人はなぜ、死が身近に迫ったときでもなお、目の前の些事に目がいってしまうのだろうか?■蓋をしてきた問題が噴出する2008年に順天堂大学医学部附属順天堂医院で「がん哲学外来」を開設して以来、私は3000人以上の患者さんやそのご家族と面談してきました。外来といっても料金は無料で、がんにまつわるさまざまな悩みの解消を目的にしています。ここでは、「がんを治す」というような悩みの「解決」はできませんが、本音を吐き出し