「卵」の栄養を”効率よく摂取する調理法”はご存じですか?保存方法も管理栄養士が解説!
卵の栄養を効率よく摂取する調理法や、鮮度を保つための保存方法について、メディカルドック監修の管理栄養士が詳しく解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「卵を食べ過ぎる」と現れる”3つの症状”はご存じですか?管理栄養士が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修管理栄養士:
越川 愛子(管理栄養士)
保育園で食育や給食管理、栄養管理業務に従事しました。管理栄養士の資格取得後は、ドラッグストアを運営する会社でお客様への栄養相談や特定保健指導に携わりました。現在は保育園で子どもたちに食の楽しさや大切さを伝えられるよう、心を込めて給食づくりを行っています。
卵とは?

鶏卵とはニワトリの卵を指し、主に卵殻(約10%)、卵白(約60%)、卵黄(約30%)で構成されています。卵殻の主成分は炭酸カルシウムで、多孔質構造により外部から酸素を取り込み、胚の呼吸で生じる二酸化炭素を放出できるようになっています。卵殻の内外を被う薄い卵殻膜はたんぱく質が主成分です。卵白は90%近くが水分で、残りは主にたんぱく質です。抗菌作用のあるリゾチームが含まれ、卵の腐敗防止に役立っています。卵黄は約50%が水分、脂質が約30%、約17%がたんぱく質、残りがビタミンやミネラルです。卵黄の脂質は、ほとんどがたんぱく質と結合したリポたんぱく質として存在しています。
うずらの卵は、家禽として飼育される鳥の中では小型の卵で、日本では江戸時代に家禽化され、明治時代中期から採卵用として本格的に生産されるようになりました。殻には暗褐色の斑紋があり、個体ごとに模様が異なるのが特徴です。殻自体は薄いものの、卵殻膜が比較的しっかりしているため、見た目よりも割れにくい性質があります。
卵の一日の何個まで食べて良い?

※脂質異常症の方やリスクが高い方は、1日200mg未満(鶏卵約1個、うずら約4個)が望ましいとされています。
鶏卵の一日の摂取量
かつては主なコレステロール摂取源である卵の摂取が健康に好ましくないとの情報が広く流布していました。有害物質のように見られることもありますが、コレステロールは細胞膜やホルモン、胆汁酸を作る材料となり体に必要な栄養素です。近年の研究では、食事由来のコレステロールが血中コレステロール値に与える影響は個人差が大きいことが明らかになり、鶏卵の一日の摂取量に明確な決まりはありません。
うずらの卵の一日の摂取量
うずらの卵にも一日の摂取量に明確な決まりはありません。100gあたりのエネルギーや脂質、コレステロールなどが鶏卵よりも多く含まれており、食べ過ぎには注意が必要です。重量換算では鶏卵1個(Mサイズ約50g)は、うずらの卵(平均10g/個)およそ5個分に相当します。
卵の栄養素を効率的に摂取する方法

油を使って調理する
卵に含まれるビタミンA・D・E・Kの脂溶性ビタミンは油に溶けやすい性質を持つため、油と一緒に摂取することで吸収率が向上します。卵焼きや炒り卵、油を使った野菜炒めに卵を加えたり、サラダにゆで卵をのせてオイル入りのドレッシングをかけても良いでしょう。
加熱調理する
加熱することで卵のたんぱく質は変性し、消化酵素が働きやすくなるため、生で食べる場合と比べて消化吸収率が高まります。また加熱によりアビジンが不活化され、ビオチンの吸収も妨げられにくくなります。一方で、過度に加熱しすぎるとたんぱく質が硬くなり、消化しにくくなることがあります。半熟卵や温泉卵は、消化の良さと食べやすさのバランスがよく、体調に合わせて取り入れやすい調理法です。
ビタミンC、食物繊維と一緒に食べる
卵はたんぱく質やビタミン、ミネラルと栄養素が豊富に含まれていますが、ビタミンCと食物繊維は含まれていません。ビタミンCは野菜やいも類、果物などに、食物繊維は野菜やきのこ類、豆類、海藻類などに多く含まれています。これらと組み合わせて食べることで栄養素のバランスを整えることができます。
生卵:熱に弱いビタミンを損なわずに摂取できる(注意点:ビオチンの吸収が阻害される場合がある〈大量摂取時〉)
ゆで卵・半熟卵:たんぱく質の消化吸収率が最も高く、ビオチンの吸収も良い(注意点:加熱しすぎると消化に時間がかかる)
油を使う(目玉焼き等):脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収率が高まる(注意点:脂質・カロリーの摂りすぎに注意)
卵の保存方法や期間

生卵の保存方法や期間
鶏卵、うずらの卵ともにサルモネラ菌が付着していることがあり、保存には温度管理が重要です。購入後は洗わず、パックのまま、早めに冷蔵庫に入れましょう。卵の賞味期限は生食できる期限を示したもので、10℃以下で2週間程度の保存が可能です。保存場所は温度変化の大きい冷蔵庫ドアの卵ポケットよりも、温度が安定した冷蔵庫の奥がおすすめです。卵の尖ったほうを下にして保存すると割れにくく、丸みのあるほう(空気が入った気室)を上にすることで鮮度を保ちやすくなります。ひびや割れがある場合には賞味期限内であったとしてもできるだけ早く、必ず加熱して食べましょう。ただし変色や悪臭がある場合や、いつ割れたかわからない卵の使用は避けましょう。
冷凍保存が可能との情報もありますが、殻付きのままの場合凍結時に殻が割れることで菌が繁殖しやすく、衛生面のリスクが高まります。殻を割って冷凍した場合も殻を割ることで菌が繁殖しやすく、食中毒の原因になる可能性があります。保存期間は1~2日と短く、衛生管理も難しいため家庭での冷凍保存はあまりおすすめできません。
ゆで卵の保存方法や期間
鶏卵、うずらの卵ともにゆで卵を保存する場合は、殻付きのままで保存容器に入れ冷蔵庫で2~3日が目安です。殻をむいた場合は、雑菌が繁殖しやすくなるためその日のうちに食べきりましょう。多くの食材は加熱することで保存期間が長くなりますが、ゆで卵は生卵より日持ちしません。これは抗菌作用を持つリゾチームが、加熱によりその働きを失うためです。
生卵(未開封):冷蔵庫奥で約2週間保存可能。尖った方を下にし、洗わずに保存する。
ゆで卵(殻付き):冷蔵庫で2~3日。生卵より日持ちしない(酵素であるリゾチームが加熱で失活するため)。
ゆで卵(殻なし):冷蔵庫でも当日中に食べきる。むいたらすぐ食べる。雑菌が繁殖しやすい。
「卵の食べ過ぎ」についてよくある質問

ここまで卵について紹介しました。ここでは「卵の食べ過ぎ」についてよくある質問に、メディカルドック監修管理栄養士がお答えします。
卵は1日何個まで食べて良いでしょうか?
越川 愛子
結論からいうと、健康な成人であっても「明確な上限は定められていないものの、食べ過ぎには注意が必要」です。
卵はほかの動物性食品と比べ、コレステロールが多く含まれています。コレステロールは食事から摂取するほかに、体内でも合成されています。食事から摂取するコレステロールは、体内合成のおよそ1/3~1/7です。コレステロールを多く摂取すると肝臓でのコレステロール合成は減少し、摂取量が少なくなると合成が増加するフィードバック機能が働き調整されています。このため明確な上限を設定することは難しく、日本人の食事摂取基準(2015年版)以降、かつてあったコレステロールの目標量は撤廃されました。ただしこれはいくらでも摂取してよいという意味ではありませんので、注意が必要です。コレステロール摂取量の過剰摂取は循環器疾患の危険因子となり得ると考えられていますので、習慣的な過剰摂取は控えましょう。
ただし脂質異常症の人やそのリスクが高い人は、重症化予防の観点からコレステロール摂取量を200mg/日未満に留めることが望ましいとされています。鶏卵(Mサイズ1個)には185mg、うずらの卵(4個)には188mgのコレステロールが含まれていますので、摂取量の目安にしてください。なお医師の指示がある場合は、そちらを優先しましょう。
栄養を効率よく摂るなら、生卵・ゆで卵・目玉焼きどれがおすすめですか?
越川 愛子
生卵は加熱調理による損失がないため、ビタミンを効率よく手軽に摂取できます。ゆで卵・目玉焼きは加熱により、たんぱく質の構造が変化し消化吸収率が向上します。また加熱によりアビジンが不活化することでビオチンの吸収率が高まる、サルモネラ菌などによる食中毒のリスクが低くなるといったメリットがあります。目玉焼きは油を使うことで、脂溶性のビタミンEやビタミンDの吸収率が向上します。それぞれに特徴があるため、目的や体調に合わせて選びましょう。
まとめ
卵の栄養を効率よく摂るには、油を使った調理や加熱調理、ビタミンCや食物繊維を含む食品との組み合わせがおすすめです。また保存方法によって鮮度や品質が変わるため、生卵は冷蔵庫の奥で尖った方を下にして保存し、ゆで卵は殻付きなら2~3日、殻をむいた場合はその日のうちに食べきるようにしましょう。
「卵」と関連する病気
「卵」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の詳細などはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
内科の病気
脂質異常症皮膚科の病気
皮膚炎ビオチン欠乏症
歯科口腔外科の病気
萎縮性舌炎
「卵」と関連する症状
「卵」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状の原因などはリンクから詳細記事をご覧ください。
関連する症状
食欲不振
むかつき
吐き気憂うつ感
顔面蒼白
食中毒
体臭
アレルギー
アナフィラキシーショック
参考文献
日本人の食事摂取基準(2025年版)(厚生労働省)
e-ヘルスネット(厚生労働省)
特集「たまごのヒミツQ&A」(農林水産省)

