マーリンズと正式契約の佐々木麟太郎 「ソフトバンクのドラ1」より「メジャー全体の235位」を選んだワケ
スタンフォード大学2年の佐々木麟太郎(21)が、MLBドラフトの8巡目・全体235位で指名を受けたマーリンズと正式契約を結んだ。契約金は約3500万円と伝えられている。
「大谷翔平を育てた花巻東高監督の息子である佐々木は、同高を卒業後に米国へ留学。昨秋のNPBドラフトではソフトバンクから1位指名を受けており、日本球界入りなら契約金1億円+出来高5000万円という最高条件は確実でした」(スポーツ紙デスク)
ドラ1の好条件を蹴った理由には、「ソフトバンクはポスティング移籍を容認したことがなく、入団すればメジャー挑戦は最短でも海外FA権取得の9年後になる」(同前)との事情もありそうだ。大学2年ゆえプロ入りを先送りすることもできたが、来夏のMLBドラフトまでに故障するリスクなども判断材料になったのだろう。
MLBドラフトは30球団が2日間で20巡目まで指名するという大規模なものだが、8巡目・全体235位はどんな立ち位置なのか。東大卒の元ロッテ投手で、スポーツ経営学が専門の小林至・桜美林大教授はこう語る。
「育成環境や野球選手としての成長という観点でソフトバンク一択と思っていましたが、挑戦できる選択肢を取ったということでしょう。野球ができる期間はわずかで、次の人生を含めてトータルで考えるという実にアメリカらしい判断。21歳でその発想ができるのは凄いことだと思います。
MLBでは高卒選手とドミニカなどのアカデミー出身は基礎を学ぶルーキーリーグから始まりますが、大学生は実戦を重ねる1Aから。8巡目といっても、"育てる"という順位ではなく、厳しい競争が待っています」
「3年ほどで結果を残せるか」
小林氏によれば、MLBのファームには各チーム200〜250人が所属し、毎年40人程度が入れ替わっていくという。小林氏が続ける。
「佐々木さんも3年ほどで結果を残せるかどうかでしょう。上位指名の選手と比べれば、見てもらえる期間は短い。8巡目でメジャーに到達するのは4人に1人、複数年定着するのは10人に1人といった水準です。1巡目なら3人に2人はメジャーに届く。150キロ台の速球に対応しながら高速の変化球を見極められるか、空振り率を下げながら長打と四球を増やせるか、あとは守備と走力も問われます。一番重要なのは、限られた打席で結果を示せるかです。
もちろんMLBで厳しいとなった時は、NPBでプレーすることは可能です。人生をトータルで考えるということですから、いろんな選択肢を頭に入れていると思う。MLB球団は新人選手に対して6年間の保有権を持ちますが、見込みなしと判断されれば2〜3年でリリースということもあります。結局、アメリカは振るいにかけるだけで、あとは自分でやれるかどうか。だから野球選手として成長するならホークス一択だとわたしは思っていましたが、佐々木さんご自身が決めた道。後悔しない道を選んだ決断には心からエールを送りたい」
NPBではなく、最初から世界最高峰の舞台を目指して自らの限界を試すことを選んだ佐々木。その成否はいかに。
※週刊ポスト2026年8月7日号
