ブラジル戦前の発言が注目された塩貝。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 ブラジルの逆鱗に触れた塩貝健人の発言は“悪”なのか。

「昔は強かったけど、今(のブラジル)はどうなんですかね」

 ブラジルとの決勝トーナメント1回戦を前に飛び出した塩貝健人のこの発言は、試合後も大きな議論を呼び続けている。

 個人的には、このコメントはヤンチャというよりも、塩貝らしい率直さやピュアさが表れたものだったように思う。もちろん、相手を刺激するリスクはあった。しかし、21歳の若者に対し、ブラジル戦前にどこまで発言を計算しろと求めるべきなのだろうか。

 もちろん、発言にも責任は伴う。それでも、リスク管理まで含めて代表選手に求めるのであれば、それは塩貝ひとりの問題ではなく、チーム全体で考えるべきテーマだろう。

 とにかく今回の一件には、ふたつの見方がある。
 
 ひとつは、ブラジルがこの発言に敏感に反応したこと自体、日本をそれだけ警戒していたからこそだったとも考えられる。もし日本を格下としか見ていなければ、「好きに言わせておけばいい」と受け流していた可能性もある。ブラジルの選手たちが感情を露わにしたのは、日本を無視できない相手として認識していたからではないだろうか。

 一方で、「口は災いのもと」という見方もできる。ブラジルメディアを通じて塩貝のコメントが選手たちに伝わり、セレソンに余計なモチベーションを与えてしまった事実は否定できない。試合前の発言が相手を奮い立たせることは、スポーツの世界では決して珍しいことではない。

 ただ、それでも、この発言を敗戦の象徴のように扱うのは短絡的だ。

 小さな出来事が試合の流れを左右することはある。しかし、日本がブラジルに敗れた理由は決してひとつではない。戦術、試合運び、個々のプレー、相手の実力--さまざまな要素が積み重なった結果であり、「塩貝発言が敗因だった」わけではない。

 それは敗戦の本質から目を背ける“逃げ”でもある。

 だからこそ、これ以上、塩貝への誹謗中傷はあってはならない。ひとりの若い選手をスケープゴートにしたところで、日本代表が強くなるわけではない。

 いずれ日本が再びブラジルと対戦する日が来るだろう。そのときこそ、塩貝にはピッチでブラジルと真正面から渡り合い、結果を残してほしい。

 それこそが、あの発言に対する何よりの答えだ。言葉はピッチの外で語られるものだが、サッカー選手の真価はピッチの上でしか証明できない。

 塩貝本人は今回の発言を撤回する気はないという。それでいい。ピッチの上で答えを出せば、それでいい。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)
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