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●創作の場として成長しつつある「LINE Creators Market」LINEは26日、ユーザーがLINEスタンプを制作・販売可能なプラットフォーム「LINE Creators Market」を通じて制作された「クリエイターズスタンプ」の中から選出された、2014年を象徴するクリエイターズスタンプを表彰する「LINE Creators Stamp AWARD 2014」の授賞式を開催した。ここでは、この1年のLINEスタンプにまつわるムーブメントの総括ともいえる同イベントの模様をレポートする。

○販売額上位100位までのスタンプの平均は1,300万円

冒頭では、同社代表取締役社長・森川亮氏が登壇。LINEスタンプについて「若い人はスタンプだけで会話をするという新しい文化が誕生し、国境を越えた世界の共通言語になりつつある」と述べた。現在、スタンプのやりとりは日に18億回も行われているというのだ。

「LINE Creators Market」については、2014年5月のオープン以来、27万人ものクリエイターが参加し、約3万セットのスタンプが販売されているという。そのうち40.8%のスタンプが販売額1万円以上を達成し、上位100位までのスタンプの販売額は平均1,300万円、上位10位の販売額は平均3,680万円にも上り、総販売額は、35億9,000万円に到達したという。さらに、人気スタンプのキャラクターがアプリや書籍、グッズなどのさまざまな方面にも展開していることを明かし、今後は「スタンプそのものを文化にしていきたい」と語った。

○3名のゲスト審査員が独自の視点で選んだスタンプはコレ!

続いて、同アワードのゲスト審査員を務めた、みうらじゅん、小島瑠璃子、ヒャダインの3名が登壇し、それぞれ独自の視点で選んだスタンプに贈られる「ゲスト審査員特別賞」の3作品が発表された。「みうらじゅん賞」には、イラストの上手さやコピーの面白さから選ばれた『怪人スタンプ』(市川友章氏)が、「小島瑠璃子賞」には、LINEトークで使いたいと思うスタンプとして『はなのあなふくらんじゃう』(naaalu氏)が、そして「ヒャダイン賞」には、使い勝手は非常に悪いけど使いたくなるスタンプとして『送っていい友!石井くんの友達編』(W氏漫太郎氏)が選ばれた。

○話題のお笑いコンビと小学1年の「小さなクリエイター」が登場

次に発表されたのは「審査委員会特別賞」だ。芸能人や有名人に関するクリエイターズスタンプで反響の大きかったスタンプに贈られる「芸能賞」には、『日本エレキテル連合』(タイタン)が選出。今年、「ダメよ〜ダメダメ」のフレーズで一躍人気者となったお笑いコンビ・日本エレキテル連合のふたりが、お馴染みの「未亡人朱美ちゃん3号」(橋本小雪)、「小平市の細貝さん」(中野聡子)のキャラに扮して登場し、場内を沸かせた。この受賞について中野聡子は、「最初は自分たちがスタンプになったらいいなぁーと思って、(イラストレーターの)中川画伯さんに軽い気持ちで頼んだら、こんな事になっちゃって、色んな人が買ってくれてビックリしてます」と、持ちネタである細貝さんの口調で喜びを伝えた。

続いて、スタンプユーザーやメディアなどで注目され、話題を呼んだスタンプに贈られる「話題賞」として、小学1年生の女児が原画と着色指示を行い、お父さんがデータ化して販売した『いか』(はなか氏)が選ばれた。人気アーティストが使用していることで話題にのぼったほか、「スタンプが売れたことで、欲しかった自転車を買ってもらった」というエピソードが各種メディアで取り上げられるなど、はなか氏は「小さなクリエイター」として大きな話題となった。はなか氏はスタンプを作ったいきさつについて「ママがLINEをやっていて、父ちゃんと一緒に作りました」と元気に答えた。ちなみに、次回作も「海の生き物」に決まっているとのことだ。

●クリエイターズスタンプのグランプリに輝いたのは?○「準グランプリ」2作品はともに実用的

続いて、「準グランプリ」(2点)および「グランプリ」(1点)の発表だ。5月8日から9月末日の期間中に「LINE Creators Market」を通じて販売された、すべてのクリエイターズスタンプの中から、ダウンロード数や送信数をもとに50個のスタンプがノミネートされ、その中からユーザーによる一般投票、およびゲスト審査員、審査委員会での審査を経て選出されたものだ。

準グランプリの1組めに輝いたのは『既読虫』(ロシヒ氏)。同スタンプは、LINEの特徴である「既読」をスタンプの中に採り入れた新しい切り口と、インパクトのあるイラストで注目を集め、送信数ランキングでは上位にランクインするなど、実際に多くのユーザーに使われている人気スタンプだ。

プレゼンターを務めたヒャダイン氏は「既読スルーはなかなか指摘しにくいが、文字ではなくちょっと腹の立つ顔のスタンプで伝えることで、相手に少しだけイヤな思いをさせることができて、その罪はこの既読虫スタンプになすり付けることができる気がします」と実用性の高さを説明し、「不細工だけど愛着のある顔も使い勝手が良い」とコメント。制作者のロシヒ氏は「スタンプを使ってくれている方々には本当に感謝しています。これからも皆様に楽しんでいただけるようなスタンプを作れるように頑張ります」とお礼と言葉を述べた。

準グランプリの2組めに選ばれたのは、『カナヘイのピスケ&うさぎ』(カナヘイ氏)。カナヘイ氏は現在、9種類ものスタンプを販売しているが、同作はその第2弾とのことだ。ダウンロード数、送信数ともに上位にランクインし、一般投票においてもユーザーから多くの票を集め圧倒的な人気を誇っているという。プレゼンターのみうらじゅんは、「キャラクターが2体いるのでボケ・突っ込みもできるし、可愛いだけでなく懐かしい匂いがします」とコメントした。素顔を明かさないカナヘイ氏は、キリンのお面を被ったまま「今回このような賞を頂けたのは、皆さんがスタンプを使ってくれたおかげだと思っています。これを励みに頑張りたいと思います」と挨拶した。

○グランプリ受賞者には「動くスタンプ」の販売権を進呈

そして、2014年を象徴するスタンプに贈られる「グランプリ」には、『アメリカンポップ関西弁』(小嶋わに氏)が輝いた。実は、制作者の小嶋氏は関西人ではないそうで、関西に住む友人の意見を取り入れつつ制作したという。小嶋氏には、マイナビニュースでもスタンプ制作にまつわるインタビューを行ったことがある。

アメリカ人のイラストに関西弁のセリフを添えるというギャップの面白さを巧みに取り入れた、ランキングでは常時上位に居座る人気スタンプだ。同賞のプレゼンターを務めた森川社長は、「色んなシチュエーションに合わせたスタンプが用意されている点と、表情がきめ細かいデザインの良さ、そしてアメリカンポップに関西弁というミスマッチが大変ユニークでした」とコメント。さらに、グランプリの「副賞」として、現在、公式スタンプのみ提供している「動くスタンプ」を特別に販売する権利がサプライズ的に贈られた。小嶋氏はとても驚きながらも「作れるかなという不安な気持ちはありますが、もし自分で作れたら楽しいだろうなと思っていたので、頑張ってみようと思います」と語った。

○小島瑠璃子がスタンプの「タグ付け」を要望

最後に、森川社長は今後の抱負として「このスタンプを文化として、皆様のコミュニケーションを楽しく、そして豊かにしていきたい」と述べた。ゲスト審査員を務めた小島瑠璃子は「私も作りたくなっちゃいました」と思いを打ち明けたのち、森川社長に対し「クリエイターズスタンプは数が多いので、是非タグ付けして欲しい」との要望を伝えた。これに対して森川社長も「そうですね、頑張りたいと思います!」と即答した。

ヒャダイン氏は「好き放題しながらも、ランキングが上がるように努力して多くの人に知ってもらうという、まるで初期のニコニコ動画のようだ」とコメントした。最後にみうらじゅん氏が、「スタンプは新しい絵の残し方だと思う。色んな可能性があるんだと思いました」と述べ、授賞式を締めくくった。

(早川厚志)