脳科学者の茂木健一郎氏が自身のYouTubeチャンネルで「人工知能と人間の「創造性」の違い」を公開した。動画では、AIが高度化する現代において、人間にしか生み出せない「創造性」の本質について、独自の視点から深い考察を展開している。

茂木氏は冒頭、定型的な計算や事務処理、情報流通のアルゴリズムが急速にAIに置き換えられている現状を説明。さらに、未解決の数学的定理さえもAIが自動的に証明する「AIが全部完結して生み出していく時代」が到来する可能性に言及した。そのうえで、「最後にやっぱり人間に残されるものっていうのは創造性だ」と問題を提起する。

動画内では、物理学者ロジャー・ペンローズの著書『The Emperor's New Mind』を掲げつつ、意識が関与しなければ解けない計算の存在を指摘。しかし、茂木氏が最も強調したのは「表現」の価値だ。AIの出力は膨大なデータから「黄金の中庸」を計算した統計的な平均値に過ぎないと指摘する。一方で人間には、身体性や有限性に根ざした「個人的な偏り」があると語る。

茂木氏はこの偏りの背後には、自伝的記憶やクオリアといった切実な「意識の経験」があると説明。「自分という存在そのものが記憶の塊」であり、明示的にデータ化できない身体的な記憶が人間の表現を支えていると語った。1970年代のニューヨークで生まれたヒップホップの文化を引き合いに出し、自分にしか表現できないものを発信する喜びにこそ、人間の真の価値があると力説している。

最後に茂木氏は、「私たちの偏りとか限界が実は創造性そのもの」だと語り、AIには到達できない人間の不完全さの魅力を再評価する。データ化や効率化が極まる世界において、人間が人間らしくあるためのヒントを示す動画となっている。

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