若々しい脳を保つためには何を食べればいいのか。泌尿器科専門医の伊勢呂哲也さんは「ブドウ糖だけでなく、ミネラルやビタミン、タンパク質といった栄養素が必要になる。たとえばゴーヤやキノコ類がおすすめだ」という――。(第3回)

※本稿は、伊勢呂哲也(著)、関口絢子(栄養監修)『食べてはいけないもの×いいもの』(Gakken)の一部を再編集したものです。

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■小麦粉が認知機能の低下を招く

加齢とともに認知機能が気になってくるのは、自然なことです。「昨日の昼食が思い出せない」「スーパーに行ったのに、買い忘れをした」などのうっかり忘れ程度であれば心配ありませんが、「昼食をとったか忘れた」「買い物に行ったことを忘れて、何度もスーパーへ行く」など行動自体を忘れるようになったら、認知症が疑われるので、早めにかかりつけ医に相談しましょう。

ここでは、「うっかり忘れ」の原因となる、脳を老化させる食べものを挙げます。

【うどん・白米|糖質の多い食品は量に注意】

小麦粉を原料とするうどんや白米など、精製された食材を用いる白い主食は糖質のかたまりです。余分な糖質はタンパク質とくっついて体の焦げつき(糖化)の原因になります。食後血糖値の急上昇も脂肪肝や肥満を招き、認知機能の低下リスクを高めます。

【パン|白パンや菓子パン以外が望ましい】

うどんと同じ理由で、白パンや菓子パン、クッキーも、食べすぎがもたらす糖化や肥満、肝機能への負荷が、もの忘れなどの頭のぼんやりにつながる可能性があります。

■スナック菓子は塩分・油脂が少ないものを

【加工肉|ハムやソーセージの塩分、脂に注意】

加工肉の塩分、油脂分は認知機能への悪影響も心配されます。塩分過多による血流阻害や、アルツハイマー病の原因物質であるタウタンパク質の蓄積促進が示唆されています。体を酸化、糖化させ、内臓脂肪や悪玉コレステロールを増やす原因となることも、頭が冴えないことに結びつくリスクとなります。

【スナック菓子|糖分や塩分、油脂が少なめなものを】

加工肉と同様、脂肪分や塩分の多さで避けたいものが、スナック菓子です。脂肪分や塩分に加えて糖質も多いため、糖化や肥満、肝機能への負荷なども、認知機能の低下リスクを高めます。

できるだけ控えたほうがいいスナック菓子ですが、好きな人にとっては食べる楽しみがリラックス効果をもたらすこともあります。成分表示を確認して糖分や塩分、油脂が少なめのものを選びましょう。ただし、量は少なめに。

【アルコール|お酒の飲みすぎは認知機能にダメージを与える】

アルコールには脳を萎縮させる作用があるといわれています。脳が萎縮すると、認知機能の低下や脳梗塞リスクなどにつながります。睡眠の質を下げる作用も、脳にとって大切な休息をじゃますることになり、認知機能に悪影響を及ぼします。

■脳の働きを支えるのは「糖」だけではない

「脳の栄養は糖だけ」と誤解されている方もいるかもしれませんが、ブドウ糖だけでなく、ミネラルやビタミン、タンパク質などの栄養素も必要です。ここで紹介する脳の働きをサポートする食べものを、バランスよく食べましょう。

【ゴーヤ|さまざまな栄養成分で認知機能を守る】

「食べる薬」といわれることもあるゴーヤには、特有のモモルデシンという成分があります。モモルデシンは血中の悪玉コレステロールを下げる作用で健康を守り、アンチエイジングをサポートします。

また、脳の成長や健康維持に必要とされる葉酸や、血糖値の上昇を緩やかにして高血圧の予防にも活躍してくれるカリウムも豊富です。認知機能の維持促進はもちろん、健やかな毎日を維持するために積極的にとりたい食べものです。

【キクイモ|イヌリンが脳血管を守る】

シャキシャキとした食感が心地よいキクイモは、キク科の根菜です。イモ類と違って糖質のデンプンはほとんど含まず、イヌリンという食物繊維を豊富に含んでいます。イヌリンは血糖値の上昇を緩やかにすることで脳血管を守り、認知機能が失われるのを防ぐサポートをします。

■アンチエイジング効果もある「キノコ類」

【キノコ類|食物繊維が血糖値の急上昇を防ぐ】

低GIで食物繊維やミネラルが豊富なキノコ類は、肝臓や腎臓の負荷を減らしアンチエイジングに働く食べものです。脳の細胞や脳血管の健康につながる働きも多く、頭も体もすっきりさせてくれます。

【クルミ|脳の健康維持にも役立つ「ブレインフード」】

抗酸化や抗炎症の作用が期待できるビタミンEやポリフェノール、ミネラル類がたっぷりです。できるだけ無塩のクルミやナッツ類を選びましょう。

【豆乳|無調整豆乳で血糖値の上昇を緩やかに】

さまざまな健康作用が報告されている大豆イソフラボンですが、認知機能低下のリスクを軽減するという研究も進んでいます。

写真=iStock.com/kuppa_rock
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kuppa_rock

すでに血糖値の上昇を緩やかにすることで脳血管を守る作用が認められていますが、今後の研究で、大豆イソフラボンが脳の健康を守る仕組みが解明されていくでしょう。大豆製品のなかでも豆乳は手軽に習慣化できて、大豆イソフラボンを効率よくとることができます。糖分などを添加していない無調整豆乳がおすすめです。

■1日3?5杯のコーヒーが認知症を予防する

【リンゴ酢|酢酸とポリフェノールの組み合わせで心身スッキリ】

伊勢呂哲也(著)、関口絢子(栄養監修)『食べてはいけないもの×いいもの』(Gakken)

リンゴ酢には多くの健康作用が期待できますが、なかでも認知機能のサポートにおいては血糖値の上昇を抑制する酢酸と、リンゴ由来のポリフェノールの相乗効果が大きいといわれています。カリウムの血圧調整作用や、クエン酸の疲労回復作用も心身の衰えや疲れを軽減し、頭と体、心をスッキリさせてくれます。

医師仲間との会話でも、リンゴ酢を飲んでいるという話をよく聞きます。リンゴ酢はリンゴジュースを発酵させ、さらに熟成させた果実酢です。糖分を添加しなくてもほのかな甘みがあります。飲む際は、糖分や加工物が添加されていない(もしくは添加の少ない)リンゴ酢を選び、そのまま水や無糖の炭酸水で割るのがベストです。

コーヒー|適度なコーヒーブレイクで頭も気分もスッキリ】

1日1杯以上、習慣的にコーヒーを飲む人は、コーヒーを飲まない人に比べて認知症の発生率が低いという報告があります。1日3?5杯程度のコーヒーを推奨するレポートもあります。泌尿器科医としては、3杯程度が目安です。

写真=iStock.com/muccarina
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/muccarina

認知機能のサポートが期待できるのはカフェインや、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸です。そのためカフェインレスコーヒーであっても、認知症が予防できる可能性があります。ただし、カフェインの覚醒作用で睡眠が妨げられると、かえって脳に悪い影響を及ぼします。コーヒーを飲むなら寝る4時間以上前にしましょう。

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伊勢呂 哲也(いせろ・てつや)
泌尿器科専門医
大宮エヴァグリーンクリニック/東京泌尿器科クリニック上野/池袋消化器内科・泌尿器科クリニック/新橋消化器内科・泌尿器科クリニック 理事長。日本泌尿器科学会認定専門医。名古屋大学医学部医学科卒業。個人として年間3万人の患者を診察するかたわら、2022年より泌尿器科・消化器科の専門YouTubeチャンネルを運営。
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関口 絢子(せきぐち・あやこ)
料理研究家・管理栄養士
米国栄養カウンセラー、ヘルスケアプランナー、日本抗加齢医学会認定抗加齢指導士。テレビや雑誌などのメディアを中心に、インナービューティースペシャリストとして、健康・美容・ダイエットに関するレシピや栄養情報を提供。YouTubeチャンネル「管理栄養士:関口絢子のウェルネスキッチン」は登録者数68万人を超える人気チャンネル。
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(泌尿器科専門医 伊勢呂 哲也、料理研究家・管理栄養士 関口 絢子)