かつては日本のPRIDEで無敵を誇り、戦いの場を全米へと移した現在でも“人類最強”のよび名を不動のものとしているエメリヤーエンコ・ヒョードル。だが、8月1日(土・現地時間)に出場予定となっていた米アフリクションのカリフォルニア大会では、対戦相手のジョシュ・バーネットがステロイド検査で陽性反応を示したことで試合が消滅。メインカードを失った同プロモーションは、大会開催前1週間をきりながら、突然の中止を決定し、世界中の格闘技ファンに大きな波紋をよんでいた。

大会自体が消滅したことで、その去就に注目が集まり、水面下では争奪戦が繰り広げられたが、結果、ヒョードルは大本命と目されていた世界最大の総合格闘技イベントUFCから提示された破格のオファーを蹴り、米二番手に位置するストライクフォースと契約、周囲を驚かせた。

そんな折、UFC日本語公式モバイルサイトは、UFCを運営する米ズッファ社の代表ダナ・ホワイト氏のコメントを掲載。同氏はヒョードルとの交渉を振り返ると、“世界最強の男”に辛らつな言葉を浴びせた。

「あのような契約を断るなんて、それは世界一の男であること、世界一の相手と対戦すること、契約金、その全てに興味がないとしか思えないよ」。そう話したダナ・ホワイト氏だったが、一説には(全てのオプションを加えれば)6試合で3000万ドルともいわれるオファーを出したという。

しかし、“イベントの共同開催”にこだわるヒョードルサイドとの交渉は決裂。ダナ・ホワイト氏は、「共同開催はあり得ない。数多くの苦労を重ねてここまで広めてきたところに、誰かが土足で踏み入るのを受け入れなきゃいけないんだ」と怒りをぶちまけながらも、「もし彼らが契約をしたいって言うならば、今すぐにでも電話をくれれば実現だよ」と最後まで獲得を諦められない様子でもあった。

それでも、日本時間の4日には、ヒョードルが共同開催を了承したストライクフォースと契約を交わし、今秋試合を行う旨が発表された。UFCに比べれば、ヒョードルが対戦するに相応しい選手は限られ、純粋な格闘技ファンにしてみれば残念な選択といわざるをえないが、リングではなくケージ(金網)で戦うヒョードルには、日本からも熱い注目を集めそうだ。