3日に行われたJ2第22節で、横浜FCのカズがゴールを決めた。まさかの試合開始16秒。今季初シュートだったというからなおさら驚きだ。映像を見返してみると、キックオフ直後でDFが緩い対応をしているとはいえ、見事なトラップだったし、シュートも素晴らしかったね。46歳4カ月7日でのゴールは祝福せざるをえないよ。
 
翌日のスポーツ紙の一面はカズだった。ここで思ってしまうのが、カズ以外に一面を取れるJリーガーはいるか、Jリーグの話題があるか、ということだ。残念ながらいないだろうね。スター不足というか、いまだにカズのネームバリューを超えられない現状を憂えたくもなる。そういう意味で、カズのゴールは嬉しさ半分、裏側には大きな問題が潜んでいると思えるね。
 
Jリーグのスターがなかなか出てこないのは、興行ありき、興行を先行するという日本の文化も多分に影響しているんじゃないかな。視聴率や売れ行きがすべての社会の中では、スポーツもひとつのバラエティコンテンツでしかないから、とにかく視聴率の取れる話題、名前に飛びつく。ものの本質は二の次という感じだね。

だから、自分たちで文化を育てるのではなく、消費するという発想しかない。カズに割く紙面を、もう少し例えば柿谷曜一朗に使ってもいいんじゃないか。そうやって育てていくことも、メディアの仕事の一つだと思うよ。

また、46歳を超えて得点するのは確かにビッグニュースではあるけど、カズのシーズンを通しての活躍を見れば、必ずしも満足いくものではないよね。それをメディアやファンが指摘するかどうか。日本が追いつきたいと思う強豪国、例えばブラジルではそんなことはありえない。スターを大切に扱うのはいいけど、必要以上に持ち上げることは、カズ自身も望んでいないはず。カズの偉業に、嬉しさ半分、考えること半分だ。