左から 正田 樹(愛媛マンダリンパイレーツ)、桐生第一時代の山田 知輝

 2年ぶりの甲子園出場を果たした桐生第一。同校がある桐生市は、桐生高(当時は桐生中)が1927年に選手権初出場を果たし選抜準優勝2回を果たすなど群馬をリードする存在で、県民から「キリタカ」という愛称で人気だ。しかし1978年の甲子園を最後に出場はなく、代わりに台頭してきたのが桐生第一である。今回はそんな桐生第一のつながりを紹介していきたい。

甲子園初出場は平成元年 1999年夏には全国制覇を果たす

 桐生第一は、明治34年に桐生裁縫専門女学館として創設された長い歴史を持つ学校である。現在の校名となったのは平成元年(1989年)である。野球部が甲子園に初出場したのは、1991年の第63回選抜高等学校野球大会。まず初戦で奈良を10対6で破り甲子園初勝利を決めると、2回戦では帝京を8対7で破り、いきなりベスト8進出を果たした。

 その後も甲子園出場を続けていき、4回目の選手権大会出場となった1999年夏の甲子園では、NPBで日本ハム、阪神、ヤクルトで活躍した正田 樹投手(愛媛マンダリンパイレーツ)の快投で、躍進を見せる。まず1回戦の比叡山を2対0で破り、2回戦では仙台育英を11対2で破り、3回戦の静岡も破りベスト8進出を決める。そして準々決勝では桐蔭学園を4対0で破り、準決勝では樟南を2対0で破り決勝進出を決めると、決勝では岡山理大附相手に14対1と大勝し、初の甲子園優勝を成し遂げる。こうして桐生市の強豪校といえば、桐生第一と呼ばれるようになった。

 桐生第一といえば、好投手を多く輩出するのが特徴だ。正田投手や、正田投手の一学年上には小林 正人投手(元中日ドラゴンズ)、一学年下には一場 靖弘投手(元ヤクルトスワローズ)、そして現在千葉ロッテで活躍する藤岡 貴裕投手と、左右の好投手を育て上げている。また2003年夏のベスト4のエース・伊藤 毅投手は、現在俳優として活躍している。また投手だけではなく、ルシアノ・フェルナンド(東北楽天ゴールデンイーグルス)をはじめ、野手の逸材もしっかりと育てている。

 そんな桐生第一も、2008年の選手権からはしばらく甲子園出場が遠ざかっていたが、2014年の選抜出場を果たし、ベスト8。そして昨秋は関東大会ベスト4に進出し、この春、選抜出場を決めている。復活傾向にあるのは、健大高崎、前橋育英の躍進が刺激になっているのかもしれない。

[page_break:近年の卒業生を紹介]近年の卒業生を紹介

 近年の卒業生を見ると、投手、野手の逸材をバランス良く次のステージへ輩出している。今年の3年生も実力ある選手が多く、今年の活躍で多くの選手が次のステージへと進むことができるか、注目をしていきたい。

■2008年卒・藤岡 貴裕(東洋大−千葉ロッテマリーンズ)・伊藤 彰大(東洋大−群馬ダイヤモンドペガサス−武蔵ヒートベアーズ)

■2009年卒・田中 清文(東京国際大学−軟式・曙ブレーキ)

■2010年卒・穂坂 豪(上武大卒)・三上 恭平(上武大−パナソニック)

■2011年卒・黒川 将貴(東洋大−NTT東日本)・ルシアノ・フェルナンド(白鷗大学−東北楽天ゴールデンイーグルス)

■2015年卒・東宮 万夫(上武大)

■2016年卒・山田 知輝(東洋大)・小野田 凱(東洋大)・柳谷 参助(札幌大)・速水 隆成(群馬ダイヤモンドペガサス)

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