ、「自分の持っているタイムを何秒上回ろう」というように、自分との比較の中で行うようにするとケガの不安も少なく、体力向上にもつながります。

[page_break:あらかじめ不安部位を確認しておく/ 練習でチェックできること]あらかじめ不安部位を確認しておく

 新入部員が入ってきたときには、事前に簡単なアンケートを準備することもよいでしょう。特にもともと痛みや違和感のある状態で、プレーを続けている選手にとっては、高校野球の練習がどのようなものかわからず、不安に思うことも多いと思います。最初にある程度身体のことについて申告しておくことは、新しく入る選手たちにとって心理的にもよい影響を及ぼすでしょう。具体的には今までに経験した大きなケガや病気、体調面で注意したいこと(たとえば花粉症や食物アレルギーなど)があれば自由に記述してもらうようにします。アンケートについては個人情報の観点から、顧問の先生と相談し、情報が漏れることのないように管理する必要があります。

練習でチェックできること

環境が変わることによる不安を少しでも和らげよう

 体調面での変化は簡単なセルフチェックでも確認することが出来ます。チームで簡単に実践できることの一つが、練習前後での体重測定です。新入部員だけではなく、上級生にとっても自分の体重を毎回測定することは、オーバートレーニングになっていないか、脱水症状を起こしていないかという体力面での指標にもなります。体重の増減をグラフにして一目でチェックできるようにすると、「体重何キロアップ」等の目標設定にも役立つでしょう。

 また新入生のみならず多くの選手が体重を減らしている場合には、練習量や練習強度を見直すことも検討するようにします。遠征や試合期などいつもと違った環境や、連戦が続く場合などはこうした体重測定を上手に利用すると、選手の体調面だけではなく、チームでの取り組み方(食事や運動負荷など)も把握できるようになりますよ。

【新入生を受け入れる準備】●新入生は中学野球を引退してからしばらく「空白の時間」がある●身体を動かす機会が減り、食欲が変わらないと体重過多になりやすい●入部からしばらく(2〜3ヶ月程度)は体力づくりをメインに行おう●他人と競うことは避け、自分のレベルを上げるための努力目標を立てよう●練習前後での体重測定は個人の体調だけではなく、チームの取り組みを見直すきっかけにもなる

(文=西村 典子)

次回コラム公開は3月30日を予定しております。

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